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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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コルボ国王との対面

 カイトに案内され城内に入った。

大広間には鳥人の兵士が並んでおり、奥の階段の上に国王がいるようだった。


 私たちはゼインに言われるまま、フードを目深に被り後ろに着いて行った。


 階段下でゼインがひざまずく。

それを見て私たちも真似してひざまずいた。


「ゼイン国王、よういらした」

低いゆっくりした声。


 見上げると、カイトの羽根と比べ物にならないくらい立派で大きな白い羽根、白い髪の国王が座っていた。顔にはくちばしの形を模したマスクをつけているので顔は瞳しか見ることが出来ない。


「お招きありがとうございます。

本日は魔力封じの石を頂きに参りました」


 初めて聞くゼインの敬語に背筋が伸びる。


「遠慮なく持って行かれよ。あれは我が国には必要ない物じゃ。」


「ありがとうございます」

ゼインは深々と頭を下げる。


「カイト、持って参れ」


 カイトがバサバサと羽根を羽ばたかせ現れ、国王の前にひざまずく。

「申し訳ありません。こちらの手違いで用意できておりません」


「何だと?」

国王が眉をひそめる。


「我々はあれに近づくと魔力を抑えられ飛べなくなります。恐れ多いですがゼイン国王に取りに行っていただいた方がよろしいかと」


 少しの沈黙の後、国王が口を開く。

「ゼイン国王、申し訳ないがそういうことでよろしいか?」


 ゼインはカイトを睨み上げる。カイトは薄ら笑いを浮かべて見下ろしていた。

「仕方がありません。ではそのように致します」


 言い終わるかどうかの時、カイトが「おっと、失礼」と言いよろけたフリをした。そして羽根をバタつかせ強風を私たちの方へ向けて吹かせる。


 ゴォォッという音と共に風が私たちを吹き抜けていった。


 しまった!!と思った時にはもう遅い。

四人ともフードが脱げてしまい、金の髪が晒される事となった。

 わっとどよめく声が王宮内に広がる。


「なんじゃこれは!!!我を侮辱するというのか!!」

国王の怒声が飛んできた。


 私たちは急いでフードを被ったがどよめく声は収まらない。

カイトを見ると口を押さえ肩を震わせ笑っていた。

 ゼインが舌打ちする。


「国王、これは誤解だ」

動揺を見せず冷静な話しぶりが始まる。

「金の髪であることは俺も今知った。俺もとても驚いている。金の髪の者たちはそちらの好きにされよ」


「では、金の髪の者とは関係ないと申すのか」

「知らん。誰だこいつら」

「金の髪の者たちはどうなってもいいということだな」

「ああ、好きにするがいい。煮ても焼いても切って刻んでも。鳥人は人間の肉が好物なんだろ」


 トニーたちの何か言いたげな顔といったら……


「でも聞いてくれ!」

白々しい演技をするゼイン。

「この金の髪の娘は可哀想な娘で、その男三人が嫌がる娘を攫ってきて黒の髪を無理矢理に金に染めさせたのだ!この娘だけは助けてくれ!」


 フランが何か叫ぼうとしたが、トニーとアーシュに即座に阻止されている。


「それは仕方ないな。

では、後ろの三人は牢に入れよ」


 兵士たちに連れて行かれる三人。

抵抗しても無駄だと悟ったのか何も言わないが、目だけで訴えてくる。



―――――


 兵士の目を盗んでなんとか牢まで来ることが出来た。ミアが外で見張りをしている。


「なんと無様な……」

見下ろしながらゼインが口を開く。


「なんだよさっきの!さっさとここから出せよ!」

フランが噛みつきそうな勢いで近寄ってくる。


 フフッと笑うゼイン。

「出せるわけないではないか。この国と俺の国の仲が悪くなったらどうする」


「まさか最初からこうなることを……?」

トニーの顔が険しくなる。


「噛ませ犬ぐらいにはなるかと思って連れて来たが、ちゃんと役目を果たしたな」


「なんだよそれ〜犬かよ〜猫じゃないのかよ〜」

アーシュは全然意味がわかっていない。


「私頑張って助け出す方法探すから!!」

鉄格子に掴まり三人に声を掛けた。


「メアリーちゃん……」

フランは泣きそうだ。

 トニーとアーシュは頷いている。


 ゼインが私の前にさっと手を伸ばし鉄格子から引き離す。

「何を言っている。この騎士たちはお前の安全を一番に願っておるんだぞ。」

 三人を赤い凍てついた目で見下ろす。

「危険を冒してまで助けて欲しいとは思っておらん。

そうだろう騎士たち」


 三人は黙り込んでしまう。


「さ、もう行こう。時間だ」

「で、でも……」


 私の肩を抱き寄せ、マントを翻し背を向ける。

背後から三人の情けない声が聞こえてきた。


 振り向こうとすると耳元で囁かれる。

「とりあえずは魔力封じの石だ。それからこいつらは何とかしよう」

 驚いて顔を見上げると、笑顔でゆっくり頷かれた。


 そうだ……そもそも何回もフードを取らないようにと忠告していたのも、コートを用意してくれていたのもゼインだった。

 こうなることがわかってたからずっと言ってくれていたんだ……

 じんわり心が熱くなるのを感じた。




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