救済
王都の屋敷にあった物はほぼすべてを売り払った。
使用人は調理が出来るメイドを一人残して、ほかの者は領地に返した
数名が領地に行くことをいやがったので、その者には紹介状を書いて送り出した。
領地の現状はとても厳しい。
今年の麦はすべて帝国軍に略奪または焼き払われた。
帝国軍を足止めした功績により王家からの恩賞は出たが、領民の二ヶ月分の食費にしかならない。
支援物資も一時的に国境の砦を守っている諸侯の軍が優先されている。
生き残った領民たちの生活は苦しいままだ。
領民のためにお金がいる・・・
私は援助のお願いをするために参加できる夜会にはすべて参加した。
対価として出せるのは我が身一つだけ、私はお金持ちの高位貴族に手当たり次第声をかけた。
すでに年回りの近い高位貴族のほとんどに声をかけているが、まともに話すら聞いてもらいない。
逆に背徳者、卑怯者とののしられ酷いときはパンを手に入れるために純潔を売り渡したと遠回しに言われた。
私は正式に女侯爵の地位にある。
本来であればこのような侮辱は許されることではない。
しかし、私がそれを言っても周囲の心証が悪くなるだけだ。
私はすべてに笑顔で対応した。
声をかけていない若手の高位貴族は残り三人だけだ。
そして、そのうちの一人ベルチェ侯爵子息に断られて私は少し焦っていたのでしょう。
最後の二人バーリアム侯爵子息とエックハルム伯爵子息が話しているところに割り込むように声をかけてしまった。
さらに私は後にしてほしいと言われたにもかかわらず、しつこく話しかけて二人の気分を害してしまった。
立ち尽くす私の脇を年配の男性が通りすぎた。
はっ、この人は確か独身で侯爵家の従兄弟
私は気持ちを切り替えてその男性に話しかけた。
結局今回も誰も私の話を聞いてくださらなかった。
私をエスコートしていた我が侯爵家の騎士が、休憩のために庭の東屋に連れてきてくれた。
もうどうしていいのか分からなかった、誰も話さえ聞いてくれない。
私は泣いていたのでしょう、騎士がハンカチで涙を拭いてくれました。
「ごきげんようエスケルト女侯爵」
私が振り向くとそこには、先ほど失礼をしてしまったエックハルム伯爵家のジルグ様が立っていた。
私は慌てて挨拶を返した。
彼からは暗がりで見えていなかったのでしょう、我が侯爵家の騎士がいるのを見て私に小声でお邪魔ではないかと聞いてくれた。
しかも、バーリアム公爵子息との話に途中で割り込んだことは気にしていないようだ。
私は領地の現状を話し援助をお願いした。
私が援助の見返りとして示した対価が真実であることを、行動で証明することを求めてきた。
私は彼に誠心誠意お願いした。
すると彼は二日後に正式に援助の取り決めをすることを約束してくれた。
ところが翌日彼は屋敷にやってきて私への求婚と領地への支援を約束してくれた。
ああ、私の役目が終わるまで誠心誠意この方に尽くそう。
そして、彼と領民たちが私を必要としなくなったなら潔く身を引こう。




