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1 年寄り、犬を待つ
1 年寄り、犬を待つ
小さなころから家には断続的に犬がいた。
逝ってしまって悼んで悼んで。
それでも数年たつ頃に、不思議と向こうからやって来る。
犬猫というものは、縁があって向こうから来るもの、と、ずっと思って生きてきた。
老人介護で家じゅうぼろぼろになっていた頃は、犬の代わりに猫が来てくれ、どたばたでずいぶん笑わせてくれた。
介護が終わり、五匹の猫たちも逝き、気が付けばこちらが老人と言われる年に。
それでもあと一度犬猫と会えるかと、ずっと待ってはみたものの、時代は変わり、周りには自由な犬猫がいなくなっていた。