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喪った声を求めて  作者: 頼爾@2/12「尊い5歳児」コミカライズ1巻発売
第二章 喪った心を求めて

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いつもお読みいただきありがとうございます!

 爆弾物事件は明らかに私に向けての何らかのメッセージだった。


 まだ捜査中で、誰があの紙袋をカフェに置いたのかも分かっていない。

 ライライと私の行先を知っていたことになるので、ライライは捜査協力に忙しい。

 私はどこの仕立て屋に行くかも当日まで知らなかったし、あのライライ行きつけのカフェに入るのも当日その場で決めたことなので、ライライの行動を事前に予測できる人、そして漏らした公爵家の使用人がいないか調べられたようだ。


 父と兄にこのままでは公爵家の令息を巻き込んでケガを負わせるかも、最悪死ぬかもと婚約解消を願ったが、デッカー公爵に「それほどの人材なら伯爵家で守るのは大変だろう。余計に公爵家で保護しなければならない。婚約は解消しない」と却下された。


 これ以上の良縁はもう見つからないと思っていたらしい二人は、申し出を却下されて安堵しているようだった。

 しかも、今回の件があったので王妃様は家族にも護衛を派遣してくれた。まるで、私が超重要人物のようだ。


 あの時、趣味の悪いぬいぐるみに録音の魔道具まで仕込んであった。

 私があの装置を解除すると分かっていたような仕掛け。

 思い出すだけで気持ちが悪い。


 考えても考えても、犯人が分かるわけではない。元引きこもりの私が面識のある人間はかなり限られている。

 その中に犯人は今のところいないらしい。


 相変わらず私は、一番安全だと言われて城で生活している。

 今日も迎えに来てくれたライライではないスキンヘッドの護衛騎士と一緒に、アリスター殿下の部屋まで向かう。


 ライライは休みか、捜査協力で忙しい。

 あの事件以降、彼とあまり会話はできていない。

 一度「婚約解消した方がいいと思う」と言ったら「なぜ?」とポカンとされた。

 その顔を見て私もポカンとした。そこは安心して「だよな、危ないからな」と言うべきところではないのか。


「いや、危ないからですよ。この前のような事件にまた巻き込まれるかも」

「護衛騎士は大体危ない」

「そういう問題じゃないんですけど」

「犯人が捕まればいいだけの話だろ。夜会もあるし、もう婚約も成立してるんだ」


 急に婚約解消したら、公爵家が悪く言われ、王妃様からの印象が悪くなるかもしれないけれど。

 あれか、公爵家の令息ともなると可哀想な女性を救いたい意識が高いのだろうか。


 こんな状態で夜会にライライと出ていいものか。

 だって私、図々しくない? 図太いのは知っているけどライライにまで図々しくはなりたくない。



 城から出ない方がいいので、実家にもデッカー公爵家にも私は行っていない。

 まだ話しやすそうな公爵夫人に婚約解消の話を夜会前に振ってみようか。公爵には一度却下されている手前言いづらい。


 頭の中でぐちぐちと考えながら歩いていると、廊下を歩く長い金髪の男性を見つけた。

 長い金髪といえばライライなのだが、その人はポニーテールにしていたのでライライではない。彼ならアリスター殿下に三つ編みさせて落ち着かせるために束ねていないはず。


 颯爽と私の前を髪を揺らして歩いていた男性は、ピタと動きを止める。

 その後で周囲をぐるぐる見回して、振り返って私と目が合った。


 良く言えば、メガネをかけた優しそうな男性だ。悪く言えば、全身から漂う頼りなさ。

 私を見てその男性はパッと嬉しそうな表情になる。年齢は私より少し上くらいか。


 この様子は、迷子だな。

 男性は嬉しそうに近づいてくる。


「えっと……君は使用人じゃなさそうだけど……アリスターの部屋はどこか分かる? 教えてくれないかな? 久しぶりの城で迷ってしまって……」


 腰が低い。しかし、怪しい。

 アリスター殿下を呼び捨て。お友達にしては年齢差がありすぎる。久しぶりの城とは?


 困って後ろのスキンヘッドさんを見ると、彼は恭しく礼をした。


「カヴェイン殿下、お戻りは明日かと思っており大変失礼しました。これから私もルリアーネ嬢とともに向かうところですので、ご案内いたします」


 殿下?

 カヴェイン殿下って誰?

 他国の王族が誰もつけずに城を歩いている?


「わぁ、助かったよ。ありがとう」

「あ! 殿下!」


 ふにゃっと目の前のなんとか殿下が安心した表情を浮かべると、彼の後方からまた男性が走って来た。


「一瞬でまたどこに行ってしまわれたのかと思いましたよ!」

「だって、クリフが魔道具ばっかり見ているから。先にアリスターに会いたかったんだよ。クリフはゆっくり見ていたらいいよ」

「っ、それはすみません! 見たこともない魔道具が増えていたもので。絵画の盗難防止の魔道具でした」


 後から走って来た若い男性は使用人か何かのようだ。

 

 この状況についていけないと背中に書いてあったのか、スキンヘッドさんが後ろからこそっと耳打ちしてくれる。


「他国に留学されていたカヴェイン第二王子殿下です」


 第二王子殿下がこんなに腰が低くて穏やかで方向音痴だとは知らなかった……引きこもりなもので。


 最後まで疑っていた私だったが、アリスター殿下の部屋に行き彼の姿を認めた瞬間に嬉しそうに飛びつくアリスター殿下を見て本当だったとやっと信じた。


 第二王子は腰が低かった。ライライより低い。

 つまり、第一印象は方向音痴のすごくいい人だった。


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