初めてのラスベガス
やっちゃった…あれだけ言われたのに迷子になった。高校3年生になる前に友人の藤原凛とラスベガスに旅行に来ていたのに、勝手に進んでしまって迷子になったのだ。うう、頭の中の凛のお説教が聞こえてきたよ…スマホの充電も1%、昨日充電してたらよかったのに、昨日の自分が恨めしいよ。
これからどうしよう…と項垂れていると前から誰かやってきた
「What's wrong? Are you alone? If you're lost, can I help you?(どうしたの?君一人?道に迷ってるなら僕が助けてあげようか?)」
「えっと、アイムジャパニーズ…」
「?、君日本人?」
「はい、実は友人と旅行に来たのですが道に迷ってしまって。というか、日本語話せるんですか?」
「ああ、昔日本に住んでいた時があってね。にしても君ラッキーだね、助けてくれた相手はイタリア人なのに日本語が話せて、おまけに顔もいいなんてね」
そう言われて顔を見てみると、顔は良いなと思った。癖のある長い黒髪、グリーンサファイアの様な翠眼をした細身の男だった
「いやーこれも何かの縁だ送っていく代わりに今度デートしないかい?」
「うーん、悩むけど顔は好みなので良いですよ」
そう答えると
「君、僕が人攫いだったらとか考えないのかい?」
と呆れた様に言われた
「人攫いだった声掛けずに連れ去ってますよ」
「まあ、確かに」
とりあえず私達は連絡先を交換した
「そう言えば名乗ってなかったね、僕はマーリン。マーリン・アンブローズ。出身はイタリアのローマだ」
「私は真田燈です。沖縄出身で今は東京に住んでます」
「呼び捨てでいいかい?僕のこともタメ口と呼び捨てでいいからさ」
そう言われたので気軽に
「良いよ、マーリンの方が年上そうだし」
と言うと
「意外と適応能力高いね、まあ別に良いけど」
「よく言われるよ」
お互いに質問しながら街を歩いていると
「あ、やっと見つけた!どこ行ってたのよ」
声のする方を見ると、綺麗な青髪ロングの安心したような金色の目をした少女が走ってきた。
「いやー、ごめんごめん。気づいたら路地で迷っちゃって」
「いつものことだからもう良いけど、そちらの方は?」
「ああ、こっちはマーリンだよ。迷ってたところを助けてくれたんだ」
と紹介した
「私はマーリン、マーリン・アンブローズ。燈の様に気軽に接してくれ」
「お言葉に甘えるわ。燈の友人の藤原凛よろしく」
***
それから一時間後私達は射撃体験出来る場所に来ていた。
「いざ、初めての射撃体験へ!」
「実はね、私銃の腕には結構自信があるんだ」
と得意げにマーリンが言った
「じゃあ3人で勝負しない?一番真ん中を撃てなかった人は夕食奢りとか」
と勝負を持ちかけると
「でも、マーリンは得意って言ってるから何かハンデがないと不公平じゃないかしら?」
凛が尤もらしいことを言ってくれた
「うーん、じゃあ私は勝っても負けても代金の4分の1を請け負うのはどうかい?」
「マーリンがそれで良いなら良いよ。」
「じゃあそういうことで。早く始めようじゃないか」
そう言うと、マーリンは慣れた手つきで準備し始めた。
結果は凛の大敗だった。私もお世辞には上手いと言えないけれど凛はそれ以上だったのだ。喧嘩っ早い性格故か準備も雑でしかもよく狙わず取り敢えず撃っていたので当たり前に一度も中心に当たらなかった。
そんな凛と対照的にマーリンは全発中心にめいちゅうさ命中させていた。
「マーリンすごっ」
そう凛が褒めると
「ま〜ね、私にかかれば造作もないよ」
と得意げだった。
悔しかったが素直に凄いと思ったので私も誉めてあげた。
***
近くのレストランで食事を済ませると私達は旅の目的であったラスベガスのカジノに来た。
「さぁ、お金はちゃんともったかい?」
とマーリンに尋ねられた
「愚問だね、私はこの為にお年玉を半分以上引き出し、アルバイト漬けの日々を送ってきたのだから」
「か、覚悟の決まり方が尋常じゃないのね」
と凛に引かれてしまったがまあ、気にしないでおこう。もう長い付き合いなのだから。
そうして、私たちの長い夜が始まった。
***
3時間程経って私は一通り遊び尽くしたので二人の様子を見に行く事にした。改めて見てみると、カジノは凄いなと思った。皆嬉々として友人、家族と掛けていた。日本では味わえない雰囲気だった。
少し歩いた先にマーリンがいた。
「よっ、マーリン調子どう?」
と聞くとタキシード姿に身を包んだマーリンが振り返った。
「聞いてくれよ燈君、全然当たらないんだよ。それどころかマイナスだよ。」
「日頃の行いが悪いからじゃないの?年下のJKにナンパする様な人間じゃん」
と言うと、寂しそうな顔で
「昔のつけが回ってきたのかもしれないよ」
と笑った。しかしすぐにいつもの笑みを浮かべた。
マーリンの元を離れて凛を探す事にした。人だかりができている方に目をやると、その中心にまさかの凛がいた。
「なんでこんなに人が集まったの?」
と聞いてみた
「まさかの大当たりが連発して野次馬が集まってきたのよ」
「わお、いくら儲かった?」
凛は少し考えた後こう答えた
「まあ、軽く元のお金の3倍はあると思う」
「マジ?!」
私は驚きを隠さなかった
「マジ、このお金があればしばらくは一人暮らし出来そうだよ」
私達は暫くの間遊んだ後解散する事にした
「ではまた今度日本でデートしようか」
とマーリンが調子のいいことを言った
「まあ、でも楽しかったから良いよ」
と答えると
「あんたの判断基準は何年付き合ってもわからないわ」
と凛には呆れられてしまった。
そんなこんなで私たちの初めてのラスベガス旅行は幕を閉じた




