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記録
○月×日
ミーシャ様が出発されてしばらくして、領都は帝国軍に包囲された。
兵力差は圧倒的であり、もはや蟻の這い出る隙間もない。
ゴルドン様が護衛を一人だけ領民に紛れ込ませたがどうなっただろうか。
○月×日
領都周辺の麦畑が燃えている。
食料の少ない現状でそれを見せつけられた事で領民が動揺している。
だが、我々にはどうすることも出来ない。
○月×日
帝国軍の攻撃はこれで七回目だ。
矢も不足気味で我々はレンガ造りの家を壊して投石用の石を確保した。
人手不足のため女子供にも協力させた。
未だ王都からの援軍は来ない。
我々は見捨てられたのだろうか。
○月×日
食糧の配給を二日に一度とした。
領民たちの士気は衰えている。
だが、降伏しても皆殺しにされるだけなのは分かっている。
我々は後何日持ち堪えられるだろう。
○月×日
今日の戦闘でこれまで我々を指揮してくれた、ゴルドン様が戦死した。
次に攻撃があれば持ち堪えることは出来ないだろう。
○月×日
帝国軍が少数の部隊を残して移動していく。
もしかすると王都から援軍が来たのだろうか。
いや、敵の策かもしれない。