舞踏会と急変対応
あーーーーつまんな。
舞踏会に出れるって聞いて「やったー!」って言ったのに、高い所から椅子に座ってみんなが踊るのを見るだけ。
でもそういうもんだよね。王様とか女王様ってそういう時は高見から見物してるもんね。
いつものトリオも騎士団の演習とかで山向こうに行ってて暇だし、ここにいても暇だなぁー
ミアは側にいるけど、舞踏会を食い入るように見てる。本当純粋でいい子だな。
突如、バターン!!と音がした。
しんと静まり返り音が止む。
どこ!?何が起こった?
注意深く見ると、中央付近に倒れている人がいるのがわかる。そこに人だかりが出来始める。
階段を駆け下りる。ヒールは邪魔なのでそこら辺に投げ捨てた。
「どいて!!」
手でどけるよう指示を出すと人だかりの中に道ができ、倒れている人がぽっかり見えるようになった。
中年の男性。
頸動脈を触れるが脈はない。呼吸も止まっている。
心臓マッサージをしなくては。男性が着ているベストが硬く押せそうにないので、胸元を力いっぱい破り捨てた。
周りは何をしているのか理解できていないが、王女がしていることなので誰も口出しできない。
胸部圧迫を開始する。
遠くからあの時の老人の医師が来ているのが見える。あいつに何が出来るのか。
……一分以内に開始できただろうか?
一分以内に開始出来た場合の生存率は90%、5分過ぎれば大幅に下がる。
一回肺にも酸素を入れておくか。
口から酸素を送り込む。よし、肺はちゃんと膨らんだ。
一回一回に力を込め押し続けると、呼吸が復活した。圧迫を止め脈を触れる。よし触れた……
すぅ~っと力が抜けて、その場にペタンと座り込む。ミアがすぐ駆け寄って手を貸してくれる。
私が立ち上がる時、老人医師が皆を振り返り、両手を天に上げ叫んだ。
「神のお力じゃ〜!!」
ちげぇよボケ!心臓マッサージのお陰だよ!強いては私の成果だよ!
その叫びを聞いて、会場がわっと湧く。
「王女様王女様!!」のコール。
まあ悪くない。
私はミアと共にその場を後にした。
翌日、騎士団が帰って来た。
城に着くなり三人とも走って来たようだ。
「メアリーちゃんメアリーちゃん!!聞いたよ!!!」
あの医者も役に立つことがあるんだな。私が華麗に人を蘇らせたとでも言ったんだろう。
これが広まって私が病に精通しているとなれば、あの病舎という所にも行きやすくなるというもの。
フランが興奮気味に続ける。
「国中の噂だよ!!
メアリーちゃんが『抱いて!』って叫びながらオジサン押し倒して、公衆の面前で無理矢理服を脱がせてキスしたって!!!」
思わず口に含んでいた水を吹き出す。
…………あ?
「お前がそこまで欲求不満だったとは……何かごめんな気づかなくて……」
とトニー。
「メアリーちゃん!僕という者がありながらなんで!?
オジサンより僕の方が美しいし若いのに!!
いつでも相手してあげるのにー!!」
「アハハ!オジサンが好きなら早く言えよ、姉弟なのに水くさいな〜。いつでも紹介してやんのにー。
どうりでトニーやフランに手を出さない訳だー
欲求不満爆発すんまで我慢すんなよー!ハハハ……」
うん、もう絶対アーシュは後でぶん殴ろう。
『抱いて』って言ったか……?
ああ、あれか『どいて』がそう聞こえたのか……
どっと疲れが出てきた。
ミアが慌てふためきながら三人に事実を伝えてくれる。
「なんだそんなことだと思ったよ〜!さすが俺の姉!!」
うん、もう絶対アーシュは殴る。




