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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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新たな街

 次の街へ到着した。だんだんあの国に近づいているのだろうが実感はない。

 市場へ行き品物を見てみるが、野菜や果物、衣料品や装飾品など私たちの国と大差ないようだ。

 今まで訪れた国は魔力をそれぞれの方法で使っていたが、ここの人々はどんなことができるのだろう。


 そう言えばあの少年も何か魔力を使えたのか?

でも私の炎の剣を見て、魔力が使えるのかと驚いていたところを見ると、使えないと考えるのが妥当だろう。

 使えない種族がいるということか、己の力に気づいてないだけなのか。親に魔力について教えてもらう前に捨てられた可能性だってある。


 市場を見回っていると雨が降ってきた。

次第に雨足が強くなってきたので私たちは足早に店の軒先に避難する。


 だが周りの人間の違和感に気付く。

誰も雨から身を避けようとしないし、雨宿り先を探すこともない。雨が降る前と同じように買い物を続けている。


「雨に濡れることが嫌じゃない人たちでしょうか……?」

ミアが周りを見渡しながら言う。


「いや……よく見たらわかるが、誰も濡れていない」

トニーが険しい顔を見せる。


「これがこの国の魔力……?」


 私たちの前を子供を抱いた女性が通りかかった。

この女性も子供も、雨の中歩いているのに髪の一本すら濡れていない。子供は眠たそうに目をこすっている。

立ち止まり、私たち全員を確かめるように見ている。

「他国の方ですか?」


「はい、そうです。少し離れた国の……」

「そうですか。それはお困りでしょう」

そう言ったかと思うと、私たちの頭上に手をかざした。頭の上の高い位置から温かさを感じる。


「これで大丈夫。しばらくは濡れませんよ」

「ありがとうございます。これは魔法ですか?」

私の問いに子供を抱き直しながら笑顔で答える。

「この国の者が使える力です。天候を変えることは出来ませんが、天候に左右されないで過ごすことが出来ます」


「凄いですね! いつでも出掛けることが出来るということですか?」

アーシュが興味を持ったようだ。


「そういう訳でもないんです。

強風の日は、自分自身に風が当たらないようには出来るのですが、風で飛んできた物からの防御が出来ないのでそんな日は出られませんね」


「ですが、こんな天候の日はとても役に立ちますね」

女性に話しかけると、抱いている子供に目を向けながら話し始めた。

「そうなんです。私自身だけでなく、手に触れている子供や物も守れるのでとても便利ですよ」

「それは素晴らしい。子供さんも安心ですね」


 女性は頷きながら続けた。

「今日の宿はお決まりですか?

もしお決まりでなければ、うちが宿屋なので良ければいらしてください」


 女性に案内されるまま宿屋へ移動する。

土砂降りになってきたが私たちは濡れることなく移動することが出来る。


 移動中、女性から私たちの魔力について聞かれた。

火の魔力と水の魔力をそれぞれ扱えることを伝えると、輝いた笑顔になった。

「それじゃ戦うことが出来ますよね!?」

「え……ええまあ」


 そうですか、そうですかと嬉しそうに頷いている。

なぜそのようなことを聞くのか尋ねようとした時、宿屋に着いた。


「ご案内しますね」

子供を年配の女性へ渡し、2階へと案内される。


 歩きながら女性が話し出す。

「最近は宿屋のお客さんが減っているので何部屋でも空きがあるんですよ……」


 こちらも女性について行きながら話しかける。

「お客さんさんが減る何かがあったのですか?」

「それは……」

遠くを見ながら口ごもる。


「あ、ここです。この二部屋をお使いください。

お食事は一階でも出来ますし、食事が出来る店も外にたくさんありますので好きな方でよろしいかと」


 部屋は簡易的な作りでベッドが人数分あるのみ。

だが馬車の中で寝るより何倍も楽だ。




――――――



 その夜、一部屋に集まり御者も含め五人で今後について話し合っていると、ノックが鳴った。


 ドアを開けると、女性と年配の男性が立っていた。

「夜分に申し訳ありません。娘からあなた方のことを聞いてご相談がありまして……」


 二人を中に招き入れ、全員で話を聞くことにした。


 年配の男性が静かに口を開く。

「実は、化け物を退治してほしいのです」

「化け物?」

トニーが怪訝な表情を浮かべて聞き返す。


「はい……。ここ数カ月、山から化け物が下りてくるようになり、家畜や飼っている動物を食い荒らすのです。怖くて誰も夜に出歩くことが出来なくなり、この街を訪れる人も減ってしまいました」


「それはお困りでしょう……」

ミアが二人に目をやりながら言った。


 女性が話し出す。

「私たちの魔力は戦うことに適していないので、どうしたらいいかわからなくて……

あなた方の力を貸して頂けないでしょうか……」


 皆で目を合わせるが、考えることは同じのようだ。

「私たちで退治できるかわかりませんが、やってみましょう」

私がそう言うと、他の皆も頷き始める。


 女性の顔がパッと光を差したような笑顔になる。

「ありがとうございます!

出来ても出来なくてもここの宿代は払っていただかなくて結構ですので!」









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