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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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いざ、隣国へ!

 ついにその日が来た。


 朝からミアにいつも以上に丁寧に髪のセットや化粧をしてもらい、ドレスも正装用の物を準備してくれた。


 どんな王子なんだろう。悪いイメージしか聞いてないので不安しかない。本当に命を狙われたら……


 同行するのは、トニー、フラン、アーシュ、ミアである。馬車で一日はかかるだろうとのこと。


 王女の不在を狙った他国からの奇襲に備え、騎士団は置いてきた。


 馬車内は重苦しい雰囲気で押しつぶされそうだった。

 何を話し掛けても大した返事が返ってこないし、それぞれ物思いにふけっているような……?


 あのドラゴンの森に到着した時、太陽が沈みかけて薄暗くなり始めていた。夕と夜の境目が見て取れる。


 私は窓際に座り森の中を注意深く観察する。


 ドラゴンが見えるだろうか。ドラゴンはどんな形や色をしているんだろう。

 ワクワクと恐怖心が入り混じった感情である。


 しばらく行くと突然、馬を走らせている御者が「わっ」と声を出した。

 それと同時に馬車が大きく揺れ、止まった。


「どうした!?」

トニーとフランが即座に飛び出して行く。


「お前たちは出てくるなよ!」

アーシュが私とミアに言いながら戸を開けた。


 戸から少しだけ身を乗り出して前方を見ると、大きな卵が割れているのが見えた。


 恐竜の卵みたいな……


 ミアが血相を変え手で口を覆った。


「ドラゴンの卵です。しかも割られて中の雛が殺されてる……」


「クソッやはり罠か!」

アーシュの声が聞こえた。


「早く引き返すぞ!!」

トニーが御者に指示を出している。


 フランが戸を開けた。

「メアリーちゃん、すぐに引き返すから安心してね。

ミア、頼んだよ」


 ミアは首を縦に振る。


「ミア、何が起こっているの?」


 全く状況がつかめない。


「割られた卵を見たでしょう?誰かがドラゴンの怒りを買うために、あえて私たちの通り道に置いたんです。

 ドラゴンだって親だし知性がある。子を殺された親がどうなるか……」


 馬車の方向を変える間も、トニーたちは辺りを警戒し中に戻ってこない。


 突如、地響きが鳴り、ゴオオオー!!という聞いたこともない大きな音がした。


 思わず外へ飛び出してしまう。


 目の前には家一軒ほどはあるであろう、大きな青いドラゴンが卵の前で天に向かって口から火を吐いている。


 その前に三人が剣を構えた。


 悲しくて泣いているように見える。恐ろしいが美しくもあるドラゴン。

 そもそも仕掛けたのは人間の方。

被害を受けただけのドラゴ……


「出るなって行っただろ!!」

アーシュがこちらに気づき叫ぶ。


 自分が呆然としていた事に気づいた。ミアは私の腕を引っ張り馬車の中へ連れ戻そうとしていたが、集中していて気づかなかった。


 馬車へ戻ろうと振り返った時、


 大きな赤いドラゴンが立ちはだかった。


 恐ろしくて動けない。


 どうしよう!このままでは皆死んでしまう!!

大切な仲間たちが!


 赤いドラゴンは私に向けて口を開けた。口の中に炎が見える。


「メアリーを!」

「メアリー様!」

「メアリーちゃん!!」


 みんなが私の名を呼んでいるのが聞こえる。

みんな死んじゃう!イヤだイヤだイヤだ!!!


 ドラゴンの口から炎が噴き出た瞬間、それに左手をかざして目をつぶった。

 ドォン!と目の前で大きな音がなった。


 左手が痛い!!痛い!!痛くて熱い!!燃えてる!!ドラゴンの炎で焼かれ……


 うっすら目を開ける。


 トニー、フラン、アーシュそしてミアがそれぞれ離れた場所で赤ドラゴンに向けて両手をかざし、水属性魔法の水柱を大量に出し苦痛の表情を浮かべている。

 



 ……違う。


 これはドラゴンにじゃない。


 私にだ。


 ドラゴンは炎で焼かれ骨まで見える状態。一部灰になりボロボロ欠け落ちている。


 私の左手からは炎の火柱が噴き出していた。

その大きさはあのドラゴンを超えるほどである。

 その炎に水柱が向けられている。


 だが全然火が弱まる気配がない。


 え……なにこれ……

どうしたらいいどうしたらいい!止まってくれない!!私がみんなを殺してしまう!いやだ!どうしようどうしよう!


 呼吸が荒くなり、ボン!と音がし、なお強い炎になった。


「フラン行け!!」


 トニーが言い終わる前にフランは「わかってる!」と言いながら走り出していた。


 フランは私の背後に回り込み、両腕を抑えるように包み込む。炎の左手を自分の左手で掴み、直接腕に水柱を当てる。フランの手に炎がうつる。


「だめ!フランの手まで!!」


「僕は大丈夫。だから僕に身を委ねて」


痛みで少し顔を引きつらせたが笑顔を見せている。


 右手で私のまぶたに触れ耳元で囁く。


「目を閉じて。大丈夫。怖くない。

呼吸をしよう。息を大きく吐いて。そう上手。もう一回。」


 あまりにもゆっくりなので時間が止まっているように感じる。


「ゆっくり数を数えるよ。いち……に……さん……」



 意識が遠のいていくのを感じた。



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