7話
登場人物
姫琳/ヂェン・リン
国で最も優れており、信仰されている仙人。
風仙/フォン・シエン
姫琳の弟子であり養子。
花園/ファー・ユェン
姫琳の側近。
李誠/リー・チェン
姫琳の師匠。
7話
「…風仙。私も言いすぎた。出ていけなんて。」
「だから、師匠が謝ることじゃないよ!おれがちゃんと決まりを守らなかったから。」
姫琳は再び風仙を抱きしめる。
「君は私の子供なんだ。本当に、無事で良かった。今すぐにでも君を連れて帰りたい。でももううちにいたくないとか…。」
風仙は首を横に振る。
「…うちに帰りたい。」
――翌朝。
「はぁ…。眠い。」
結局風仙のことで姫琳は全く眠れず、寝不足でふらふらしていた。
「姫琳様。気分が優れませんか?」
「花園。少し眠いだけだ。気にしないで。それと話があるんだ。」
風仙がここにいることを知らせなければならない。後宮の者に聞かれてはいけないので姫琳は花園を急いで自分の部屋に連れ込むとすぐにばたんと扉を閉めた。
「どうしたのですかそんなに急いで。」
「風仙がここにいたんだ!」
「は?」
「昨日の女の子!扇の!あの子昨日部屋に来たんだけど風仙だった。騙されてここに連れてこられちゃったみたいなんだ。」
姫琳は興奮しながらも必死に訴えるように説明する。花園はものすごく驚いていたが姫琳の訴えるような説明で何とか理解してもらえた。さらにずっと行方不明だった彼がここにいるとわかり安堵し胸を撫で下ろしていた。そして事件が解決したら邸宅に連れ帰ることにした。
一通り情報を共有し広間に戻る。そして昨日の調査の続きを始めた。術の痕跡が残っており、妖術使いや仙人であれば誰のものなのか調べればすぐにわかる。
「……っ!」
痕跡を調べると何かが見えたようだ。しかしそれの正体は姫琳を苦しめてしまう。姫琳の身体は震えており顔は青ざめている。はぁはぁと息を切らし、ふらついしまい床に手をつく。強い吐き気が襲い、胃のあたりに激痛が走る。
「…っう!」
吐いてしまわないように口元を手で覆った。しかしそれは意味を成さなかった。少しだけ嘔吐してしまい、手の隙間から吐瀉物が溢れ出してしまう。風仙がいなくなった不安でしばらく何も食べていなかったため姫琳の胃からは透明の液体のみ吐き出された。それはぽたぽたと床へと滴り落ちる。身体中震え、顔は真っ青になっていた。
「姫琳様!?」
花園は嘔吐し倒れる姫琳の身体を支える。花園は持っていた布で姫琳の汚れてしまった手や口元を拭き取る。
「何があったのですか…!?」
彼の腕の中で姫琳は身体を震わせ首を横に振り続ける。
「っはぁ…。そんなわけ、ない。でも確かに……。」
「風仙の…。」
「…嘘、ですよね。」
姫琳は風仙の術の痕跡を見たのだった。2人は絶望した目でお互い目を合わせた。