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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話  作者: VANRI


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別れの時

「姉さん!」


 姉さんと呼ばれたフェアリーは少し目を開けたがすぐ閉じたようだった。また少し光が弱くなる。


 メアリーの母もまたフェアリーがついていたのか……

 だが重症のため治せず、お互い死を迎え入れようとしている。


 女性がまた話し出す。


「フェアリーがついた人間から産まれた子は……瞳がフェアリーの色に……なるのよ」


 ……そうか!どこかで見たと思ったのはメアリーの瞳だったのか!!


「あなたの子供……鮮やかなピンクの瞳を持って……産まれてくるのね」 


 女性は優しく微笑むと一筋の涙を流した。 


「見たかったな……」


 もっともっとこの人と一緒に過ごしたい、たくさん話したい……  


「メアリー、もう無理かも。急いで……」

ルナが消えそうな声になる。


 私は頷いて急いでその場を離れようと背を向ける。

だが、もう一度気になり振り返った。


「ありがとうメアリー。最後に……会えて良かった……」


 私は何度も無言で頷き、走り去った。涙で前が見えなくなる。何度ぬぐっても後から後から涙が溢れてくる。




 外に飛び出たと同時に身体を守られていた光が消えた。ギリギリだった。良かった間に合って。


 ホッとすると同時に悲しみが込み上げて来てその場にうずくまった。

 それから数十分、ひとしきり泣いて少し落ち着いたので帰ることにした。

 本当はここから離れたくないのだが。


 ルナは疲れきって近くの葉の上で寝ている。


 まだ終わりではない。この服を脱がないと。

私自身の身体は守られたが、衣服は守られていないだろう。どんな病原菌がついているかわからない。


 持って来ていた麻袋を広げる。


 その時、


「動くな!!」


 数個の明かりと共に声がした。

仕方なく手を上げて振り返る。


 ああ、こいつらか。


「この変な格好してるのが本当にメアリーか?」

と、怪訝な表情でこちらを見るトニー。


「そうだと思います。最近渡した物ばかりですし、部屋にいませんでした」

と、ミア。


 おお、ミアはすごい引いてる。なるだけ遠くにいようとしているな。


「え〜なんでそんな格好〜もっと可愛い服選んであげるのに〜」

と、フラン。


「センスないな〜お前」

と、相変わらずのアーシュ。


 ま、こいつらならいっか。


 説明するのも面倒臭いので無言で脱ぎ始める。早くしないと病原菌が!

 手早く頭のスカーフを外すと、少しミアがホッとした表情を浮かべる。すぐに麻の袋へスカーフを突っ込む。


 マントも同様に入れ、服や長いズボンも脱ぎ下着が露わになる。


 トニーは慌てて後ろを向き、

「メアリー様!殿方の前で!!」とミアの声。

「メアリーちゃん〜嬉しいけど僕の前だけにしてよ〜」

「やるね〜」と面白がるアーシュ。


 うるさいな。女の下着位見たことないのか、お子ちゃまめ。下着姿見られるより感染を広げることの方が怖い。


 長靴と手袋も袋に入れ顔のスカーフも外し終わったので袋に火をつける。

 麻袋が静かに燃え始める。あれ?革って燃えるんだっけ?まいっか、病原菌は死滅するだろ。


 よし、とりあえずこれで終わり。


 そして気づいた。帰りの服を持って来ていないことに。



「誰か着るもの貸してくれない?」


 

 その後は、トニーの上着を借り、裸足なのでフランに抱えられ城に帰った。帰り道、ミアの説教は止まらない。トニーに警備の隙について伝えたがあきれた顔をされた。



 翌日の夜、ルナがやって来た。明らかに元気がない。昨日の疲れかと思ったが、ゆっくり飛んできて目を伏せがちに言った。


「姉さんの気配が消えた」


 フェアリー同士気配がわかるらしい。

 姉さん……昨日の女性のフェアリーが消えたということは……


「姉さんは私よりずっと魔力が強かった。時々会ってたのに、気づいたらどこにもいなくなっていたの。

メアリーがあそに行かなかったら最後まで会えなかった。

 連れて行ってくれてありがとう。」


 指でそっとルナの涙を拭く。

「アーシュに伝えに行こうか」


 私は深呼吸しなんとか心を落ち着かせ、アーシュの部屋の戸を叩く。


 メアリーの母親ということはもちろんアーシュの母親。思い出がない私よりアーシュの方が耐え難いだろう。


「おう、どうした?なんかあった?」


 私もルナも険しい顔をしていたので、顔を見てすぐに何か気づいたようだった。


 アーシュの顔を見てホッとして我慢していた涙がわっと溢れ出した。


 部屋に通されソファに座るよう促される。

ルナと共に昨日の出来事を伝える。アーシュは私の隣に座り、私の背をさすりながら聞いてくれている。


 全て話し終えた後、少しの沈黙を破りアーシュが口を開く。


「ありがとうな、教えてくれて。

そして最後に会ってきてくれてありがとう」


 アーシュが表情を変えないのが気になった。


「アーシュは大丈夫なの?」


「……ああ、俺はもう死んでたと聞かされてたから。

今実は生きててまた死んだって聞いても、お前ほどショックじゃないのかもしれないな……

 二人とも死んだって聞いた時は結構きつかったけど……」


 そっか……王様と女王様が死んだと聞いた時にもう深い悲しみに落ちてたんだ。

 それからちゃんと立ち上がって今があるから……


「でもその時メアリーがいてくれたからなんとか立ち直れたんだよ。今は覚えてないだろうけど」


 そのメアリーは私ではない、今はもういなくなってしまったメアリーか……


 姉弟で支え合う関係だったんだろう……

私には入れない絆のように思えた。




 その日は、私が眠るまでアーシュが手を繋いでいてくれた。アーシュの温かさが手から伝わってすごく落ち着くのを感じた。


 それからも女王が亡くなったということは誰からも伝わってこなかった。ひっそり埋葬されたのだろう。


 フェアリーの木に新しく小さな卵が実ったと聞いたのはそれから数日後のことだった。



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