アーサーとの夜と修行開始?
クシュン! とくしゃみをしてしまった。
「中に戻りましょうか」
アーサーが笑いながらこちらを見ている。
「さあ……どこで寝る? 一緒に藁で?」
アーサーを見ると、視線が合い優しく微笑まれる。
「洞窟の中は寒いから私が温めますよ」
温める……??
途端にアーサーがライオンの姿になった。
「これなら毛皮の毛布と同じで寒くないでしょう」
私の身体を取り囲んでくれる。
たてがみがフサフサなので気持ちがいい。本当に毛布みたい。動物の体温で少し高めなのか身体も温かくなり落ち着いてくる。匂いも干したばかりのお布団のみたい。
「あったかくて気持ちいいね」
撫でながら言うと、
「私もメアリーさんの体温で温かいですよ」
とライオンアーサーから返ってきた。
さあ寝よう。明日から修行の日々が待ってる。
朝起きると、目の前に人間アーサーの顔があってビックリした。
寝ている時に石に触れてしまったのかな?
それとも、寝て魔力が落ちて元に戻った?
石がなくなっていたら大変と思い懐を触れるとちゃんと入っていることがわかった。
近くで見ると本当に綺麗な顔立ち。睫毛まで白くて触りたくなる。目を瞑っていても綺麗さが伝わってくる。
触れてみようと手を伸ばした時、パチッと目が開いたのでドキッとする。アーサーは勢いよく飛び起きた。
「あれ!? 私いつの間に元の姿に戻ったんでしょう……」
不思議そうに首を傾げる。
「深い眠りに入ると魔力が消えるのかな……?」
一人で考え込んでいる様子。
「やっと起きたか」
少し離れた所からレアンの声が聞こえた。
入口付近に腰掛けて私たちを見ている。
この人は寝たんだろうか……
全然疲れた様子はないけど。
「あれ……なんか匂いが……」
アーサーが何か言いかけた時、レアンがアーサーに目配せをしているようだった。
私と目が合うアーサー。
「い、いえ、なんでもないです……」
「夜にお楽しみだったから朝起きれなくなったんだろう! ワハハ……」
豪快に笑ってるが絶対誤解されている。
「ち、父上! 私たちは何も……!」
アーサーが真っ赤になって焦りながら否定している。
「構わん構わん! ワシの八番目の妃にしようと思ったがお前にくれてやるわ!ハハハ……」
もう聞く耳持たない感じ。
いやいや、八番目の妃って……私の同意は?
「さ、行くぞ!」
レアンはそう告げると大きな白いライオンへと姿を変えた。アーサーのライオンの倍以上はあり、迫力も段違いである。
「ワシの背に乗れ。その方が速い」
そう言われたのでレアン王の背に跨ろうとするが、
「いえいえ! 父上! 私の背で大丈夫です!!」
と、アーサーがライオンの姿になり言ってくれた。
確かに、国王の背に乗るって勇気いるし、罰当たり感が半端ない。アーサーは王子だから私と同じくらいの地位かな。
ライオンの走る速さは馬より速かった。あまりに怖くてたてがみをしっかり握ってしまい、アーサーが痛いのではないかと心配になったが「大丈夫です」と返答があった。
ただライオンなので表情がわからない。困った顔なのか、笑顔なのか、気を遣ってくれているのか。
修行が出来そうな場所に行くと思ったら街に着いた。二人とも着くなり人間の姿になってサングラスをかける。
「アーサー、青色のサングラス似合ってるね」
「え? この色グラスのことですか?」
「うん、大人っぽく見える。国王と王子だから変装してるの?」
「いえ。変装ではないんです。私たちは瞳の色素が薄いので、明るい所ではかけていないとすぐ瞳を傷めてしまうのです」
「そうなんだ!!確かにシルバーは色素薄いもんね〜」
話しながら街の門を通って行く。
入った途端にレアンの元へ民衆が押し寄せてくる。
「国王様! 見てください! 子供が産まれました!」
「国王様! だっこして!」
「お会い出来て嬉しいです!」
距離も近く、手や腕を触ったりと自由に触れている。あっという間に人の壁が出来上がり、私たちと距離が遠くなる。
「すごい人気だね……」
「はい、いつもなんです。これから長いですよ」
「え? どういうこと?」
「民衆一人一人の話を聞いて、困っている事があれば改善点を示したり、手伝いがいりそうであれば家まで行って手伝ったりするので」
民に愛される王。ただ愛されるだけではない、自らも民を愛しているのだと思った。
「父上〜また来たんですか〜?」
人混みの向こうから冷たい声がした。
人が邪魔で良く見えない。が、その声の主が国王に近づくと人の壁に道が出来始める。
現れたのは、白く長い髪に青いサングラスの青年。騎士たちを引き連れている。
その姿で国王の血筋だとすぐにわかった。
アーサーより年上で冷たい雰囲気を醸し出している。




