獣人差別問題と、レナと同じベットで…。
獣人のブルーノは嬉しかった。
病気の妹の為に仕事を探しに来て、栄誉あるフレズベルク隊に入隊出来たのだ。
それだけではない。
田舎の人間とは違いフレズベルク隊長とレナさんは本当に獣人差別をしなかった。
差別どころか本来なら教会に大金を払わなくてはいけない魔導覚醒までただでしてくれたのだ。
この隊に尽くしたい、この隊で活躍したい。
ブルーノは熱心に学び2日目にして簡単な馬車の操縦を覚えた。
フレズは操縦をブルーノに任せて荷台でくつろいでいた。
次の街に着いたのは四時くらいだった。
「おい!獣人の馬車はあっちの列だ。」
門番がブルーノを注意する。
「すいません、我々は軍の馬車で俺以外の隊員は普通の人間です。」
軍のメダルを見せながらブルーノは答えた。
「おう、それはすまなかった。
まったく獣人に馬車を任すなんてどこの田舎の下っ端部隊だよ。」
門番は不満顔で街へ誘導する。
なんだと国王は獣人への差別を許してないぞ。
俺が怒って注意しようとするとレナが止める。
「この様子だと彼だけの問題じゃないわ。
少し原因を探ってみましょう。」
軍の操車場に馬車を預ける時、使った分の食量を買い足した時、ブルーノ用の魔導書を買った時、この街の店主達は一々一言ずつブルーノをなじった。
俺達は買い物を終え宿に到着した。
「はい、いらっしゃいませ。
二名様にお付きの獣人一名ですね。
三人の部屋になさいますか?
それとも男女獣人でお部屋をお分けしますか?」
「我々は観光目的ではなく軍の任務で来ているから三人部屋で頼む、もちろん彼も軍人だ。
ところでこの国は獣人差別は認めていないはずだが?」
「ああ、気分を害されたなら申し訳ございません。
この街では他国からの商人も多く、金額や入店の差別はないのですが、一応一言言うのが暗黙のルールになっておりまして…。」
俺達は一応納得して部屋に移動した。
なるほど確かに入店拒否や法外な価格などはなかった。
俺はブルーノに聞く。
「首都以外はどこもこんな感じなのか?」
「いえ、さっき店主も言った通り入店拒否や価格の差別はありません。
ここは獣人にとっては良い街です。
それに首都の店は差別はありませんが元々獣人には払えない価格設定でして…。」
俺はブルーノの言葉を聞いて驚いた。
俺達の国は差別のない健全な国だと思っていたのだ。
「他の街はどんな感じなんだ?」
俺はブルーノに説明させた。
「なんか上告してるみたいで気が引けますが……。」
獣人だけ値段が高くなる街、獣人用の品質の低い店が別に用意されている街、獣人は商品が安くなるが警備兵達が何か問題があっても助けてくれない街……。
俺は聞いているだけで頭が痛くなってきた。
ブルーノはこれでも国王が獣人差別を認めている他国よりはマシだと言ったのだ。
俺はレナにも意見を求めた。
「無理矢理ダラダラ働かせるより、きちんと権利を認めて自発的に働かせた方が効率が良いに決まってるわ。
大丈夫、国王は正しいわ。」
俺は国王の善行について言って欲しかったのだが、天才少女のレナ全く違う意味で褒めてくれた。
「ところでさフレズベルク隊長。
お聞きしたい事があるのですが…。」
何やらレナが照れながら聞いてくる。
「ベットはどうしましょうか…。」
獣人差別についての話に夢中になっていた俺は気づかなかったが、普段は家族旅行で使われるであろうこの部屋はフカフカのダブルサイズのベット1つと簡易ベット1つで三人用になっていた。
俺達の隊は普段こういう場合は隊の序列順に寝ていた。
つまり、俺とレナの間にはリズベル、サニー、ローニャの三人が居て俺とレナが隣り合わせに寝た事はなかった。
俺とレナが緊張した様子でベットを眺めていると気を使ってくれたブルーノが話し出す。
「もちろん獣人の俺が一番硬そうな簡易ベットで寝ます。」
そう言うとブルーノはさっさと簡易ベットに入ってしまった。
レナの顔が赤くなるのを見ないフリして俺はブルーノに告げる。
「ブルーノ、我が国では獣人差別は禁止されている。
今の発言は獣人差別だ。」
俺はブルーノを注意する。
レナは少し残念そうな顔をしつつも、ほっとした様な顔をしていた。
俺はブルーノにさらに告げる。
「獣人だから硬いベットなのではない。
新人だから硬いベットだ。わかったか言い直せ。」
「イエスフレズ!申し訳ありませんでしたフレズベルク隊長。
一番新人のブルーノが、硬いベットを使わせて頂きます。」
「よし分かればよろしい。」
レナがほっとしたのもつかの間、結局は俺と同じベットに入る事になってしまってレナの顔が真っ赤に染まる。
俺はそんなレナが可愛らしくて少し意地悪する。
「よし、次はレナだ。
レナ隊員はどこで寝るんだ?
報告せよ。」
「なっ…。」
レナは俺が何を言わせたいのか理解した様子で益々赤くなる。
「わっ私は…、フレズベルク隊長のと同じベットに寝ます…。」
顔を真っ赤にしたレナは消え去りそうな声で言った。
「そうか、俺と一緒に寝たいのだな。」
「えっ、あの、その…。」
レナはまるでトイレを我慢している子供の様にそわそわクネクネしていた。
「レナは俺と一緒に寝たいのだな、返事は?」
「イエス…、フレズ。」
レナは耐えられなくなったのか小さな声で返事をしてベットに入って頭から布団をかぶってしまった。
少し投稿時間が遅くなってしまいました。
今週もよろしくお願いします。




