魔力封じの石
鳥人の国から帰って来て少し落ち着いたので、皆で魔力封じの石を見てみることにした。
基本は私の部屋に置くことにしている。
だが、そばに置いていてもこの石の効果があるのか正直わからない。
そこで!魔力を使えるトニーに石を持ってもらい、効果を試してもらうことにした。
部屋が水浸しになっては困るので、城内の薔薇園近くの草むらでするとこにした。
薔薇園の近くだけあって花の匂いが充満している。水やりをした直後なのだろう、花から水が滴り落ちていた。
トニーが左手に石を握り、もう片方の手を正面にかざす。
「あれ!?」
自分の手を不思議そうに見ている。
「全然水が出ない……」
「俺もやる!貸して貸して!」
アーシュが石を渡してもらいやってみることに。
「えいっ!えいっ!」
何回か頑張るが手からは何も出ない。
「え〜俺魔力消えたのかな〜?」
アーシュは石をフランの手へ渡す。
十歩ほど後方まで下がり、フランに片手をかざした。
アーシュの手からドバッと水柱が出てフランの顔を直撃する。
「あ! やば!」
「アーシュ〜!!!」
フランお怒りだ。
「やっぱりちゃんと効果あるんだな」
と納得するトニー。
「少し離れれば使えるってことですね」
ミアも興味ありそうだ。
フランは念のために持ってきていたタオルで髪を拭いている。
「わざわざ俺に当てなくていいのに……」
フランが薔薇園の草むらで上着を乾かしていたので横に座る。
「好きなんだよね〜こうやって外で寝転ぶの」
と、ごろんと横になるフラン。
私も同じように横になると、ふわっと草の匂いがした。太陽が眩しくて目を瞑る。
目を瞑ると音がよく耳に入ってきた。
風や鳥の鳴き声だけでなく、遠くで誰かが話していたり、城内の食器の音まで聞こえてくる……
「いいことがあった時も嫌なことがあった時もこうやって寝転んでるんだよ」
フランの方を見るとこちらを向いていた。
私もフランの方へ向きを変える。
「いい時も嫌な時もって、いつでもやってるってことじゃない」
フフと笑う。
「あ、ほんとだ。いつもやってる」
「だからフランって太陽の匂いがするのね」
「え? 太陽の匂いとかする?」
「するよ! 目の前通った時とかわかるよ」
「あれ〜? 何やってんの〜? 俺も寝る〜」
アーシュも加わった。
「あ! そうだ!」
何を思ったかアーシュが寝転んだまま片手を上にかざした。
途端に水が高く噴き上がる。
上がるだけ上がり、地上に雨のように降ってくる。
「お前ッ! 何やってんだよ! 今乾かしてるところなのに!!」
フランが慌てて上着を取ろうと手を伸ばす。
「ほら見て!」
アーシュは少し水の量を弱めるがまだ出し続けている。
アーシュが指さした所を見る。
「あ……虹!!」
三人の上に綺麗な虹がかかっていた。
トニーとミアもこっちに来て同じように虹を見上げる。
びしょ濡れになった髪を避けながら虹を見上げた。
綺麗で儚げな虹。なんだかちょっと切なくなる。
こんな平和な生活がずっと続きますようにと虹に願いを込めた。
大きな幸せなんていらない。
その代わり小さな不幸が起こりませんように。
だがその願いは簡単に潰されることとなる。




