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とある貴族の成長記録  作者: 安芸紅葉
第1章 幼年期・修行
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第13ページ 無人島生活一日目

料理ができないことに気づいた俺。

問題を棚上げしてひとまず近くに成っていた果物を昼食にする。

しかし、状況は頻拍している。

果物だけで一か月はさすがに無理…。


「食糧の確保は問題なさそうなのに、そのあとができないってなんだか情けないよなぁ」


家に戻ったら料理を習おうと心に決め、今後の予定を考える。


「まずは拠点を充実させよう」


今はもともとも存在した洞窟を土精霊の力を借りて、少し拡張。

崩れたりしないように整えただけ。

このままだと地面に直接寝ることになる。

時期的に寒くはないから、火はなくても大丈夫だけど夜までには確保しておきたい。


「となると、まずは木と葉っぱかな」


もう一度『サーチ』を発動。

強そうな魔物に動きがないことを確認し、洞窟に空間魔法のマーキングを行う。

これでこの場所がわからなくなることはない。


幸い回りは木ばっかり。

材料に困りはしなそうだ。


―――


「ふぅ…こんなもんかな」


風の精霊に力を貸してもらい、適当な大きさに伐採。

そのまま洞窟まで運んでもらったところで、お礼を言う。


ここからは細かい作業になるので、さすがに精霊の手を借りることはできず手作業だ。


「DIYとかしたことはないけど…」


なんとかなるかなと簡単に考えていたがなかなかに難しい。

今日はベッドを作って終わりそうだ。


集めた材木で骨組みを作る。

短剣を用いて大きさを調整しているんだけど、これがなかなか難しい。

前世の中学校で棚を作った時はのこぎりがあったからなぁ。


「そうか、のこぎりみたいにやろうと考えたからいけないんだ!」


土精霊に頼み盛り上げてもらった台の上に材木を置き、しっかりと足で固定する。

精神を集中し、短剣を上段に構える。


「はっ!」


一気に振り下ろし切断すると、さっきまでの苦労が嘘のようにスパッと斬れた。

剣の扱いは母さんが教えてくれた。

元々母様は他国から嫁いできた人で、祖国では達人と言われるレベルの剣の使い手だそうだ。


師匠から空間魔法と様々な分野の知識を、母さんから剣を、セバスから体術を、父さんからは純粋な魔法を習っている。

先生が多くて嬉しい限りだ。

5歳の子どもを一か月、魔物のいる無人島でサバイバルする修行を誰も止めなかったんだろうか?


考えながらも手は休めない。

ようやく満足のいく裁断ができて、これから組み立て作業だ。

とはいってもこれはそれほど難しいことはない。


ベッドの形になるように木材を配置し、要所要所を先ほど回収していたグランスパイダーの糸で縛り補強する。

その縛った上から、土精霊に泥を用いて固めてもらい完成だ。

少しだけ強度に不安はあるけど、5歳児が眠る分には問題ないだろう。


「よし!」


ようやくベッドが完成した頃、陽が落ちてきていた。

これから夕食の材料を取りに行って、火をつけなければいけない。

少し急がないとな。


―――


『サーチ』で見つけた川にやってきた俺は、今日の夕食を魚に決めた。

無人島だけあって活きのいい魚がたくさんいる。

普通にやっていたら俺では絶対に捕まえられないし、釣りもしたことないのでわからないけれど、俺には心強い味方がいてくれる。


「水の精霊さん」


声をかけると、姿を持たない低位精霊たちが近くに寄ってくる。

その子たちに魔力を与え、してほしいことを念じる。


精霊魔法の発動はこのやり取りが必要になる。

師匠との修行では、このやり取りの時間を短くできるように訓練もしていた。

たぶん、今この無人島修行も精霊との関係をより深めるためにということなんだろう。


公爵家の庭や、亡きお婆様の趣味により美しい花や木が並ぶ自然豊かな土地で、精霊たちも気に入っているが、この無人島とは格が違うようで、はやり人の手が加わっていない無人島だと精霊たちの力も数も段違いのよう。

ここでなら、より深い精霊との関わりを学ぶことができるだろう。


魔力を受け取った精霊たちが、了承したのがわかる。

精霊たちはそのまま川へと入り、いたるところで魔法を行使した。


「ありがとう!」


川の水に捕らわれるというかわいそうな魚たちを喜々として捕まえていく。

今日の夕食はこれで大丈夫。

明日からも困りはしないだろう。


洞窟へと戻り、次は火起し。

こればっかりは火精霊に頼ることができないので自力で頑張るしかない。

幸い前世の記憶もあるし、師匠たちにも習っているので火をつけることは簡単だ。

5分ほどで火をつけ終わり、木串に刺した魚を火にあてる。


十分に火を通し、満を持してかぶりつく。


「…まず」


初めての自炊は、泥の味がした。

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