戦いの終わり
やせ細った若い騎士が現在領都の防衛を指揮している騎士だった。
当初領都の防衛を指揮していた騎士は数日前の戦闘で戦死したらしい。
私はこの騎士と協議して少数の駐屯部隊と支援の食料を残し、帝国軍への追撃を再開した。
駐屯部隊には侯爵令嬢が生存している可能性を考慮して周辺の捜索も命じた。
帝国軍は国境沿の砦も放棄して退却しており、結局我々遠征軍は一度も戦闘をすることなく領土を奪還した。
戦いの経験がない北や東の領地の軍はこのことで帝国軍恐るるに足らずなどと吹聴する者もいた。
練度の高い兵でなければ無傷で迅速に撤退など出来るはずがないだろう。
今後のために釘を刺しておかねば。
我々は砦に守備隊を残し王都への帰路についた。
その途中で侯爵領の駐屯軍から途中経過の報告を受けた。
捜索の結果、川沿いの町や村で侯爵領から逃げてきた領民が数人確認されたが、侯爵令嬢の安否については不明のままだった。
もう生きてはいないだろうと私も思ったが引き続きの捜索を命じた。
しかし、死亡したと思っていた侯爵令嬢は物乞いのような格好で王都の城門外に居たところを侯爵家の騎士に保護されていた。