ファンキーサンタ☆
え? 今なんて言った?
「レアン様! その娘はそれでも他国の王女です!
王女を簡単に連れて行くのは……!」
ゼインが慌てて訴える。
それでもって失礼じゃない?
まあ大して王女らしい事は何もしてないけど。
しょっちゅうあちこちに連れ回してるのアナタですが。
「それが? ワシにとってはただの娘じゃ。
お前の妃でもなかろう」
後ろを振り返り鋭い眼光で黙らせる。
ゼインは何か言いたげな表情を浮かべている。
ゼインが何も言わないのを確認するとまた視線が戻ってきた。
「お前自身で決めるがよい。無理強いはせん。
ここにいてジタバタもがくか、ワシと行くか」
サングラス越しの瞳が輝きを増す。
ただし、ワシと来るなら必ずや魔力をコントロール出来るようにしてやろう」
「行きます!!」
即答。この人の発言にはなぜか重みがある。「必ず」という言葉もだが、何よりこの瞳に嘘がないことが伝わってくるのだ。
私の答えを聞き「良い選択だ」と、しわくちゃの笑顔を見せられ頭を撫でられる。
「では文句はないな。この娘の判断だ」
ゼインへ向けられる言葉。
そして、ひょいと肩に担がれる。
「え! も、もう!?」
私の驚きも想定していたようで無視される。
「早い方が良かろう」
ゼインに目をやるが何も言えない様子。
ゼインが動かないのでドレイクたちも待機している。
「では我が家に案内しよう」
口にパイプをくわえ、左肩には私、背中には武器を担ぎ歩き出す。三人に別れも言えず離されてしまった。
それから足早に森を抜けたが、レアンの身体能力の高さに驚かされる。荷物や人間を抱えているとは思えない程の身のこなし。川も石の上をトントンと飛び通り抜ける。肩に触れるだけで筋肉はドレイクのそれよりも分厚く大きいことがわかる。
しばらく進んだ所で下ろされる。
木々に囲まれた小さな湖のほとりに洞窟があった。
その入口に着くと「ワシの家だ」と紹介された。
「え!? お城に住んでないのですか!?」
「城は狭すぎてのう。この森全部がワシの家じゃ」
「国王様なのに護衛も付けてないのですか?」
ガハハと豪快に笑う。
「ワシは最強だからそんなもんはいらん」
洞窟を顎で指す。
「中でゆっくりしておれ。何か食べる物でも用意しよう」
そう言ってさっさと行ってしまわれた。
言われたとおり中に入る。
外よりひんやりしていた。ポトン、ポトンと中から水がしたたり落ちる音がする。
「あんまり広くないな……」
思わず呟いた。
火をおこした跡もあり、ランプの様な灯りも置いてある。一部分に藁が敷いてありベッドのようにふかふかだ。
ベッドの様な所に腰を下ろした。
まあ、寝れなくはないかな、というかここでどのくらい過ごす事になるのだろう。
どんな過酷な修行が待っているのか。
不安がないと言ったら嘘になる。
だが、自分の判断が正しかったと思いたい。
後悔しない為にもやり遂げなければ。
――――――
「我が王……これで良かったのですか?」
レアンたちが見えなくなったのを見計らってドレイクが声を出した。
「仕方ないだろう……あの爺さんには頭が上がらんのだ。子供の頃、この国に預けられてどんなにしごかれたか……
まあお陰で強い魔力を引き出す事が出来たが」
「ですが、あの方は……」
クロエが言いにくそうに声を上げた。
「なんだ?
……あッ!!しまった!!忘れてた!!!
あの爺さん女好きですぐに手を出すんだった……」
「はい……早く言わなくて申し訳ありません……」
「あのエロジジイ……」
ゼインの拳に力が入る。
「メアリー様大丈夫でしょうか……」
ミアの心配する声が風にかき消されていった。
――――――
いつの間にか寝ていたようだ。
洞窟の入口付近で音がしたのでレアンが帰って来たのだろうと目をやる。
……が、そこにはオスの白いライオンが入って来ようとしていた。
衝撃で心臓が止まりそうになる。
グルル……と唸り声を上げながらゆっくりこちらに足を進めてくる。
火を出す?出せる?
ゆっくり左手をかざそうとするが、一瞬で身体の上に飛び乗られ後ろに倒される。
グルルグルル……と唸り声が強くなる。そして何と言っても重い。重石を乗せられているようだ。胸付近に乗せられている前足に肉球の感覚さえ感じる。
顔や首の匂いを嗅ぎながらも唸り声は維持されていた。
「よさんか!客人ぞ!!」
レアンの突き刺すような声が洞窟に響いた。
すると白ライオンはパッと飛び降り、あっという間に青年に変身した。
肩までの長さでサラサラの白い髪にシルバーの瞳。
神秘的な美しさを持ち合わせている。




