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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話  作者: VANRI


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4/12

アーシュの役割

 夜、寝ようと思った時にふと気づいた。


 この子、メアリーはなぜ意識を失うほどの大怪我をしていたのか。

 現実世界の私なら交通事故だとわかる。だからと言ってこの子まで影響する訳がない。


 明日誰かに聞いてみよう……そう思いながら眠りについた。



 翌朝、イケメン三人がまた私の部屋に来てくれた。


「これは……」

「メアリーちゃん綺麗だよ」

「そうこなくっちゃ!さすが、俺と同じ血が流れてるだけのことはあるな」


 そうだろうそうだろう。

今日は、朝からミアが髪型セットやら化粧やらしてくれてドレスや装飾品まで豪華な物で着飾ってくれた。

嬉しくて自分でずっと鏡を見続けてたもの。


 ……が。非常に動きづらい。何でこんなボリューミーなのこのドレス。

ウエストもコルセットで吐きそうなほど抑えつけられている。こんな生活を小さい頃からしてればウエストも細くなるだろな。


 トニーが改めたように口を開く。


「今日は話があって……」


「私も!私もある!街に行きたい!!」


「は?」


 トニーの視線が痛い。明らかに不機嫌になった。

でも気にせず続ける。


「街に行って売られている物とか見たい!買いたい物もあるの!それに街の様子自体も見たいし、あと……」


「いい加減にしろ!!」


 トニーの初めて聞く大声にビクッと体が反応する。


「王女が街に出るとどうなるかわからないのか!?」


「まあまあトニーさん落ち着いて〜」

フランが間髪入れずフォローに入る。


 ……え?今何て言った?

王女?王女ってあの国で偉いやつ?

王女だったのメアリーって?


 確かに王女なら街に出れば大騒ぎだろう。現代でもそうだもんな。偉い人が来る時は道路封鎖とか規制されるし、行く予定の場所は出入り禁止にもなる。一人動くだけで大勢の者が制限を強いられる……


「ごめん……」


「大丈夫だよメアリー。俺が連れてってあげるから」


 優しく声を掛けてくれるアーシュ。いい弟だ。


 ……弟?ここでまた疑問が生まれる。


「私が王女ならアーシュは王子でしょ?なんでアーシュは自由に出入りしてるの?」


 空気がガラリと変わる。


 また言ってはいけないことを言ってしまったようだ。


「それは……」


 トニーが口を開こうとすると、アーシュが止めに入る。


「トニーありがとう。ちゃんと俺の口から説明する。」


 話はこうだ。

 16年前、私たちは双子としてこの世に誕生した。

王子は国を奪うために他の国から命を狙われる。王女であれば、結婚すれば自分の土地になるため結婚相手として狙われるが命までは狙われることが少ない。


 そこで父と母は、王女のみを産まれたことにした。三年前に王子を殺されていた為、なお慎重になっていたらしい。

 そして、私が病気などで外に出れない時は、アーシュが王女のフリをして式典に参加していたと。


「じゃあ昨日の女装も……?」


「うん、式典があってね。

メアリーが目を覚まさないことは屋敷以外の者には知らせてなかったから。王と女王がいなくなって王女まで……となれば国が荒れるのは必至だからね」


「そうなんだ……」


「だから俺は存在しない人間なんだ。国民は俺が死んでも誰も支障ないし気づかない。

 小さい頃からメアリーの身代わりとして育てられた。危険な公務はお前じゃなく俺が行ってた。」


「そんな……」


 こみ上げてくるものがある。

「いいよ!身代わりなんかしないで!!自分の人生を生きてよ!!」


「これに関しては何回も何回も話し合って来たんだ!

 命の重みが違うんだよ、お前が死ぬと国が揺らぐんだ。」


 フッと笑う。

「記憶なくしてもそういうところは変わらないんだな。

 お前いつも剣術や銃の腕を磨いてた。俺たちと同等になる位。それで言うんだ。

『私が勝ったら身代わりをクビにする』って。」


 アーシュの目がこちらに向けられる。

目が合うととても悲しい表情に変わった。


「頼むから……やめてくれ。


……涙を流すのは。」


 気づくと涙がポロポロこぼれていた。辛いのは私よりアーシュだろう。産まれてからずっと存在しないように扱われて。

 だからと言って今更何が出来るだろうか。


「もうー。ほんと泣き虫になったなメアリーは」


 私の頭をポンポンしながら話し出す。


「どっちみち、あと10年も出来ないから身代わり。」


「え!?何で!?何か病気とか……!?」


「違う違う、よく考えてみ?俺がオジサンになった時にオバサンのお前のフリ出来ると思うか?」


 確かに……!想像すると少し笑ってしまう。


「良かった、やっと笑ってくれた」


 アーシュの笑顔に心から救われる。



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