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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
新世界の調査と基盤作り編

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38話 段取り八分と言いますの。

本日4話目




「ねぇ。イチぃ……あげるからぁ。今日も泊まっていってよぉ。」

「ん。じゃあ糸はいらないや。おやすみなさい。」


 めっちゃカチカチの糸が気になったから出して貰って工業試験場にもってって調べようと思ってねだってみたら、アデリーが交換条件に糸出す代わりに泊まれとか言い出したので、お断りさせて頂く。


「あん! もうわかったから!

 ちょっと待ってね。いじわるなんだから……」


 アデリーがふてくされながらも、目を閉じて集中し糸を出し始めた。


「ん?」


 アデリーの前足でくるくるとまとめられる糸の色が違った。黄色の糸だ。これまでは白色の糸だったのに色付き。

 とりあえず、アデリーが目を開くまで見守る事にするが、既に結構な長さになっている。


「ん………ふぅ。」


 少し疲れたようなアデリー。

 俺に向きなおり微笑んで糸を差し出してきた。


「はい。イチ。

 愛情たっぷり詰まってるから、きっと強いわよ。」


 糸を受け取りながら、マジマジと見る。


「なんか色が黄金色っぽいんだけど」

「うん。物凄く頑張ったもの。」


 理由になってないけど、そっかー。と納得しておく。


「有難う。アデリー。」


 頬を染めながら両手を頬にあてニヤニヤしだすアデリー。


「や、やだ。なんだか恥ずかしいじゃない。

 いいのよイチの為ならどれだけでも作るんだから」


「嬉しいよ。でも……なんだか悪いなぁ。

 あっ、そうだ。ちょっとしたお礼の品があるんだった。取りに行ってくるよ。」

「あっ……」


 アプリを起動し枠を出現させ、何か言おうとしたアデリーを見る事なく、ささっとくぐる。

 自宅で買ってきた歯ブラシ10個と卵を1パック持ちアプリを起動し、モニターに顔を突っ込むとアデリーの嬉しそうな顔が見えた。


 上半身を突っ込んだまま歯ブラシを渡す。


「はい。コレ歯を磨く時に使う道具。

 よかったら使ってみて。きっと枝よりは綺麗になるからさ。

 結構沢山あるから靴下みたいに友達にも配ってみてもらえる?」


「あら。ふふふ……これも売ってみたいのね。わかったわ手伝う。」


 さすが察しがいい蜘蛛。


「あ。ばれた? まぁアデリーも使ってみてね本当に綺麗になるから。

 あと、コレ糸のお礼。」


 卵を1パック渡す。

 アデリーは嬉しそうに、でも少し悲しそうにしている。


「うん。有難うイチ……でも、私はイチが傍にいてくれる方が…もっと嬉しいわ。」

「そっか……」


 ……おっと。あぶない。

 流されちゃいけないよ。相手は蜘蛛だぞ?


「……善処します。」


 とりあえずはっきりとしない返事を返すとアデリーは少し笑った。


「オヤスミ。イチ。」

「おやすみ、アデリー。

 明日は起きたら、とりあえずこっちに来てまた出かけるよ。」


 寂しそうな雰囲気をまとったまま笑顔を作って手を振っているアデリーに手を振り返し、自宅に体を戻すと枠は自然に閉じた。


 ……不覚にもアデリーを可愛いとか思ってしまった。

 これは危ない兆候だ。相手は蜘蛛だ。


 洗面所に向かい鏡に映った自分を、キっと睨みつける。

 両手を前に掲げ呪文を唱える。


「わすれろーー。わすれろーー。」


 気休めの自己暗示だ。


「よしっ! 忘れた!」


 電動歯ブラシに歯磨き粉をぬり、歯磨きをしながら明日やる事を考える。


 重要な点としては勇者への手紙だろう。

 紙と封筒は用意したし、あとはペンとインクを持ってこい的な事を言っていたから、使いさしのどっかの企業の名前が入ったボールペンを持っていこう。

 で、もしアンジェナが興味持ったらソレ売りつけてぼったくってやろう。くふふふ。


 後、中央広場の谷間のおねーさんのアニと話をするのも忘れないでおきたい。

 もしかすると今日チョコを食べた屋台の人の中で取り扱いたいと言う人が出てくるかもしれないからな……うん。もう一度しっかり谷間を拝みに行くべきだ。


 ブライアンに今日買ったLEDランプを売る事も必要だし、アイーシャに時計を贈ったから受け取ったかどうかや、その反応も見たい。

 アイーシャは今日は休みだったようだし、朝早くに行ってもブライアンから時計の受け渡しがされていない可能性もあるか……いや、ブライアンが壊してる可能性も否めない。


 とはいえ、ペロペロ作戦よりLEDランプが売れる方が重要だから通り道だし朝一はブライアンだな。


 ブライアンとこ行って、ギルド行って、アニの所。

 これだけの用事なら、ざっと3時間もあれば十分か……でもそれだと女神の店にパスタ持ってくとしたら、店が忙しそうな時間になっちゃうよな。

 一度家に帰ってパスタ作って向かうと、ジャストで飯屋の書き入れ時だもんな。


 あ、工業試験場に糸を渡すのもあったな。

 まぁ……パスタ作る前にちゃちゃっと行ってくるか。

 そうすりゃ飯屋も落ち着いた時間になってるだろうし話も聞いてくれるだろ。


 そうだな……明日の昼は女神の飯屋で食う事にして「故郷の料理だから食ってみてくれ」とか言ってナポリタン渡して、興味持ってもらうのもいいか。

 むしろこっちの方が自然な流れだな。

 女神にチョコも渡したし、きっと興味は持つだろ。うん。


 まぁ、飯屋が即興味持ったらパスタとかウイスキーを持って行って売りつけよう。


 なんせニアワールドのエールは濃いからな。

 サッパリ飲めるウイスキーの水割りは絶対人気出るはず。これは飲み食いして思った事だから間違いない。


 オーク肉とかワイバーンのガツンとくる味に濃い系の無濾過のビールを合わせるのはくどい! さらっと飲めるウイスキーの水割りの方が合う。


 4リットルのウイスキーを5倍に薄めて出すように勧めよう。

 そうすりゃ20リットルになるし、1杯を300ミリリットルくらいの量で出しても66杯分。


 エールが鉄銭4枚だったから、同じ値段設定にしても全部売れりゃあ鉄銭264枚の売り上げ。

 つまり銀貨2枚と銅貨6枚、鉄銭4枚。


 さらにエールと違って薄めて使えるから場所を取らない。

 飲みやすいしツマミも頼みたくなるだろう。

 それに何より珍しいから、店の名物として使える。


 ……最初は投資として、プレゼントする事にするか。


 で、魅力に飯屋がノックアウトされたら、4リットルを銀貨2枚で売りつけよう。


 ふふふ。4,000円を2万でな。くふふ。くふふふ。楽しくなってきた。


 考えながらだったので歯磨きが磨き過ぎになりつつ明日の行動パターンを決め終わる。


 よし。さっさと寝よう。

 明日は結構忙しい!

 布団を引き潜り、目を閉じ再度予定を考える。


 ウサミミハムハム、

 タニマチラチラ、

 アイーシャたんペロペロ、だ。


 うっふふh。楽しくなりそうだ。


 自然と顔がニッコリ微笑む。

 だが、ふと真顔に戻ってしまう。


 …………アデリー……寂しそうだったな。


 意識は闇に沈んでいった。

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