表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

5話

登場人物


姫琳/ヂェン・リン

国で最も優れており、信仰されている仙人。


風仙/フォン・シエン

姫琳の弟子であり養子。


花園/ファー・ユェン

姫琳の側近。


李誠/リー・チェン

姫琳の師匠。


5話


  ――風仙が5歳になった頃。

「仙術をやってみないか?」

「せんじゅつ?」

「そうだ。おれはそれを使ってたくさんの人を助ける仕事をしている。おまえはどうだ?やってみないか?」

「やる!せんじゅつ、おしえて!」

 そして風仙は姫琳の一番目の弟子になった。今日から姫琳による修行が始まったのだが最初の頃は風仙の妖術は安定しなかった。まずは火の妖術から。

「いいか?しっかり狙いを定めてから火を放つんだぞ。全くちがう場所に放ってしまったら危ないからな。」

「はい!ししょう!」

 しかし風仙は妖術を上手く操ることが出来ず炎の塊は姫琳の髪の毛に命中してしまった!!

「あっつ!?おい風仙!なぜよりによっておれの髪なんだよ!見ろよ、焦げてしまっただろう!?はぁ…。」

「…ししょう。ごめんなさい。」

 それから今度は風の妖術。しかしそれも上手くいかずそばで見守っていた姫琳をぶっ飛ばしてしまった!!

「馬鹿!!うわぁぁぁ!!」

「ごめんなさいー!!」

 次は水の妖術。しかし今回も上手くいかなかった。姫琳の部屋を水没させてしまったのだ!!

「はぁ…。最初だから仕方ないのはわかる。だがなぜおればかり被害にあっているんだ!!もしかして嫌われてるのか…!?」

 風仙が頑張っているのは姫琳には伝わっていた。しかし髪を焦がされたり、吹っ飛ばされたり、部屋を水没させられたりと散々だった。この頃の姫琳はまだ幼く、今の穏やかで冷静な性格とは正反対だった。今よりもずっと短気な性格だったため、風仙の術を食らう度殴ったり怒鳴ったりと容赦なく叱りつけていた。


 ある日の風仙の妖術の実践中。

 姫琳は大きめの木の枝を地面に刺してそれを的にした。

「この枝は的だ。これに火の玉を当ててみてくれ。いいか、しっかりこれを狙うんだぞ!」

「わかりました!」

 ――あぁ。またおれの髪が燃えてしまうのかな。

 そう思って両手で髪を守るように覆い風仙のそばを離れようとする。しかしその瞬間、ものすごい速さで火の玉が姫琳の真横を横切り、先程姫琳が地面に刺した的の枝に見事命中したのだ。

「……!」

 姫琳は驚いて声が出ずその場で固まり、立ち尽くしていた。

「…ししょう?おこる?」

 風仙はいつものお叱りが来るのかと目をぎゅっと閉じて怯えている。しかし、

「……違う。よくやった。風仙。」

 姫琳は涙を流しながら彼の頭を撫でた。風仙はぱっと笑顔になり、姫琳は彼をそっと抱きしめた。抱きしめられた風仙は思わず涙を流す。

「…ししょう。おれ、せんじゅつがんばる。それでいっぱいひとをたすけるんだ!だからみてて!」

 突然の風仙の宣言に姫琳は驚いた。

「風仙、立派だ。しっかり修行して強くなるんだぞ。」

 そう言って彼の頭を撫でた。

 

 





 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ