『挿絵あり』王子様のキス
もし俺が黙って何も知らなかったふりしてレナと結婚したら、レナはいつバレるのかと怯え続け、レナが王族関係者になった事に貴族も怯え続ける。
ローニャは続けた。
「まだ10才のフレズ隊長にはどうしていいかわからないと思う。でも、隊長なら大丈夫。」
俺はローニャと別れ一人歩きながら考える。
考えても考えてもどうしていいかわからない。
わからないとかそういう事以前に事実として受け入れられない。
資料はなんかの間違いなんじゃないかとすら思った。
次の日の朝レナは待ち合わせに来てくれず、俺は一人で登校した。
昨日の事が嘘であってほしい。
復讐もイジメもなかった。
俺のそんな想いは登校中のレナを見てあっけなく崩れ去る。
レナが暗い。
レナの周りも全員暗い。
まったくローニャも隊長なら大丈夫とか軽く言ってくれるよな。
隊長なら…。
なんでいつも仕事中以外はフレズと呼び捨てにするローニャが隊長とか言ったんだ…?
ああ、やっぱり俺の小隊はすごいな。
俺は出来るだけ元気にレナに走り寄る。
「おはようレナ、資料見たよ。
全部なかった事になったんだな。
よかったよかった。」
「何言ってるの…。」
レナの表情は暗い。
「俺があれくらいでなんか変わると思ってんのか?」
「無理しないでよ、何もなかったわけないじゃん。」
レナは泣いていた。
「私はもう汚れちゃったんだよ、もう昔の私じゃないんだよ。」
レナは大泣きした。
俺はレナを強く抱き寄せて強引にキスした。
「えっ?…っん…うー。」
長い長いキスをした。
「いきなり何すんのよ!」
「清めのキス?これでレナも浄化されたから。」
「そんな訳ない、やった事は消えない。
私はもうフレズと居られる様な女じゃない。」
俺はもう一度キスする。
今度はさっきよりも、さらに強引に、強く長くキスをした。
俺はレナに優しく言う。
「まだ浄化されないか?
もっとキスされたいのか?」
「された、浄化された。
けどもうちょっとだけキスして欲しい。」
「もちろんいいよ。」
俺は優しくキスをした。
爽やかな朝の10才の同士の長い長いキス。
学校の暗い空気は一気に吹き飛び、雰囲気が変わった。
「おーい、レナとフレズが朝からキスしてたってよ。」
「マジかよ。」
「俺も見た見た。」
「えーっ、キスって何味なの?レモン味?」
「いちご味じゃない?」
俺は教室に入ってすぐ一発かましてやった。
「おはよー、俺のキスで浄化されて全てなかったことになったから、よろしくー。」
「キスの噂マジだったのかよ。
キスってどんな感じなんだ?」
「キャー、本物の王子様のキスよー。」
「おいおい、俺は王族だぜ。
王子様のキスくらい出来て当たり前だろ?」
「キャー、魔法が解けちゃう。」
「ねえねえ、ファーストキスって何味だったの?」
「女子はレナに聞けよ。
俺はファーストキスなんか何年も前に済ましてるから忘れちゃったな。」
「キャー、さすがフレズ様だわ。」
女子達は隣のクラスのレナのもとへ走り、レナを質問攻めにしている。
レナはちょっと困りながらも少し笑顔を取り戻した。
俺は職員室に行き、いきなりドアを蹴破った。
暗い空気の教師達は全員こっちを向いて驚いている。
「おはよう諸君。
俺はドーヘンタイーナドだ。
イジメを注意出来ない所か、参加する教師など首も当然だがなかった事になった。
これ以上の復讐はないし、生徒の方は俺がなんとかしたから、お前達は普通にしてろ。
わかったな。」
結局何も出来なかった上に俺はドーヘンタイーナドと名乗りながらメンチ切ってしまった。
「それから俺とレナは少しの間、軍の仕事に出るからみんなも頑張って働いてくれ。
俺とレナの単位も忘れずに。以上。」
俺は教室に戻り自分の荷物を持ち、隣のAクラスに移動して、質問攻めにあってるレナに言う。
「特別任務が入った。早く支度しろ。」
俺とレナは俺の家に向かう。
俺の家の倉庫では、軍に正式採用されたブルーノが旅支度をしていた。
「ブルーノ初任務だ、病人の救出に向かう。」
「えっ、これから妹を迎えに行く所なのですが?」
「だから言っているだろ任務だ。
病人の救出に向かう。
隊は三名。馬車で向かう。
道案内と馬車に積む荷物はブルーノ新人兵が一番詳しいだろう任せた。」
「それってもしかして…。」
「返事の仕方はもう教えただろう。」
「イエス、フレズ。」
「レナも一回帰って着替えて来い。
あんな雰囲気の教室には居たくない。
さっさと任務に行くぞ。」
「それはフレズのせいでしょうが。」
「返事は?」
「イエス、フレズ。」
俺達は城門を抜け街に出る。
「フレズ様ー。」
「レナ様ー。」
「レナ様ー。」
街の人達にも何人か少しだけ事情を知る者達がいるのだろう。
みんながいつも以上レナに声援を送ってくれる。
ちょうどいいので俺はブルーノに顔を出させる。
「彼は我が家の使用人で新人兵のブルーノだ。
軍は実力とやる気さえあれば、誰でも歓迎している。」
俺はブルーノに挨拶させる。
「新人兵のブルーノです。獣人ですがよろしくお願いします。」
「頑張れよブルーノ、フレズ小隊入りなんてすげえじゃねえか。」
「俺達はフレズ隊の応援団だ。
俺達にとっては獣人とかそんなのどうでもいい関係ないぞ、頑張れよ。」
俺は歓迎を受けながら街を出発してすぐに馬車を止めた。
「誰か操縦代わって、めんどくさい。」
挿絵頂きました。
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