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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
ニアワールド カジノ騒乱編

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122話 アルマン商会とのお話

 アデリーのフニョンは不思議な魔力を持っている気がする。

 朝からエロい人ことルマナさんが起こしに来るまで、ぐっすりと眠ってしまった。


 ねぼけつつも昨日俺のお世話係に任命されたドワーフちゃんが運んできてくれた朝食を食べ、アデリーと一緒に軽く風呂に入って汗を流し用意されていた服を着て、ヴィンセントと異母兄妹のスタンリー・アルマン、シェリー・アルマンと、ロニーを乗せて案内されるままアルマン商会に向けて車に走らせた。


 辿りついたアルマン商会は街の物流拠点と言わんばかりの大きな館で、なんと館の中に車に乗ったまま入っていけた。

 これは馬車で売りに来た商人から買った商品を、すぐに倉庫に移動させ、即物流に乗せるように配慮された作りなのだそうだ。

 車で入ると、大きなどよめきが起きるくらいの人がそこで働いていた。


 流石王都一を語るだけはある。


 車を指定された所に置き、案内されるまま上階の会議室へと向かう。

 いざ入ってみると、おおよそ10人程度のいかにも『仕事できます』って顔をした中年と青年の男達、紅一点で若い女の人がいるから、ついその人に目が向いてしまったが、よくよく見ると若い女の隣はオッサンに見える男前なオバサンだったので女の人が2人いることになる。


 ニアワールドは冒険者での男女の性差は無いが、一般家庭だと男が外で稼ぎ、女が家を守るという日本やフランスみたいな気風が強いので、商売の重要であろう位置に女の人がいる事は珍しい。

 これは有能であればそれなりの地位を約束するというアルマン商会……いや。きっとヴィンセントの意思が反映されているように思える。


 とはいえ流石にいきなり大人数を前にすると戸惑ってしまう。ただそれでも昨日の話にあったゲームセンターとエステサロンの詳細を詰める為に必要な最小人数のようで、この後がっつり3時間程、各種説明をさせられる事になった。


 説明と質疑応答が終わると、すぐに会議に参加していた人達は動き出し、アルマン家の人間だけが会議室に残り、休憩がてらの昼食会に変わる。

 昼食を取りながら、この後、王都を見物するかどうかを聞かれたので、午後はアルマン家の接待に任せて王都見学をさせてもらう事になり、色々見て回った。


 王都見学では、途中なぜか王城にも入っていき、そこに居た妙にニコニコした『オズワルド・アレックス・マシュー』とか言うオッサンも紹介された。が、紹介された時に色々周りから敵意が飛んできて嫌な予感しかしなかった。


 いかにも権力がらみというか、権力者を前にしている感じがして足がすくむ。

 ……怖いのはゴメンだ。


 一通り案内され、王都に暮らす人たちを見ていると、やはり勇者の街と比べてしまう。

 どちらかと言えば王都は『オシャレ』という印象が強いかもしれない。


 分かり易く日本を例にして例えるとすれば、勇者の街は大阪。

 王都は東京といった感じに思える。


 どちらにも良い点もあるし、悪い点もある。

 ただ商売をするなら、どちらもとても重要だ。

 むしろ流行りに敏感。権力の中枢という点では王都の方が大きな商売になりそうにも思う。


 この日は結局夕方まで見学をしてしまい、一気に色々見過ぎて疲れてしまったので、もう一泊してから翌朝帰る事を決め、またヴィンセントの家にお邪魔してアデリーフニョンでおやすみなさい。


 翌朝、帰るという段になってヴィンセントからアルマン商会への連絡方法が提示された。


 連絡方法。


『メイドを使え』


 あぁ……違った。


『メイド 達 を使え』


 だって。



 お世話係り兼連絡要員として、俺の世話に当たっていたメイドを全員連れて行けとの事、特に蛇娘はアルマン家にもう一人いる姉妹間での念話ができる能力があるので絶対に連れて行けと。


 予想外の事態に戸惑いつつアデリーを見ると、アデリーも『え~』って顔。


 俺も、このメイド達は俺にあからさまな『首輪』とか『鈴』を付けるって意味じゃねぇか。と思いつつ、なんとか回避しようと「住む所とかどうするの?」と聞いてみれば、砦跡に2人、勇者の街に3人住ませる形の手配が整っているそうだ。あぁ隙がねぇ。

 食事なども各自で手配するので気にしないで好きに使ってくれていいと。

 尚、服を着ててもやっぱりエロい人ことルマナさんも手を挙げてくれたが丁重にお断りした。


 ……だってルマナさん。

 とってもエロいんだもん。

 間違い起きちゃう。


 今だって、なんていうか『むちーん』というか『ぱっつーん』って感じで胸g……あれっ? 寒気がしたよ。 ハハッ。 こわいこわい。 こんな日常こわすぐるの。 だから来ちゃらめ。


 まったくもって抜け目がないレベルで準備万端なアルマン商会に対して、俺としても関係を悪くするような事は避けたいし、大いに利用したいと思っているので仕方なく『鈴』程度は了承することにした。


 本当はこんな関係は嫌だけど仕方ない。うん。

 みんな可愛くて美人だし、いざとなったらセクハラし放題なんだろうけど、ホント仕方ない。あ~仕方ないわー! 大商会と関係悪くしたくないからなー。アー、仕方ないわ―!


 チラ見してたら、アデリーもしぶしぶといった感じで了承してくれた。

 おれが悪いんじゃないよ。あるまんだよ。あるまんが悪いんだよ。


 こうしてアルマン家のネコミミ、ウサミミ、犬耳、蛇娘、ドワーフが、俺のお世話係に任命された。


 ちなみにネコミミが『レノラ』

 ウサミミさんが『ソフィリア』

 犬耳姉さんが『ベラ』

 蛇娘は『エレン』

 ドワーフちゃんが『キャシー』


 レノラとベラが戦闘もそこそこできる系メイドらしく、

 勇者の街には、レノラ、エレンとキャシー。

 砦跡にはソフィリアとベラが滞在する形で考えているとの事。


 流石にバンとはいえアラクネと蛇娘が乗るとかなり狭くなるので、ソフィリアとベラは別行動で勝手に砦跡に向かう事になった。


 ネコミミメイドのレノラ、蛇メイドのエレン、ドワーフのキャシーをバンに乗せて、盛大なお見送りをされながらアルマン家に別れを告げた。


 アデリーが不機嫌な感じになったので、アルマン家の屋敷で気になった、機嫌がよくなった話は聞けそうにないな……と思いつつ砦跡に向かう。


 ――やっぱりスピードと揺れでレノラとキャシーが酔った。なので、休憩は多めにとる。。


 しかし、ジャイアントが出ても、キャシーが炎で牽制し、レノラがストレス発散とばかりにエレンがタップリ毒を塗りつけたショートソードで切り付けまくると結構簡単に勝負はついた。

 ちょっと……エレンもキャシーも戦えるじゃん! と思ったが、ちょっと戦える程度だから口に出すのはおこがましいんだそうだ。

 俺の火の魔法よりは全然強いし、二人とも俺以上には戦えると思うんだけどね。はははははは。はぁ。


 順調に砦跡まで車を進め、今の人数だとアニを拾っても乗せることできないと思ったので、アニに対する言い訳を考えながらいつもの駐車スペースに停めると、アトが出てきて迎えてくれた。


 王都に向かう前に渡したガムを食べていたようで、隠しているつもりなのだろうけど時々微妙に口が動いているのが分かる。


 ムトゥに現状の報告を行っていると、アデリーから砦跡でもう一泊して行こうと提案があった。


 流石に3日も帰らないのは……と一瞬思ったが、エイミーやアイーシャ、アリアの事を思うと気が重くなってしまい、そしてゴードンにも会う気持ちが整っていない事に気が付いたので、有難く提案に乗ることにする。


 ――その夜、アデリーと一緒の部屋でのんびり過ごしていると、アデリーが真剣な表情で手招きしてきたので、近づくいてみると、アデリーが軽く抱きしめてきた。


 そして優しい顔で微笑みながら、静かに口を開く。


「イチ……貴方が今、明日を思って辛い気持ちになっているのはよく分かるわ。

 ……でもね。私は今……とても嬉しいの。


 だって、これまでのイチは、どちらか言うと流されやすかったじゃない?

 ゴードンとの商売でも自分から積極的に何かを売るというよりは、ゴードンに使われる方をあえて選んでいたように思うの。」


 アデリーは俺の肩に顔をのせ、しっかりと抱きしめてくる。


「使われるのは楽よ。

 本当に楽。


 でも今のイチは違うわ。

 ゴードンとの付き合いで沢山の事を学んで、吸収して、そしてしっかりと成長して変わったわ。


 王都でも、流されそうな場面はたくさんあった。なのに、イチは流されなかった。

 まぁ……最後にメイド達に…ちょっと流されたようにも思うけど……まぁ、それは今はいいわ。


 今のイチからは流されてどこかに行ってしまいそうな、急に消えてしまいそうな感じがしないの。」


 アデリーが俺を抱きしめる力が強くなる。


「八百万商会を作ろうって言ってくれた時……本当に嬉しかったわ。

 イチが自分でこの世界で立ち上がる事を決めてくれたと。そう思った。


 立派な事よ。

 本当に立派。


 貴方は他の誰も真似できない事が出来る。

 そしてそれを利用する賢さも持っている。


 アルマン商会という手段も手に入れて、今のイチはそれらを存分に使う勇気まであるわ。


 だから、大丈夫。


 ……明日、あの子達やゴードンに会ったら、イチの疑問を素直にぶつけて、そして話を聞いてあげてね。

 そして貴方の思うままに、感じるままに行動したらいいわ。


 私はどんなことがあってもイチの味方だし、貴方を必ず守るから。

 ……だから安心して。


 あなたは自由に生きていいの。」


 フニョンに包まれているわけじゃないのに、心が柔らかくなるように緊張が解け、俺はアデリーを抱きしめ、そしてゆっくりと眠りに落ちていった。


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