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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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メアリーの魔力

 目が覚めた時、馬車の中だった。


「メアリー様!」


 ミアだけが馬車内にいるようだ。


 ゆっくり身体を起こす。もう日が昇って明るくなっていた。昼ごろだろうか。

 窓から他の三人が芝生の上に寝転がっているのが見えた。


 魔力を使い果たし体力が尽き果てているのかもしれない。以前、強い魔力を使うと三日は動けないと言っていたっけ。


「みなさん!メアリー様が目覚められました!」


 ミアが外へ声を掛ける。


 ドラゴンが気になり辺りを見回す。

赤ドラゴンは全て燃えて灰になっており、青ドラゴンは剣で胸のあたりを貫かれていた。


 フランが言ったとおりだ……


 三人とも慌てて馬車の中へ戻ってきた。

フランに火が燃え移っていたことを思い出す。


「フラン!!腕は!?やけどしてない!?」


 フランは左腕を掲げて見せ、

「このくらい余裕だよ」と笑顔を見せてくれた。


 包帯をしているのでどのくらいの怪我かわからない。でも包帯をしないといけない位はひどいということだ。


 皆が腰掛けたのを確認してミアが口を開く。


「すいません、私が付いていながら」


「いやお前は悪くない。もっと早く話しておけば良かったんだ。話していれば何らかの対策も立てる事が出来たのかもしれない」

 トニーが目を伏せがちに話す。


 フランが申し訳なさそうにつぶやく。

「僕がもっと早くそばに行けば良かった……」


「俺が、記憶喪失になったからこの事は隠そうって言ったんだ」

 アーシュも自分を責めている。


「どんなに悔やんでも、この結果を生んだことはもう変わらない。

 メアリー、聞いてくれ。全部話すから」

 トニーの真剣な目に不安を覚えた。


 メアリーが産まれた時、すぐに強大な火の属性魔力を持つ子供だとわかった。その時点で通常の十倍以上であった。

 メアリーの父と母、つまり王と女王は力の暴走を恐れ、その時のために国の中から同じくらいの年の子で、強い水属性魔力を持つものを集めた。


 それが、トニーとフランだった。アーシュも強い力を持っていたので、メアリーの周りに三人配置する形をとっていた。


 しかし、とうとう恐れていた事態が起こる。


 メアリーの強大な魔力のことを聞いて、隣の国王が興味本位で王子を連れてやって来た。


 当時、メアリーは6歳、その王子は10歳。

王子はメアリーに可愛らしい小鳥を持って来て、手のひらに乗せた。

 メアリーは大変喜び、餌をあげたりして数十分遊んでいた。


 その後、王子が戻ってきた。

不思議そうに王子を見上げるメアリー。


 すると、王子は剣を振り上げ、手のひらに乗っていた小鳥の首を切り落とした。

 メアリーの手は血で真っ赤に染まり、首はメアリーの足元に転がってきた。


 それで暴走が起こったのだ。

我を失ったメアリーの力で周りは火の海になる。


 その時、フランが機転を効かせ今回のようにメアリーを落ち着かせたらしい。

 

 当然王子も大やけどを負ったのだが、あまりにも卑劣な事をしたため、向こうの国からも責められることはなかった。


 暴走時、被害を出さないためにトニーとフランとアーシュをそばに配置していたのに、その三人のみでは対応できない事が明るみになった。


 そして、ミアが追加となる。


「お前も見ただろ?ミアの魔力。あれは常人の三倍ぐらいはある。俺たちとそう変わらない。

 ミアが選ばれたのはお前の力を抑えるためだ。

騎士団の団員も、いざという時のために水属性魔力を持つ者を多く採用してある」


 トニーは私の反応を見ながら、ちゃんと伝わるように説明してくれている。


「今までで暴走は何回も起こってきたの?」

 恐る恐る聞いてみた。


「いや、今回を含めて三回だ。

一回目は今話した時。

 そして二回目は……」


 ……ダメだ。トニーの声が入って来ない。


 私がいるからこんな事が起こるんじゃないか。

 みんな心配そうに顔を覗き込んでいる。

こんなに心配かけてしまって。

 全て私の存在じゃないか。

私がいるせいで大勢の人間が傷ついて……

常に私のことを考えて配置もして

父も母も私のために考えて

私がいなければそんなこと考えず幸せに暮らしていたのに


私がいなければ……私がいなければ……


「メアリー!!!」


 アーシュの言葉で我に返る。

いつの間にか口に出していたらしい。


 あれ……私泣いてる


 アーシュの目からも涙がこぼれ落ちる。


 そして、力強く抱き締められる。

「それだよ……二回目の暴走は」



 トニーがゆっくり話し出した。

「メアリーがいきなり姿を消したんだ。誰にも何も告げないで。


 でもなんとか俺たち四人で見つけることができた。

街外れにある、人が立ち寄らない古い小屋の中にいたんだ。


 そして、敢えて力を暴走させ自分に向け発動し、大爆発を起こした。」


 トニーは一旦深呼吸をする。


「俺たちが見つけた時、最後にお前は振り返り、

笑顔で『ごめんね』って言ったんだ」


 トニーが今にも泣きそうな顔で私を見つめる。

「お前は俺たちのことわかっていなかった」


 フランが涙を浮かべ微笑む。

「誰も……誰一人も迷惑だなんて思ってなかったんだよ」 


 ミアが目を拭きながら続ける。

「みんな、あなたがいなくなってしまうことが一番の苦しみだとわかったんですよ」


 抱き締めているアーシュの力が強くなる。

そしてそのままの状態で口を開いた。


「だからもう……いなくなるなよ……

もうあんな思いはしたくない。

 せめて俺たちのためだけにでも生きて……」



 気づくと私は声を上げて泣いていた。





 その頃、ドミナー王国の王子へ状況報告が行われていた。


「……そうか、うまくいったか……ククク……ハッハッハ……」


 冷たい笑い声は城内に響き渡っていった。




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