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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
エピローグ

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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる エピローグ

本日4話目




 その後、イチとアデリーの能力吸収合戦はニアワールド全土に渡る事になった。


 冒険者達と呼ばれる人間達もモンスターが不在で戦うこと自体が不要になり、平和な世の中において無用の長物となったスキルを手放し、手にした金で幸せな時を過ごす。


 日本からの物資も全土に行きわたり、そしてニアワールドの中においても農業や物流、発電等の技術もしっかりと生まれ、日本とは違って化石燃料には頼らず蓄魔技術を応用した魔術と電気のハイブリッド技術を生み出し、さらに繁栄を極めていく。


 月日が流れ、すでに繁栄が自分の手を離れたことを見届けると、イチは公爵、八百万商会会頭を引退。

 正室、側室の女達と共に表舞台から姿を消す。


 そしてその後、姿を表す事は無かった――


 人々は勇者マドカの伝説と同じく公爵イチの伝説を語り継ぎ、それは時を経ていつしか昔話となった。


 その昔話は、子供を育てる時に『魔物を退治する昔話』を好むか、それとも『世界を発展させる昔話』を好むかで、子供の育つ方向性を考慮するほどに広く語られ、そしてさらに時は流れていく――



--*--*--



 ニアワールドは、さらに発展した。

 魔力の電力変換により高出力を得ることができるモータースポーツが流行。

 その技術を応用した小型飛行機も普通の庶民が利用できるようになった。


 魔法の為の魔力は失われ、電力や原動力としての魔力がニアワールドに浸透した頃。世界は、また少し変化の兆しをみせた。


 大きく発展した街の郊外や、山などにオーガーやグリフォンといったモンスター達が出現したのだ。

 長く平和な時を過ごし、争いは裁判で決着がつくような世界となり、戦争も無く武器などの戦う術が磨かれていないとなったニアワールドには、充分な脅威となる存在だった。


 はるか遠方に生まれたモンスターの気配を察知した銀髪の美女が口を開く。


「あら……とうとう始まったみたいよ。」

「ようやくか。」


 黒髪の男が銀髪の美女の声に嬉しそうに答える。


「長かったわねぇ。」

「本当にな。まぁ楽しかったからあっという間だった気もするけれど。」


 ふふっと小さく笑い合う二人。


「さて、一体どんな子なのかしらね。」

「う~ん……やっぱり俺の孫だろうとは思うんだけどなぁ……どの孫だろう。」

「ジジ馬鹿ね。

 私も私の孫だと嬉しいけど、きっと世界はそれを望まないでしょう?」


「まぁね。もしかすると別の世界から転生してきたりした見たことないようなヤツかもしれないね。

 とはいえ『ニアワールドの新たな主人公』の物語が始まったんだ。さて、俺達は一体どんな立ち位置になるんだろうな?」


「……ラスボスかしら?」

「そんな縁起でもない……

 だが、あながち違うとも言い切れない怪しさ。」


 またも笑い合う二人。


「ご主人様? 私の孫の可能性もありますよ?」

「何よ。ウチの孫って可能性もあるんだからね。」


 スレンダーな美女と小さな女の子が会話に入ってくる。

 その会話への参加者はどんどん数を増していき、一気に場は賑やかになってゆく。


 一通り会話が終わり、銀髪の美女が手を鳴らすと場が落ち着いた。


「で、どうするの?

 昔言ってたみたいに、陰ながら主人公を助けるキャラをやるつもりなの?」

「うん。……何でも知ってるけど話さないキャラっぽい感じで主人公のメンバーに紛れてもいいと思うんだよな。」


「それ……主人公が女の子だったらでしょ?」

「…………」


「沈黙は肯定と取るわよ?」

「…………違いますん。」


「そう。」


 答えた瞬間に足を縛られ、逆さ吊りにされる男。

 

「ごめんなさい。」

「はいはい。」


 苦も無く逆さ吊りから脱出し元の位置に戻る男。


「何はともあれ、みんなで新しく生まれた主人公を引っ掻き回して楽しい冒険にしてあげような! そして俺達もその冒険を楽しもう。」


 賛同の声と明るい笑顔。

 男が右手を上げると、場はゆっくりと静かになった。


 沈黙の後、男は口を開いた。


「みんな。

 これでお別れだ。」


 一人一人にハグをしていく男。

 ハグをされた女達は次々と言葉とハグを交わし、そしてその場を離れていく。


 最後に黒髪の男と、銀髪の女が残った。


 黒髪の男は銀髪の女の頬を撫でる。

 銀髪の女は男の手に手を重ねる。


「長い間……沢山の想いを有難う。

 心から愛しているよ。」

「私もよ……きっとまたすぐに惹かれあって……巡り会うわ。」


「そうだな。そう思う。

 俺達が長い時を、生きた時を過ごすには、時には少しの辛いスパイスも必要だ。」


「そうね……じゃあ、私も行くわね。」


 銀髪の女はハグをしてその場を離れはじめる。

 だが、最後に一度振り返る。


「愛しているわ。心から。」


 銀髪の女の姿が消え、黒髪の男が残る。


 胸に湧き上がる寂しさを噛みしめると、その寂しさは大きく、思わず地面に倒れる。

 大の字に寝そべり、いちど目を閉じ、思いに浸る男。


 やがて立ち上がり、大きく息を吸い込む男。

 その顔は笑顔だった。


「さぁて! 新しい冒険の始まりだ!」


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