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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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修行の終わり

「兄上とどういう関係なんですか!?」

帰ろうとしているとリリーに詰め寄られる。


「どういうって……」


「毎日一緒に寝とるだけじゃ」

レアンがいらんことを言う。


「はぁ〜!? どういうことですか!?

兄上ぇ!!」

アーサーがライオンの姿になり駆けて行ったので、

リリーもライオンの姿になり追いかけて行った。


「あら、行っちゃった……」

一気に静かになる。


「寂しくなるのう……」

横に立ったレアンが呟いた。

「修行が終わるという事は別れを告げなければならないという事じゃな……」


 改めて言われると胸が締め付けられる思いがする。

「楽しかったです……でもやはり別れは寂しいですね」


「そうそう、これは返しておこう」

と、魔力封じの石を渡される。

「今は不要だろうが、いつか必要になる日が来るやもしれん」




―――――



 翌日、ゼインたちがいる湖までレアンとアーサーに連れて来てもらった。リリーの誤解は解けたようだが、すぐに城に帰らなければいけないので昨日のうちに帰ったようだった。


 ゼイン、ドレイク、クロエ、ミアが出迎えてくれている。


 アーサーが突然叫びながら走り出した。

「ゼイン!!!」

勢いよくゼインの胸に飛び込む。


「アーサー!元気だったか……?」

ゼインは微笑みながら優しくアーサーを包み込んでいる。


「ゼインはこの国に来た時によくアーサーの面倒をみておったのだ」

レアンが静かに語り出す。

「アーサーは他の兄弟から相手をしてもらえなかったこともあって、ゼインを本当の兄のように慕っておった」


「そうなんですね……二人とも本当に嬉しそう」

 二人の笑顔を見るとつられて笑顔がこぼれてしまう。


 私がレアンを振り返ると優しく微笑んでくれていた。


「本当に本当にありがとうございました。

自分で力をコントロール出来るかずっと不安だったけど、レアン様に教えてもらえて光栄でした」


 肩に手を置かれる。

「もうお主は自分の力をコントロール出来ておる。何も怖がることはないからのう。自分を信じるのじゃ。

ハハ……泣くな泣くな」

と、言って涙を指で拭いてくれる。


「この数日、だったけど、すごく楽しくて……、

とても濃い時間を、過ごせ、ました……」

涙声なので少しずつ言葉を発する。


 アーサーが戻って来てそっと私の腕に触れる。

見るとアーサーの目にも涙が光っている。


「メアリーさんと一緒に過ごせて楽しかったです。

また会ってもらえますか……?」


「もちろん……! 絶対に会おうね!」


 私たちは力強く抱擁を交わし、私はゼインたちの元へ歩みを進めた。


 

――――――



 すぐにゼインが駆け寄ってきた。

「体は……体は大丈夫か……?」

「え? 大丈夫だけど?」


 何?珍しく動揺してる?


 ドレイクが笑いながら声を掛けてきた。

「我が王は、レアン様から手を出されてないか心配しているのだ」

「え!? それはないから!!」


 ゼインがホッとした表情を見せる。


 毎日アーサーと一緒に寝てたって言ったら大変な事になりそうなので言わないでおこう。



――――――



 翌朝、早く目が覚めたのでミアを起こさないように部屋を出た。


 今日はやっと国に帰れる日。トニーやアーシュに会えるのが楽しみ。

 窓から湖が見える。霧が出ていて幻想的なのでつい外に出て来てしまった。


 湖の水は少し冷たい。覗き込むと自分の姿が映った。霧のせいで湖の向こう岸も見えない。

 そろそろ帰ろうと立った時、後ろからトンッと背を押された。


 景色がガラッと変わり、冷たい水の中へ水しぶきをあげて落ちていく。湖に飲み込まれているような感覚。

 衣服が身体に張り付いて上手く手足を動かせない。動けば動く程に沈んでいく感覚がある。


 苦しい……息が続かない……


 その時、腕をグンッと強い力で上へ引っ張られる。その腕に必死にしがみつく。

 わかる。知ってるこの腕は……


 水面の上に出たのでゴホゴホッと激しい咳が出た。

荒い呼吸で顔を上げるとゼインが岸を睨んでいた。


「血迷ったか……」


 ……霧の中にぼんやり人影が見える。誰…?

だんだん霧が晴れていき、その人物が露わになる。



「クロエ!!」

ゼインの大きな声が湖一帯に響いた。


 クロエが何も言わず、そしてその場を動こうともせず立ったままこちらを見ている。


 私は岸に上げられ呼吸を整えながらその様子を伺う。

 ゼインがクロエに話しかけながらズカズカと岸辺を歩いて近付いて行く。

「何をしたかわかっているのか!?」


 クロエが静かに口を開いた。

「私は長年ゼイン様をお慕いしておりました。

でもこの王女が……」

 ゼインは全て聞く前にクロエが腰に差していた剣を抜き、クロエの左腕をバッサリ斬り落とした。クロエはうめき声を上げ左肩を押さえ地べたに座り込んだ。


 私は驚き過ぎて息が止まりそうになる。


 ゼインはその剣を地面に投げつけ私の元へ戻って来た。

「大丈夫か? 宿に戻ろう」

と抱き抱えられる。


「でもクロエさんが……」

「あの位ならベビになり自己再生できる」

と無表情で答えられる。


 だが、クロエを見ると様子がおかしい。

気味悪く笑っている。

「あの女に唆された私が悪いのね……」

そう言うと、自分の首に剣を……!!


 ゼインが瞬時に動いたが間に合わず、首から血しぶきが上がった。

 周りの草木が鮮やかな赤に染められていく。


 ゼインはクロエを抱きかかえた。

「何故……こんな……」

クロエは目を閉じながら消えそうな声を発した。

「最後にゼイン様に触れられて……幸せです……」

それだけ言うと、ヘビの姿になり動かなくなった。





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