世界救う前にパーティ崩壊しそうなんだが!?
――冒険者ギルド・会議室。
ガタン! 机を叩いて、俺は叫んだ。
「よし! 今日は魔王討伐の作戦会議だ!」
「えー、異議あり。」
即座に手を挙げたのは、毒舌眼鏡の魔術師・リリィ。
「作戦会議って、前回は**“鍋パーティで士気を高めよう”**って方向で終わったよね?」
「士気は高まっただろ!」
「鍋で腹壊して戦力ゼロになったじゃない。」
「ぐっ……」
「そんなことより俺は殴りに行こうぜ!」
戦士ゴードンが大剣をぶん回す。
「考える前に殴る! これが俺の作戦だ!」
「前回それで村が吹っ飛んだんですけど?」
「村は後で建て直せばいいだろ!」
「おまえの頭が先に建て直されろ!」
「はい注目ー。」
ゆるふわ系僧侶ミアがポテチを広げながら発言する。
「神様が言ってた。“おやつタイムは会議より優先”って。」
「絶対言ってない!」
「私の中の神様はそう言ってる。」
「おまえの中の神様お菓子好きすぎじゃね?」
「……我は、沈黙を守る者……」
隅でローブをかぶっているのは、闇属性の召喚士ゼファー。
ここまで一言も喋らなかったが、突然重々しく口を開いた。
「……真の作戦は、闇の中にのみ存在する……」
「え、つまり?」
「今は語れぬ。」
「語れないなら座ってろよ!」
さらに新メンバーの獣人盗賊・トトが口を挟む。
「作戦? どうせみんな失敗するんだから適当に行こうぜ!」
「おまえはもうちょっと前向きなこと言え!」
「だって大体うちのパーティ、自滅するじゃん。」
「否定できねぇ!」
「――ちょっと待って。」
俺は手を上げて全員を制した。
「まとめるぞ! まず魔王城に突入して――」
「おやつは?」ミアが聞いた。
「おやつは後!」
「じゃあ帰るね。」
「なんでだよ!?」
「俺はどうせ殴るだけだろ?」ゴードンが笑う。
「作戦いらんじゃん。」
「いるわ!!!」
「我は闇の深淵で待機するのみ……」ゼファーが小声でつぶやく。
「おまえももっとやる気出せ!!!」
「じゃあさー」リリィがため息。
「いっそ会議ってやめて**“宴会”って名目にしない?」**
「おまえまで投げるな!!!」
――結果。
その日も会議は一歩も進まず、結局みんなで鍋パーティになった。
なお、ゴードンが鍋ごとテーブルを叩き割って終了した。