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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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フランの想い、メアリーの想い

 フランがごろんと床に寝転ぶ。

「じゃ殺れよ。これなら殺しやすいだろ。

そのナイフがおもちゃじゃないってとこ見せてみろよ」


 ナイフを両手で握りしめたままゆっくりとフランのそばへ歩いて行く。


 こうするしかない。

 

 寝転んでいるフランの横にそっと座る。


 ここで殺さなければ私が殺される……

国のためにもやらないと……

 これは正しいこと……


 フランの胸の上に刃先を向ける。


 自然と言葉が出てくる。

「優しかったよね」

「は?」

「いつも笑ってたよね」


「何だよ思い出話でもする気かよ」

フランは面倒くさそうな表情をして額に手をあてる。


「暴走した時助けに来てくれたよね」

胸が熱くなる。


「元気ないと泣きそうな顔で心配してくれたよね」

涙が込み上げてくる。


「何回も好きって言ってくれたよね」

声が震える。


「演技が上手過ぎて殺されるなんて思わなかっただろ……」

フランが力ない声で呟く。



「好きだったのに。大好きだったのに。

みんなでずっと一緒にいたいって思ってたのに。

一緒にいて楽しかったし幸せだったのに!!」

涙があふれて床に落ちていく。


 フランは何も言わず目を手で覆っている。


 大きく深呼吸をした。

「……できないよ」

 ナイフが床に転がる。


 フランはそのままの状態で口を開く。

「……いいのか? 国が滅びるぞ。

王女が死ねば他の国が戦争を仕掛けて、負ければ最悪国民全員が奴隷にされるぞ」


 涙がポロポロこぼれる。両手で押さえてもあふれてあふれて止まらない。

「だってできないもん!!」


 フランの目がこちらに向けられる。


「今のフランが私の知っているフランと違っても、

今までしてくれたことが全部なくなるわけじゃない。

 王女としては失格だし、国のためには間違った選択だと思う。

 でもできない。」



 涙は止まらないが、精一杯の笑顔を見せる。


「いいよ、殺して」


 フランがガバッと起き上がる。

何も言わずじっと見つめてくる。


「私はどう考えても殺せない。

フランを殺すか自分が死ぬかの選択肢しかないなら

決めるのはそう難しくないよ」


「はい」と言ってナイフを渡す。


 にっこり笑って見せる。


「今までありがとう。フラン大好きだよ」

言ったと同時に涙が頬を伝う。


 言い終わると同時にフランから強く抱き締められる。

「俺もだよ……」


 この匂い知ってる。太陽の匂い。いつものフランの温かさ。いつものフラン……


 抱き締めたままフランが話し出す。

「この二年、ずっと命を狙ってた。

夜中に部屋に忍び込んだこともある。」


 背中に回されている手に力が入る。

「でも出来なかった。何度も何度もやろうとしたけど結局出来なかった。」


 身体を離され目を見つめられる。

「俺にはお前を殺すことが出来ないんだよ……」

フランの目に涙が光る。


 それから話をしてくれた。


 あの黒いコートの女はモネというらしい。

フランとモネは捨て子で修道院で育てられた。

 兄弟のように仲が良かったが、三歳の頃フランは魔力が強いという理由で城に行くことになった。

 その後も会っていたが自然と疎遠になっていった。


 二年前、フランは演習で山の中に行った時に遭難したらしい。その時に助けてくれたのがモネだった。

 二人は会わなかった時間を埋めるように濃密な時間を過ごした。

 

 フランは城で何不自由なく暮らしていたが、モネは貧しい暮らしで食べていくために危険な仕事もしていた。フランは不憫に思い、数カ月間モネの仕事を手伝った。殺しも強盗もモネに言われるままに。


 そして最後に王女殺害を依頼されたと。それを受けるならば城に帰っていいと言われたとのこと。


 そして城に帰って来て今に至る。


 先日の薔薇園の件もフランが手引きしたと言う。

 私に危険が及ばないよう、あえてトニーが警護の時を狙ったのだが私が負傷してしまい、自分が許せなかったと。



 顔を上げると視線がぶつかり、自然と唇を重ね合わせていた。なだれ込むようにベッドへ行き互いを求め合って朝を迎えた。


 朝起きた時、フランの姿はそこにはなく小さな紙切れに「今までありがとう」と書かれてあった。




 フランはその日から姿を消した。

みんなで手分けして探したが見つけることは出来なかった。




―――――――



 ミアが何かに気づいた。


「ダリアが枯れてしまいましたね。片付けましょうね」


「本当ね……花言葉は『裏切り』でしょ?」


「え?」

ミアが驚いて顔を上げた。


「ああ、そういうのもありますが、

 白のダリアは


『感謝と豊かな愛』

ですよ。フランさんらしいですね」



 窓から入ってきたそよ風がダリアの花を散らしていった。








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