126話 命の価値編 プロローグ
靴を履いたまま机の上に両足を投げ出した姿で卓上のデュアルディスプレイを眺める男がいる。
ディスプレイには美女が岩を燃やし尽くす動画が流れており、片手で肩と首を揉み時々缶の炭酸飲料を口にしながら、ふんぞり返って眺めている。
その男は服の上からでもその肉体が筋肉でできているだろう事を容易に想像させる、立派な体躯をしていた。
そんな男に近づき声をかける細身の男。
「よう……もう目を通してるようだな。どうだ?」
「あ~。この女はいい女だ。間違いなく俺の中でのベスト。最高の女だ。」
細身の男は鼻を鳴らす。
「そっちじゃねぇだろ?」
「あぁ? 何言ってんだ? こっちの方が重要だろう?」
おどける男に対して、じっと見る細身の男
「はいはい……よくできてると思うぜ。最近のVFXってのはすげぇんだな。
この投稿者ってのは個人なんだろ? 素人でこんなのが出来るようになってるってのには時代を感じるねぇ。」
「そうだあんぁ……だが、ウチのギーク共の話じゃあ、それはVFXなんかじゃないらしいぞ。」
筋骨隆々な男は呆れたような顔をする。
「ははっ。ギーク共はとうとうコンピューターの世界にハマりすぎて現実に帰ってこれなくなったのか。ご愁傷様。」
「はははっ、そう言うなよ。
俺だってアホ臭いと思ってる。」
「……で? 俺に『見とけ』って言ってくるくらいなんだから、上の連中共は今度はコレにご執心って事か?」
「そういうこった、まぁお偉方様達は、その周辺にある胡散臭い情報の方に興味津々らしいがな。
俺としては、このいい女の方に関わりたいもんだ。」
「あぁ、本当にいい女だ。」
卓上から足を下ろし、ディスプレイに美人の女が写し出された時に一時停止をかける男。
「こんないい女と一戦交えろってなら全財産つぎ込んででも飛んでいくんだがね。」
「そんないい仕事なら俺が回す訳ないだろ?」
「違いない。」
軽く笑い合う二人。
居住まいを正す細身の男と、その様子に合わせてすぐさま立ち上がり同じく居住まいを正す筋骨隆々な男。
「今から20時間後に部隊と共に空輸する。準備しろ。」
「了解。」
居住まいを崩す男達。
「ちなみに派遣先は?」
「あぁ、日本だってさ」
細身の男がPCを操作しデュアルディスプレイの片方に、日本人の女が3人映しだされる。
「日本でお前に関係しそうなのは、この女達だと。」
「へぇ……日本人ってのも悪かないな。
落とすのは楽って言うし……少し楽しみになってきた。
いや、確実に楽しみになってきた。」
細身の男がニヤリと笑う。
「あぁ、そうそう。だが気をつけろよ?
日本人ってのは童顔が多いって言うじゃないか。この中にも50歳の女がいるんだぞ。」
「あぁ? 下手な嘘つくなよ。」
細身の男が自信ありげに笑う姿をみて、ディスプレイを掴みかからんばかりに見始める男。
細身の男は失笑を貰しその場を後にする。
「ちょっと待てよっ! せめてどれが50歳か教えて行きやがれっ!」
「空輸されるまでに資料を準備しといてやるよ。ははっ。」
筋骨隆々の男は、もう一度ディスプレイを見て、表示されている3人の女を見比べる。
じっくり見比べた後、諦めたようにイスにどっかりと座りこみ。
「これが……東洋の神秘ってヤツか……」
そう呟くのだった。




