第7ページ 自由な精霊サラ
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「驚いた。契約の時に精霊王が出てきたという話を聞いた事がありますか?」
「遥か昔だが、例はある。じゃが、得てしてそういう場合、その契約者は歴史に名を残すようなことをしておる」
セレナ先生とリィーエン協会長の視線がこちらに向く。
そんなこと言われてもどうしていいかわからず、俺は無理やり笑顔を作った。
『そもそも、人族が精霊と契約すること自体何百年かぶりです。精霊王はあのような性格ですので、興味があったという理由だけで出てきたのでしょう』
確かになんだか自由そうな人だった。
王という貫禄はあまり感じなかったけど、雰囲気というか圧倒されるオーラのようなモノはあった。
「しかし、これでとりあえず契約は完了じゃ。もう精霊魔法を使えるはずじゃな」
「そうですね。使い方は明日からでも教えていきます」
「うむ」
そうか!
これでもう俺は魔法が使えるんだ!
そう思ったらなんだかテンション上がってきたぞ!
そうして、ガッツポーズをしながらふと上を見ると、昨日出会った風精霊のお姉さんがヒラヒラと手を振りながら降りてくるところだった。
『こんばんわ!いい夜ね』
「こ、こんばんわ」
親しげに声をかけてきた精霊さんに、セレナ先生とリィーエン協会長が、声もなく驚いている。
昨日と違い、静かな落ち着いた雰囲気ではなく、今日はどこかウキウキとした雰囲気の精霊さん。
『契約は恙無く済んだようね?』
「は、はい!」
『そう。では私と契約しましょうか』
「へ?」
この人今なんて言いました?
この精霊さんや、リィーエン協会長と契約しているリーンさんのように、きちんとした自我と姿を持っている精霊は、総じて中位以上の精霊だ。
その力は下位精霊よりも段違いに強いが、その力を精霊魔法で使う為には、個別の契約が必要となる。
その契約を、この精霊さんは自分と結んでくれると言っているようだ。
でも、上位精霊以上の力を持つ地水火風の四大精霊や、光闇の二極精霊といった例外を除き、基本的に個別の契約を結べるのは一体につき1人まで。
人側に制限はないけれど、精霊側にはそういう制限があると聞いた。
だから、精霊と個別の契約ができることは運の要素が強く、実際、かなりの使い手であるセレナ先生もまだ個別契約している精霊はいない。
俺はどうしていいかわからず、助けを求めるようにセレナ先生達を見る。
あまりのことに呆けていた先生たちも、その視線で意識が戻ったようで慌てたように精霊さんに話しかける。
「お待ちください、名も知れぬ風の精霊よ。それはベン少年と個人契約を結んでくださるということでよいのですかな?」
『変なことを聞くのね。それ以外にある?』
精霊さんは然も当然だというように頷き。
そして不思議そうに首を傾げた。
「よ、よろしいのですか?!」
『あら、おそらくこの子以上に面白い子は他にいないわ。そうは思いません?樹精霊様。ご挨拶が遅れまして申し訳ありません』
風の精霊さんは、リーンさんの方を見て、胸に手を当て恭しく一礼した。
『構いません。確かに、ベン君はとても魅力的な子です。貴方が契約したくなるのもわかりますわ。私もリィーエンがいなければ契約していたかと』
そんな爆弾発言を、リィーエン協会長を横目で見ながら悪戯っぽく笑って言うリーンさん。
それを聞いてリィーエン協会長は面白そうにこちらを見てくる。
いや、何が何だかわからない。
『それで、契約してくれるの?人の子』
「え!?」
俺がまた協会長たちの方を見ると、三人は揃って頷いた。
それを見て、俺も覚悟を決める。
「よ、よろしくおねがいします」
『ええ、こちらこそ。それでは契約しましょう。我が名はサラ。ここに貴方との契約を望む』
「わ、我が名はベンジャミン・ハイリッヒ・フォン・シュレルン。ここに契約の成立を宣誓する」
なんとなく、頭に浮かんできた文言を口に出す。
すると、俺とサラさんの身体が一瞬光り、何かラインのような物が繋がったのがわかる。
こうして俺は、風精霊のサラと契約した。




