お見舞い
……熱が出た。
病舎に行った為とも思ったが、ルナに診てもらったらただの風邪って言われた。帰る時上着借りたけど寒かったもんな。
ルナはまだ魔力が完全には戻っていないので自力で治すことに。
しんどいな……頭がクラクラする。
体温計もないから熱も測れない。39℃ないくらいかな?
解熱剤があればな……
ミアに熱を下げる薬がないか聞いたら、変な実を潰した物を持って来てくれたけど、本当に効くのだろうか?
そしてミアには、風邪をうつすと悪いからなるだけ部屋に来ないよう伝えた。
きつくて眠れそうにないが、とりあえず目を閉じよう。
……どれくらい経っただろう。誰か入って来たようだ。足音が近付いてくる。
きついので目は閉じたまま様子を伺う。
そっとおでこに手を置かれる。
大きい手。熱のせいか冷たく感じて気持ちいい。
「メアリー……」
起こさないよう気を遣っているのか小さい声。
でもわかる。トニーの声だ。
ベッド横の椅子に座った様子。
どんな表情をしているかは目を瞑っているのでわからない。
「俺は……どうしたらいいかわからない」
寝ていないってバレただろうか?
「アーシュに聞いた。病舎での事。
でも俺はお前に危険な場所に行って欲しくない。
できれば俺の手の届く範囲にいてほしい。
何かあった時すぐに駆け付けることができる位置に」
いつになくおしゃべりだな……寝ているから話しかけやすいのかもしれない。
ふうっと溜め息をつく。
「なかなか自分の思うようにはならないか」
そこまで言うと、椅子から立ち上がり部屋を出て行く。
またしばらくして、静かに戸が開く。
眠っていると聞いたのかノックもせずに誰か入って来た。
もう面倒くさいのでまた寝たふりで対応しよう。
ん?なんか布団が動いて……
顔の前に布団からぬっと誰か飛び出してきた。
「メアリーちゃ〜んお見舞いに来たよ〜」
ビックリして目を開けてしまった。
目の前にフランの顔!?近い近い!!綺麗すぎて直視できん!!
「もうーー!ベッドに入ってこないでよ、うつるからー!」
「うつしてよ。そしたら一緒にベッドで寝れるでしょ」
風邪をうつさないように口を抑えながら体勢をぐるっと反対向きに変える。
が、すぐフランに腕をつかまれ元の向きに戻される。
「なんでまたそっち向きにすんのよー!」
「だって……
愛してるから」
と、顔色一つ変えずニコニコ。
キメ顔とイケボで何言ってんだこの人は〜!!
そして言い訳になっとらーーん!
さすがに照れるって!!
「フラン!!」
廊下から大きな声。
「やばい!トニーさんに見つかった!!」
と、ベッドから飛び下りる。
トニーが怖い顔でつかつかと入って来る。
「お前!メアリー寝てるから起こすなって言っただろ!!」
「え〜寝てるから襲うなら今のうちだって意味だと思った〜」
「言うわけねえだろ!そんなこと!!」
「今から襲うところだから邪魔しないで出てってください!!」
フランがトニーの背中をぐいぐい押す。
「出て行くのはお前の方だ!!」
トニーに引っ張っられるフラン。
「え〜やだ〜!まだ何もしてないのに〜!」
その時、私の耳元でフランがそっと囁く。
「でもメアリーちゃんは僕がいないと生きていけない身体だからね」
「え?」
驚いてフランの顔を見ると、人差し指を立てウインクされた。
どういうこと……?
フランはそのままトニーに部屋の外へ連れて行かれた。
いつの間にか眠っていたようで部屋の中が薄暗くなっている。
少しは熱下がったかな。体のきつさがさっきと違う。
すぐ近くのテーブルを見ると、お菓子やジュースなど大量に置かれている。
みんな優しいな……
ノックもなしにドアが開く。
「やあやあメアリー!どうだ熱出したって聞いたぞー!」
元気なアーシュが入って来た。
また疲れの元が……
「俺はさ、具合悪い時ほど女の子たちと遊ぶんだよ。
そしたら具合悪いの忘れてしまうだろ!!」
こいつアホだろ。絶対女の子に風邪うつしまくってる。
「そうだ!お前にも男連れて来てやるよ!騎士団の中から何人でもどれでもいいの選ばせてや……」
とりあえず水の入った瓶投げつけてやった。




