表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
日本での問題編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/166

94話 思惑と違う展開 【挿絵あり】

本日2話目



 部屋を出てすぐ腐肉に触れたゴム手袋とマスクを捨て、眠らせた女の子と女の人達を見る。

 まだみんな眠っているので隠密を使いお茶を運んでくれた女の人の様子を見に行く。少し移動するとPCを置いた6つのデスクが島になっている事務所のような部屋の1席にお茶を淹れた女の人が1人で座って作業をしていた。


 他の事務員たちは今日は休みにでもなっているんだろうか他に人の気配も無く、インターフォンで鍵を操作していたのも彼女に違いない。

 彼女にも睡眠の巻物で眠ってもらう事にして巻物を広げ発動する。


 すぐに机に突っ伏すように眠ったのを確認し、眠った人間はひとまとめにしておこうと事務員も女の人達のいる部屋に移してから車に置いてある荷物を取りに向かう。


 自動施錠の扉を開けて近くにあったスリッパを間に挟みこんで扉が閉じて勝手に施錠されないようにし、車まで戻りすぐに一番大事なニアワールドに繋がら小型PCを車に隠す。そして手荷物には大きくて持ちきれなかった木材を持って眠っている女の人達のいる部屋へと戻る。


 持ってきた木材と五寸釘を使い鶴来達のいる部屋のドアをガンガンと打ちつける。これは向こうから出れないように……そしてこちらから誰も入れないようにする為だ。


 木材をしっかりとドアに打ちつけ軽く浮かんだ額の汗をぬぐう。

 これで一仕事終了だ。


 さて眠らせた女の子と女の人、そして事務員さんに視線を移し、彼女達が目を覚ました時の事を考えると……今更ながらどうした物か悩む。


 実は鶴来達をどうにかする事だけを考えすぎて、その後の事は簡単な指針しか決めていなかったのだ。

 どうしようか悩んでいると、思いの外早く封印した部屋から若い男の叫び声が聞こえ始め、お仕置きが始まった。


 封印されし部屋から次々と叫び声や、うめき声が上がり始め、その声に良心が痛む。

 だが改めて自業自得と強く思い直して気をしっかりと持つ。


 隣から聞こえる叫び声のせいか睡眠をかけた女の人の内の一人が目を覚まし、寝ぼけながらも周りを見回し様子を伺い始めたのが目につき、騒がれてもなんだなと思い、とりあえず隠密を発動し姿を隠して様子を伺う事にした。


 目を覚ました女が隣から聞こえる異常な声に恐怖を覚えたのか隣でまだ眠る女を揺らし起こし始める。

 揺らされて目覚めた女も突然の事態にどうしたらいいのか分からないようで、次々と眠っている人を起こしながら、隣から聞こえる声と漂ってくる悪臭に怯え、そして一人に対して使った事で他の人よりも強く睡眠の魔法が効いている事務員の女を目覚めた女達が激しく揺さぶって起こし、とうとう俺が眠らせた全員が目を覚ます。


 ここに至っても『ん~~、さてコレどうしたもんかなー……』と、考えていると事務員の女が封印されし扉に駆け寄り声を上げる。


「教祖様! 教祖さまぁっ!! な、なにが起こったんですか!! ご無事ですかっ!!」


 隣の部屋から事務員の呼び掛けに気が付いたのか


「ああああ、助けてぇっ!!!」


 と堂下らしき叫び声が聞こえ、鶴来や神崎も助けを求めて叫んでいるのが聞こえる。

 その声に事務員の女が全員に向き直り声をかける。


「教祖様を助けるのよっ!!」


 その呼び掛けに女の人達が動き始めるが、女の子はどうしたらいいのかわからないようでまごついている。

 このまま戸を開けられても面倒な事になる為、ひとまず彼女達を止める事にした。

 説得して従ってもらおう。その説得に必要なら巻物なり魔法なりを見せつけて黙らせる。もうぶっつけ本番でやるしかない。


 とにかく印象。印象が大事。

 よし! 今から俺は偉い人間。偉い人間なんだ!

 命令して当然の人間。上から。上から目線!


 目を閉じてそう強くイメージする。 


「それ以上その扉に触れるな。」


 隠密を解き、姿を現して事務員へ命令する。


「な!? だ、誰ですか貴方は!」

「誰でもいい……部屋に閉じ込めたヤツラは人を人とも思わないただのクズなのだ。

 余りに愚行が過ぎて目に付いたから。罰を与えているのだよ。大人しく俺に従え。」

「何を訳の分からない事を言っているの! 皆! 早く教祖様を出してあげて!」


 次々と『そうよ早く助けないと』と騒ぎながらドアの木材を取ろうとする女達。


 まったくもう。精一杯偉そうにして、教祖よりも上位者っぽく振る舞っているのに言う事を誰も聞いてくれない。威厳が足りないって事か?


 女の人達は教祖たちの声に押されるように、木材を剥がそうとしている。

 『あぁもう、出来れば見たくないし見せたくない光景なんだよな』と思いながら、最後の睡眠の巻物を女達を先導している事務員の女に使うことにした。

 こういうのは先導している者を大人しくさせれば効くだろう。


 隠密を使って近づき、事務員に触れて魔法を発動する。

 魔法の巻物は発動の距離が近ければ近いほど強力になる為、先導するような厄介な人には長く眠ってもらいたかったからだ。


 触れて発動した事で強力な睡眠がかかったようで事務員の女は、まるで糸が切れたように女の人達に倒れ込み、それを女の人達が受け止めた。

 急に事務員が倒れた事で、木材を取ろうとしていた女の人達が怯えるように俺に向き直る。


 これ以上睡眠の巻物も無い。

 もうとにかく、ハッタリでもなんでもかまして言う事聞かせよう。こっからが本番だ!


 氷の魔法を発動し部屋の温度を下げ、映画やゲームでよくあるボス級の大物が登場した時に出る冷気を演出する。

 体感温度が下がったのか、何人かがぶるっと震える姿が目に入った。



「いいか? そう何度も言わぬ。だから……聞け。女達よ。

 お前達が教祖と崇めている者は、俺が渡した力を利用しただけの下卑た人間だ。

 お前達を騙していたのだよ。」


 教祖を否定された事で女の人が口を開きそうな気配がした。なのでその声を制する為に、すぐに右手を目の前に勢いよくかかげ、手の平に火の魔法で火の玉を作る。


 突然出てきた火の玉に喋ろうとした女が口をつぐむ。

 女が喋るのを止めたことで文句の合唱へと発展するのも防げたようなので、火の玉ふわふわとちらつかせた後、握りつぶすようにして消す。


「いいか? よく聞け。

 お前たちは傷が治るのを見て、アレが特別な存在……教祖だと思っているのだろう? だが傷が治るのは単に俺が力を貸してやっただけに過ぎないのだよ。

 そうだ……きっとこの場にいるお前達の中にも治したい傷を持つ者がいたりするのだろう? 誰か傷を治したい者はいるか?」


 俺の言葉に反応した一人の女がおずおずと手を挙げる。

 ニアワールドで慣れているとはいえど大変見目麗しゅうございます。はい。


「ふむ。お前はどこを治したいのだ?」


 そう聞くと女は着ていたバスローブのような服をめくり内腿うちももを晒す。


 うわーお。せくしー!

 パンツ丸見えですよ。


 そんな事を思いながら顔を変えないように気をつけつつ内腿をまじまじと見る。すると火傷の痕らしき物が広範囲に太ももにある。俺から見て『あ~これ火傷だね』と分かるくらいだから、うら若い女の人にとっては大きな問題だったんだろう。

 

「ふむ。ではそうだな……そこの女の子よ。コレを受け取れ。」


 内腿を晒した女の人ではなく、未だ少し離れた所でまごついている女の子に回復の巻物をぽ~んと投げて渡す。

 そしてその間に『超隠れたい』と隠密を発動。


 マジシャンのよくやるミスリードの手口のように、空中を飛ぶ巻物に注目が集まる間に姿を消す演出を挟んでみたのだ。

 女の子は突然飛んできた巻物の受け取りに失敗して落とし、泣きそうな顔でわたわたしながら拾い上げている。


 うん。可愛いらしい。ごめんね。


 女の子が拾い、俺が元いた場所に全員の視線が戻るが、そこに俺の姿はない。

 全員がキョロキョロとしだした時に、少し離れたテーブルに腰掛けている姿で隠密を解く。


 突然姿が現れたように感じたのか何人かがビクっとしたのが分かり、ミスリードの演出がうまくいったと内心満足しつつ口を開く。


「その巻物を広げて右手で持って……そして左手であのお姉さんの傷の部分を触ってごらん。」


 女の子は俺の指令に大きくびくんちょと反応した後、言われた通りに行動し、女の人の内腿に触れながら恐る恐る『触ったよ?』と言わんばかりに俺を見る。


「よし。じゃあそのお姉さんの傷が治りますように……と思ってごらん。」


 女の子はコクリと頷き目を閉じた。

 素直に言われた通りに思ってくれたようで、すぐに左手が柔らかく発光し、そして女の人の火傷の痕が治っていく。

 その光景に女達がざわざわと騒ぎ始めた。そのざわめきには戸惑いの色が大きく感じられたので畳みかける。


「な? 教祖だと思ってたヤツは俺の渡した力を使っただけで、その子だろうが誰でも出来る事をやっていただけなんだよ。これで騙されていたのはわかったか?」


 女達は納得したのか静かになり。落ち着きをみせ。

 そして膝をついて俺を崇めはじめた。


「ちょっと待って……その反応求めてないから!」



--*--*--



 崇められ、言う事は聞いてもらえるけれど、どうしようもなくなった俺。

 『問題が粗方あらかた解決したけれど、新たに面倒な問題発生』とオバちゃんに連絡し助けてもらうことにした。


 オバちゃんが現場にやってきた時には事務員の女も目を覚まし、俺を崇める女の人達からの説明を受けて説得され俺を崇めている状態に進化。


 女の人達に迎えに行ってもらったオバちゃんが部屋に来た時には、手を合わせる女の人達と手を合わせられる俺の姿。困惑するオバちゃんに、どうしてこうなったかの経緯を話すとオバちゃんは盛大に笑い始めるのだった。


挿絵(By みてみん)


「あ~~はっはっはっ! アンタバカだねぇ!」

「いや……それちょっと酷くない? 俺頑張ったよ?」


「いやゴメンゴメン。発想が斜め上に行ったからね。ふふ。

 あ~~……しかしまた、なんでよりにもよってそんな手段をとっちゃったんだか。」

「い、いや、だってさぁ。盲信的だから教祖の種明かししたら分かってもらえるかな? って思ったんだよ。てーかオバちゃんこそこんなとこに、滅多にしない社員証とかつけてきてバカなんじゃないっ!?」


「これはダミーだよ。万が一の時の為の偽情報さ。あははは」

「あ、そっすか。」


「しかし……崇められたとは。くくく。」

「……面目ございません。」

「ふぅ……笑うだけ笑ったけどさ。」


 オバちゃんが真剣な顔つきになる。


「アンタ……あたしが前に『秘密にしろ』って言ったのをここで盛大にバラしちまったワケだね。」

「あ。」


 俺はオバちゃんの強い視線に圧迫され、微妙に脂汗が流れはじめる。


「まぁ? そうなるとだね……秘密を守る意味も兼ねて、この人達の心の拠り所になってあげたら丸く収まるんじゃない?」

「……マジで?」

「マジで。」


 どうやら俺……『新世界の風』の教祖になるっぽい。

【オバちゃん イラスト】

もじゃ毛 様

http://www.pixiv.net/member.php?id=3344017

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ