旅行計画
「はあぁ〜!?」
私が答えるより先に他の皆が答える。
「行くわけねえだろクソ国王!」
またフランが荒れ出す。
もちろんゼインはこれを無視して続ける。
「鳥人の国に『魔力を封じる石』がある。これを取りに行こうと思う。
これを使っても、お前の魔力を完全に封じることはできないが弱くはなるだろう。それを使ってコントロールの鍛錬をするといい」
情報量が多すぎてついていけない。
えっとまずは……
「ちょうじん?って?」
「人間の身体に鳥の羽根が生えてるやつらだ」
「え!!そんな人たちがいるの!?」
「ああ、他の国にはもっと色々……王女なのに知らないのか?」
ゼインに記憶喪失のことを説明すると、妙に納得したようだった。
「なるほど!だからどこか違う気がしたのか……
だが問題はない。今のお前も好きだ!」
すっごいストレートこの人。照れる隙も与えてもらえない。
「それじゃ人魚もいる!?」
ワクワクしながら聞いてみた。他にもきっと知らない人たちがいっぱいいるに違いない。
「人魚?なんだそれは」
「上半身は人間で下半身は魚のひと!!」
「ハッハッハ……いるわけないではないか、そんなもの。
メアリーは面白いことを言う!」
いないんかい! 鳥人も同じ様なもんだろうに。
ゼインが改めて私をしっかり見つめて聞く。
「行くか?」
「行く!!」
行くに決まってる!!そんなの旅行じゃないか!
鳥人が見れるし、力をコントロールできるようになるかもしれないし、願ったり叶ったりだ!!
「そうか!三日はかかるだろうから朝も昼も夜もその間ずっと二人きりで過ごせるな!」
ゼインがとびきりの笑顔を見せて肩に手を乗せる。
そこで黙ってないのがお馴染み三人組。
「わりぃなクソ国王!
うちは決まりがあって、王女が国外に行く時は三銃士が着いていくことになってんだよ!」
堂々と嘘をつくフラン。
「あ?誰だそんなくだらん決まりを作った奴は。
よし殺そう、そいつ。なあメアリー。それで解決だ」
残酷な事を笑顔で言ってのける。
冷静なトニーが口を開く。
「国王、申し訳ないが王女だけ渡すわけには行かない。何かあってしまった時にそばにいなかったでは済まされない。死んでも死にきれん」
(こいつ、三日間もあれば絶対メアリーに手ぇ出すだろ。すぐ止めれる距離にいないと……!
キスまでしてるんだからその先まで行きかねん!!)
「え〜俺も行きたいな〜なかなか他の国行く機会ないしさ〜。連れてってよゼイン〜」
アーシュは危機感の欠片もない。
「じゃあ来ればいいだろ、その代わり馬車は別にしろ。」
立ち上がりながらしれっと答えるゼイン。
もしや、ここまで予想してた??
こんな展開になるってわかってた??
トニーがアーシュに質問している。
「鳥人とか見たことあるか?」
アーシュは天井を見ながら何か思い出している。
「何年か前にさ、王族が集まる会議があってそこで見た気がする。そういう場にも滅多に来ないんだよね、鳥人さん……」
アーシュが沈黙したことが気になったフラン。
「……何か問題があるのか?」
「いや……どうやって抱いたらいいんだろうって思って。」
「は?お前そればっかだな」
「なんだよ!健全だろうが!お前こそメアリーメアリーって他に考えることないのかよ!」
ゼインがボソッとつぶやく。
「やっぱ置いてくか」
そしてミアを指さす。
「あの娘は連れて行くぞ」
「え?なんでミア??」
「あれは魔力が強いだろ。何か役に立つかもしれん」
「なんでそれを……!?」
トニーが不思議がる。
「見ればわかる。むしろわからないのかお前らは。」
この国では透明の石に触れてその光の強さで判断している。
「見ただけでわかるってスゴイですね!」
ミアが驚く。
ゼインは少し得意げに説明を始めた。
「見ただけでだいたいわかるが、こうやって……」
と、私の肩に手を置く。
「触れると、なおわかる。そして……」
べろっと舌をだし、素早く私の頬を舐める。
「うわぁあ!」フランが叫ぶ。
トニーとアーシュは目が点になっている。
「こうやって舐めるともっとわかる。ちなみにどこを舐めても同じだ」
「そして口づけをすると……」
と言って顔を近づけてくる。
「え!待って待って……!」
私が避ける前にゼインは三人に羽交い締めにされていた。
「なんだ国王に大して無礼ではないか」
「無礼はお前だろ!みんなの目の前で何やろうとしてんだよ!!」
フランはもう顔を真っ赤にして怒っている。
「なんだ。自分も調べてもらいたいのか?」
舌を出しフランの頬を舐めようとする。
「違う違う違う!やめろこの野郎……!」
ゼインの方が圧倒的に力が強いため、
抵抗虚しくべろっと舐められる。
トニーとアーシュは自分たちも舐められないよう二人から距離を取って怯えた顔で見守っている。
ミアが引きつった顔でその様子を見ている。
「やはりこの方がわかるな」
一人頷きながら納得するゼイン。
フランに至っては抵抗する気力もなくうなだれている。
「ではまた来る」
そう言ってゼインは帰って行った。
トニーが何かに気づいた。
「あれ?魔力が強いからミア連れて行くって言ってたけど、俺たちの方が強くないか?」
「なんだ女の子連れて行きたいだけかよ〜」
アーシュが羨ましそうな声を出す。




