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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
新世界の調査と基盤作り編

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25話 もしかしなくても重要な話じゃね?


「スペシャルギフトは知ってるでしょ?」


 スペシャルギフト? ……知らない。

 このニアワールドを舞台にした物語では、そんな単語は出てきていなかったと思う。


 俺の様子から知らない事が伝わったようだ。


「嘘でしょう? イチって知らないにも程があるわよ?

 ……もしかして記憶喪失とか病気だったりするの?」


 真剣に心配しているような顔をするアイーシャ。


「いえ。特段記憶喪失とかいうわけではないんですが……」


 ひとまず腕を組んで右手を顎に当てて悩む。


 『悩む』という行為は嫌いだ。

 悩んで解決するような事などありはしない。

 ただストレスをためるだけの無駄な行為と考えている。


 『悩む』くらいならさっさと切り替えて解決方法を考える方が割がいい。

 が……そう分かっていても、簡単に割り切れるようなものではないのが人間の機微というものだろう。


 俺が今悩んでいる事は、アイーシャに対して勇者と同じ出身地という事を打ち明けるかどうかだ。


 そもそもの話として厳密にいえば同じ出身地ではない。

 ニアワールドに以前と同じ姿で転生させられた日本人が勇者ではあるけれど、勇者自身も『物語のキャラクター』だ。


 俺がPCで眺めていた『書き物の中の人』であり、俺の自宅のあるあっちの世界には存在の欠片もない。ただ、同じ「日本」の出身という点で共通しているだけだ。


 肝心な違いとして勇者はチート満載の無双キャラ。

 今も『勇者様のいる街』なんて、街の代名詞になっているくらいの人物。


 対して俺はギルドでカード作ったら鼻で笑われるレベル。


 勇者は物語中日本の情報を秘匿し、誰も辿り着くことのない遠方から来たと言いまわっていたから、そこの出身で髪や目の色も顔も同じような作りをしているとなれば、破格の勇者と同等の力を求められておかしくないし、そうなのだろうと期待されても仕方ない。


 だからこそ期待を裏切れば落胆が大きい。


 あまりがっかりさせてしまえば、商売にも響くだろうし、ペロペロ作戦も消え去ってしまうかもしれない。どうしたものか。


 ……


「ええとですね。俺はちょっと世間から長い間離れていたものでして。

 ここ10年くらいの事は分からないのです。申し訳ない。」


 もう適当に誤魔化すことにした。


「ふぅん………そっか。

 じゃあ、知らなくてもしかたないか」


 アイーシャも気持ちを汲んでスルーしてくれるようだ。

 さすが善人&優しい人が多い世界。聞かれたくなさそうにしている事は聞かないでくれる。


「じゃあ、スペシャルギフトについて教えてあげる。

 かなり簡単にできるようになったけれど簡単に言えば『能力の譲渡』よ。」


「能力の譲渡?」


「そう。勇者様が6~7年前だったと思うけれど、強力になっていくモンスターに対して、対抗できない街の人達の為に編み出した秘術。

 分かりやすい例が目の前に居るから、ねぇイチ。手を貸して。」


 右手を前に出すと、アイーシャが俺の手を握った。


「ん~~!」


 唸りながら、ぎゅーっと力を入れている。


 握力勝負か?

 15~20kgくらいだろうか? 普通の弱い女の子に握られている感じがする。


 アイーシャたんのおてて。小さくてかわいいです。デュフフ。

 俺も少しぎゅっとすると、途端にアイーシャは顔をしかめた。

 

「いたいたいっ!」

「あ、ゴメン。」


 パッと手を離す。


「もうっ! 今のが私の全力…… ね? わかったでしょ?」

「アイーシャが可愛いって事しかわからなかった……」


「ばっ!」


 アイーシャの顔がボンっと赤くなる。


「ななな、何言ってるのよ。スペシャルギフトの話でしょ!

 私はドワーフの怪力を譲渡したのよっ! 売ったの! だから力がないの!」


 力……能力の譲渡。

 そんな事が物語の後できるようになったのか?

 疑問だらけだ。


「ねぇ。その譲渡を譲りうけるのって誰でもできるの?」

「ギルドでお金を払えば誰でもできるみたいよ。」


「アイーシャの……ドワーフの『怪力』って幾らくらいするものなの?」

「……私が……手にしたのは白金貨1枚……」


 という事は能力を買う時は白金貨5枚程度はしそうな気がする。


「それって一時的じゃなく永続なの?」

「……そうよ。」


 ここまで聞いてアイーシャが悲しそうな顔をしているのに気が付く。

 聞きたいことが出てきて、つい相手の感情を無視してしまった。失った物に対して根掘り葉掘り聞かれるのは気持ちのいい事ではないだろう。


「あ。ごめん。アイーシャ。

 ちょっとデリカシーがなかった。」

「ううん、いいの。もう5年も前の事だし。」


 笑顔を見せた後、少し遠い目をしている。


 買いなおす事もできるかもしれないけど当然売った以上の金がかかるんだろう。

 それに売る時は、よほど切羽つまった状況だったんだろうしな。


 ドワーフの特徴たる『怪力』が無い、だから『一応』ドワーフ……か。

 しんみりとした空気が流れる。


 これは……慰める流れか?

 女子を慰めるだなんて……超チャンスだっ!!

 アイーシャたんペロペロに繋がるオペレーション第一弾。

 『ウイスキーを贈ろう』に、ぴったりの空気じゃないかっ!


 内心で吠え、しっかりと気合を入れる。


「話しにくいことを話させてしまってゴメンね。

 お詫びと言っちゃなんだけど、これを受け取ってもらえないかな。」

「いや、別にそこまでしてもらわなくてもいいよ。ただの昔話だし。」


 アイーシャが両手を振り『NO』のジェスチャーをしている。だけれど、それに構わずカウンターにウイスキーの瓶とグラスを一つ置く。


「かなりキッツイお酒です。

 知り合いから聞くに『ドワーフは好きだろう』って言ってました。」


「……え。」


 おお。微妙に欲しそうな顔のアイーシャ。

 くふふふ。これは押し付けたらいいな。


「グラスも話のお礼に差し上げます。

 それでは、ちょっとアイーシャの好きそうな物を仕入れに行ってきますので、また。」


「あ、イチっ! ちょっと――」


 アイーシャの声を背中に受けながら店を出て、中央広場に向けて歩きながら考える。


 『スペシャルギフト』


 譲渡を受ければ能力が身につくという事なのであれば、俺が買う事も出来るのだろうか?

 もし何かしらの能力を手にしていれば万が一の際の生存確率を上げる事が出来る。


 漁師でもモンスターがいる世界で外を歩くことができるくらいなら手頃に超パワーが買える可能性だってあるかもしれない。コレはいい事を聞いた!


 中央広場まで半分の距離になったくらいで、いつものポーズで熟考する。


 今ニアワールドでやるべきことは『チョコレートを配って名前の浸透』『写真素材の撮影』くらいだ。


 突発で発生した『ギルドにスペシャルギフトを確認しに行く』は優先順位として最優先に持ってきてもおかしくないし、問題もない。


 考えがまとまったので、ギルドへと向かう事にした。


 ウサミミビッチか……


 ちょっとだけ気が重い。

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