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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
ニアワールド カジノ騒乱編

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123話 ハニートラップ疑惑を直接問う

 翌朝、アニはもう少しで何かがつかめそうと唸っていたけれど、流石に仕事を放り出して街を離れすぎていることから街に戻りたいらしく、車に乗る事を希望した。


 ただ既に満員状態なので、どうやっての乗るのか聞くと笑顔で


「メイドが一人、車から降りればいい」


 と。

 ……それもそうか。


 そこでドワーフのキャシーに後日迎えに来るという事を伝えてムトゥに任せる事にした。


 なんというか、アトとサトがオーファン達の中における年長者だけあって、見た目幼いキャシーに対して、お兄ちゃんお姉ちゃん的に世話を焼きそうな気がしないでもない。

 キャシーもそうあるべく動いているような気がする。が……実は同じくらいの年か……いや、確実にキャシーの方が年上だろうと内心思わないでもない。


 もちろんキャシーに年齢を聞くなんて野暮はしていない。

 聞こうと思った瞬間になんかヤバイ気がするんだもの。


 こうして、俺、アデリー、アニ、ネコミミメイドのレノラと蛇メイドのエレンで勇者の街に向かった。


 勇者の街に入り借りている空き地に車を停めてアデリーの店に向かう。

 きっとアイーシャはアデリーの店、エイミーはゴードン商会、アリアはその辺をウロウロしているだろうと思う。


 アデリーの店に入ると、思った通りアイーシャが居た。

 俺の姿を見て、少し怒るような顔をしつつ立ち上がるアイーシャ。


「おかえりなさいっ! もう、心配したのよっ!」


 扉の近くまでやってきて俺の顔を見てプリプリ怒り始め、俺の後ろにアデリー以外にアニや見た事のないメイドが居る事に気づき、戸惑ったような表情をみせた。


 胃がキュっとしめられるような感覚がする。


 でも……聞かないと前に進めない。

 それでもやっぱり、聞きたくない。


 ただ……知ってしまった今。もう立ち止まる事は出来ない。

 しっかりとケジメをつけないと、これから先、動けなくなってしまうだろうから。


「ただいま……それと遅くなってゴメン。

 彼女達はゴードンとは違う別の商会の人だよ。」


 俺の言葉にアイーシャの眉間にシワがよる。


「そう……どういう事になってるのか、説明はしてくれるんでしょ?」

「……もちろん。ただ……俺もアイーシャに聞きたい事があるんだ。」


 息を吸い込み、ゆっくり吐き出し深呼吸をしてから問う。


「アイーシャ……ゴードンとの関係について教えてくれないか?」


 アイーシャは一瞬だけバツの悪そうな顔をしたが、すぐに普通の顔に戻った。


「関係って? 何のこと? イチの知ってる通り、ただの商売仲間よ? それ以外は無いわ。」


 そう言って誤魔化すアイーシャ。

 俺はどう問い詰めようかと考えると昨日のアデリーの言葉が頭に浮かぶ。


 『思うままに、感じるままに行動したらいい』


 思い出した途端、肩が軽くなり、口が勝手に動き始めた。


「アイーシャ……俺は、アイーシャの事が好きだ。

 まぁアデリーの次にってなっちゃうのは申し訳ないけど。それでも、好きだ。


 俺は君と出会って話をした時にドキドキしたのをよく覚えているよ。

 初めて一緒にご飯を食べに行った時とかも本当にドキドキした。

 こうして一緒に過ごすようになってドキドキする事は減ってきたけど、その分、一緒に居て安らぎを感じるようになった……できればこれからも一緒に過ごしていきたいと勝手だけど思ってる。」


「わ、私だって、イチの事が好きっ! それに一緒に居たいと思ってる!」


 少し焦ったように答えるアイーシャ。


「ありがとう。

 ただ、俺はアイーシャに隠し事をいくつかしてる。

 そして、アイーシャもいくつか隠し事をしてるだろ?

 これからも一緒に居るのであれば、お互いの為にならない隠し事はしない方が良いと思うんだ……だから、アイーシャの隠している事を教えて欲しい。」


 俺はじっとアイーシャを見つめる。

 アイーシャも俺の言葉を聞いてじっと俺を見つめている。


 しばし無言の時が流れた。


 ……次の言葉でアイーシャが真実を語ってくれるのなら、アイーシャとのこれからを考えよう。

 もし真実を語らないのであれば、これからは……アイーシャと関係を持つのはやめよう。嘘に嘘を重ねる関係なんて、いい事はない。


 ふと、アイーシャが目線を外し俺の後ろのアニと、レノラとエレンに目をやり軽くため息をつき、何かを考え始めた。

 その視線に釣られてちらっとアニを見ると、ニヤニヤしている。


 アイーシャが急にがばっと両手で自分の顔を抑えた。


「あ~~~! もうっ!

 アニさんがそっちに居るって事はもう聞かなくても分かってるでしょうっ!」


 俺にアイーシャの言葉が突き刺さる。


 やっぱり……アイーシャは、ハニートラップ要員で間違いなかったのか。


 大きめの声を放ち口をつぐむアイーシャ。

 その様子に俺は思わず天を仰ぐ。


「それでも……君の口から真実を聞きたい。

 ……だから話してほしい。」


 アイーシャはどこか諦めたように息を吐き、ぽつりぽつりと話始めた。


「だって、私の他にアデリーとかエイミーとかがいるし……いつ私に飽きてイチに捨てられるか分からないじゃない! ……捨てられた時に困りたくなかったの!」


 アイーシャが涙目で俺を見る。


「だからゴードンと二人で会ってたのも、もしイチに捨てられた時の為の保険ってだけなの!」


 ……?


「でも、ゴードンと体の関係は無いわっ! 本当よ信じてっ! 好きなのはイチだけなのっ!」


 ……ん?


「えっと……アイーシャ?」

「お願いだから信じて!」


 アイーシャが抱きついてくる。

 戸惑いながらとりあえず頭を撫で、考える。


 アイーシャの言っている事が俺が思っていた内容と違う。

 何かがおかしい。


「えっと……アイーシャ。

 ごめん。それって……なんの話?」


「……私とゴードンの浮気を疑っているんでしょう?」


 ……


「いや違うけど?」

「えっ!?」

「えっ?」


 その後、改めてハニートラップについて問う事になったが、アイーシャはポカンとした表情を浮かべ


「ハニートラップ? なんのこと?」


 と。


 アイーシャは、ゴードンから俺に他商会が近づいて来たら『追い払う』か『報告してほしい』と頼まれてお金をもらっているだけで、俺と愛人関係を持ったのは個人的に狙っていた事だと。


 なぜアニが居る事で話す気になったのかと言うと、アニにはゴードンと二人でいるところを何度か見られていたからだとか。

 さらに問い詰めたり、アニの見た状況を聞いたりアイーシャの話をまとめて、俺の中で結論が出た。


 真相はこうだ。


 アイーシャ。

 アデリー絡みで俺と関係を持つも俺の中のアデリーの地位が高すぎて今の立場に危機感があり、ゴードンから他商会排除の依頼を受けている事もあり、活動を進める内にゴードンの稼ぎもおおよそ理解したから、このまま弱い立場のままでいるよりも、いっそのことゴードンの本妻を目指した方が良いんじゃないかと考え、ゴードンに粉をかけようとしていた。だ。


 うん。ハニートラップ関係ない。


 俺が自分の辿りついた答えが正しいのか疑問に思い首を捻っていると、アデリーが


「ハニートラップの疑念が晴れて良かったわね。イチ。」


 と言っていたので、きっと推測で間違いはなさそうだ。

 いや待て。


 それだと……逆にアイーシャは『浮気しようとしてた』って事じゃない? あれっ?


 アイーシャ以外にアデリーやエイミー、アリアと関係を持ってる俺が言う事じゃないけれどもっ!

 いや、やっぱそれってどうなの!? ねぇっ!?


 微妙に釈然としない気持ちではあるけれど、俺と一緒になった事やこれからも一緒にいたいと思う気持ちは嘘じゃなかったと知れて、どこかほっとしたような心地になった。


 ……なった……よ?


 もちろんアイーシャの浮気未遂? は……許したよ。

 未遂だし。うん。


 う~ん………


 とりあえず、アイーシャに俺の商会を立ち上げようと考えている事、勇者の街を離れる可能性がある事を伝えると、即答で俺と一緒にどこにでも行くと回答があったから信用はするけれど……う~~ん。


 まぁいいかっ!


 そうこうしていると、アリアが店にきたので、アリアにもハニートラップ疑惑を問うてみると

「ゴードンに頼まれて追っ払うとかはしてたけど、イチが嫌ならもうしないよ?」

 と、嘘偽りを一切感じさせない、というか何も考えていない事がわかる回答だった。


 なんとなく、ハニートラップ疑惑は、あくまでも疑惑だったに過ぎないと思い始めたので、そのままゴードン商会に行き、馬メイドエイミーを捕まえて話してみるとアリアと同じく、


「ゴードンにお願いされたのと、ご主人様の利益にもなると思い、義理を果たしていました。けれど、ご主人様の不利益に繋がるのであれば、もうしません。」

 

 と、一切の虚偽を感じさせない回答だった。

 3人に確認し終え、疑念が晴れた事により、すっきり良い気分になった。


 なので、そのまま鼻歌まじりでゴードンに会い、自分の商会を立ち上げる事とゴードン商会以外と取引を始める事を告げた。


 「ま、まって~なイチはん!」


 ゴードンにしてみれば青天の霹靂、藪から棒な話に、一瞬で泣きそうな顔になっていたけれど、今後もゴードン商会との取引()続けることは間違いないと伝え安心させる。


 ゴードンには、これまでかなり世話になった事も間違いないし俺だってゴードンとの関係を悪くしたいわけじゃない。ただ俺自身がゴードンにおんぶにだっこではなく、俺は俺で、俺の城を持ちたいのだという事を話すと、俺の意思が強い事を感じたのかゴードンは渋々ながらも理解を示してくれた。


 ゴードンにしても変に俺との関係を悪くするよりも、商売人として、これからの取引にできるだけ良い条件を保つ方に注力する方が良いと判断したからだろう。

 自分の顔を一度パンと両手で叩き、即切り替えて対商会として話をしてくれた。


 そして、アルマン商会と同じく、砦跡からの商品の引き取り、カジノのゲームセンター化を依頼。

 勇者の街では既にカジノが運営されていることから、換金有りから無しへの移行は、かなり困難な部分もあると思うが、ゴードンはそれを了承し引き受けてくれた。俺もその見返りとして俺の運営しているカレー屋やラブホテ……宿泊施設などの周辺に整えた施設を全てまるっとゴードンに譲る事にした。


 この話でアニも、これまでアニの取扱品目はゴードンから仕入れていたが、独自ルートとして俺から直接買い付ける旨を宣言し、俺とゴードンはそれを了承。


 こうして俺の『八百万商会』の取引先は、王都一の商会『アルマン商会』、勇者の街一の商会『ゴードン商会』、魔法使いにして勇者の街の甘味と食品の商人『アニー・クラウディオ』が決まった。


 早速翌日にカジノの方向性等が決定した事や俺の商会の設立などをギルドに報告に行く事になり、アンジェナに報告した。



 ら――



 「王都のギルドにイチさんの商品が流れるってことじゃないですかぁぁーーーっ!! ウチのギルドの利益がぁぁーーっ!」


 アンジェナが切れた。

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