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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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魔力コントロール

 今日からは実際に火を出してみろと言われた。

湖のそばで左手をかざし、力を入れるが何も変わらない。熱くなる感じもない。

 またドレイクやクロエやミアにも見守られており、ちょっと緊張する。


 ゼインに目をやると剣を抜いてミアに近づいていた。

 スッと剣先をミアの首元に近づける。ゼインの目がこちらに向けられた。ミアとも目が合う。ミアは、驚きも恐怖も感じていない表情だ。


 しばらく間を置いて、「やはり無理だな……」と呟きながら剣を鞘に戻していた。


 なるほど!私が力を出せるか試したのか!

確かに会って間もない頃であれば出せたかもしれない。

 でも今はゼインがそんな事をするとは思えないので恐怖心が全く湧かない。ミアの表情からも同じ気持ちだと察することができる。


「どうしたものか……」

ゼインが難しい顔をして考え込んでいる。


 元々魔力を使える訳ではないからだろうか。

そもそもコントロール出来るものなのだろうか。


 その時、遠くから聞き覚えのあるドドド……という響きが。


「なんといい所に……!」

ゼインの目が輝く。


 また猪の群れか……と思ったら、今度は数倍はある猪!

「火山と魔力の影響か……」と一人納得しているゼイン。私の手を取り猪の進行方向へ立たせる。


「お前たちは手を出すな」

ドレイクたちに指示を出し、自分の後ろへ行かせている。


「集中しろ」

一言だけ言って少し離れた場所に移動している。


 猪は我を忘れたように一直線に突進して来た。

とりあえず左手をかざす。

無理無理怖い怖い……!集中なんか出来る訳ない!!


 思わず頭を抱えしゃがみ込んでしまった。

すると、目の前に突如ゼインの背が見え一太刀で猪を真っ二つにする。猪の二つになった身体がドサッと地面に転がった。


 怒られる……?

恐る恐る顔を見上げると、気恥ずかしそうな表情を浮かべている。


「俺が我慢出来なかったな。危ないと思ったら自然に動いてしまった……」


「仕切り直そう」と言って木陰に誘導される。


 私があまりに魔力のことをわかってないのでクロエが説明してくれることになった。

「まずどんな魔力で何が出来るかは国によって違います。

 メアリー様の国では、火と水の属性魔力ですが、鳥人の国では魔力で飛ぶ事が出来ます。

 ドミナー王国では、ゼイン様の王族のみ自身の治癒魔法を使えますが、他の国民は結界魔法のみです。

 この動物の国は変身する時やそれを維持する事に魔力を使います。」


「みんな産まれてすぐに魔力を使うことが出来るの?」

「大抵使えます。手や足を動かす事と同じように特に意識せずに使えることが多いですね」


 じゃあ私、というかメアリーはなぜ使えなかったんだろう……


 私の考えを読んだようにクロエが話し出す。

「メアリー様は力が強すぎて故意に出さないようにされていたのかもしれませんね」


 そう言えばゼインもそんな事を言っていたような。

敢えて左手から出しているとか何とか。





「なかなか派手にやっとるのう」

声がした方を振り返ると、


 艶のある白髪に立派な白い髭、青いサングラス、分厚い胸板に赤いコート、パイプをくわえた男の人が木にもたれて立っていた。袖から見える前腕ですら筋肉が見てとれる。

 さらに足元には大きな鎌のような武器が置いてあった。


 ファンキーなサンタクロースだ!!

心からそう思った。その言葉がピッタリハマる。


 ゼイン、ドレイク、クロエが微動だにせず放心状態?……と思ったら素早くひざまずく。


 何が起こったかわからないが、真似して私とミアもひざまずいた。


「ゼインよ、久しぶりやのう。元気にやっとるようだな」

「レアン様もお元気そうで何よりです!」

なぜに敬語?そしてゼインの緊張が伝わってくる。


「ドレイクとクロエもちゃんと役に立っとるか?」

「それはもう……私の右腕としてとても助かっております!」


 ゼインが必死に会話している様子を見て笑いそうになる。


 ドレイクが小声で「この国の国王だ」と教えてくれた。


 この人が国王!?今までの国王と全然違う!!

ファンキー爺ちゃんじゃ……

 目が離せないでいると自然と目が合ってしまった。


 途端に目を細められる。

「これはこれは。なかなか難しい娘を抱えておるのう」

「はい。この娘の魔力をコントロールする為にやって参りました。城に挨拶に行けず申し訳ありません」


 え? 難しいって私? そして見てわかるもの?


「まあこの国は火の女神がいた地であるからそれには最適であろう」


 え!女神伝説本当だったんだ!連れ出す口実なのかと思ってた!


 パイプを口から外し煙を吐きながらゆっくり私の方へ歩いて来る。目の前まで来ると、私を見下ろし上から下までゆっくり眺められる。


「これはお前じゃ無理だろう、ゼイン」

「少々……手こずっておりまして……」


 しゃがんで視線を合わせられ、にっこり微笑まれる。



「では、ワシが預かろう」






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