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4話

登場人物


姫琳/ヂェン・リン

国で最も優れており、信仰されている仙人。


風仙/フォン・シエン

姫琳の弟子であり養子。


花園/ファー・ユェン

姫琳の側近。


李誠/リー・チェン

姫琳の師匠。

4話


  ――18年前。

 15歳の頃。仙人になったばかりの姫琳は金風山を歩いていると木の下に何か小さいものが横たわっているのが目に入った。

「…あれはなんだ?何かが転がっている?」

近づいて見てみるとその正体に驚いた。

「赤子!?」

 なんと赤子が森に捨てられていたのだ。しかも生まれたばかりだった。

「ど、どうすれば!?」

 赤子を見つけた幼い姫琳は同様してしまいどうしたらいいか分からなかった。赤子はその様子を見て不安になったのか泣き出してしまう。姫琳はとりあえず泣き止ませるため赤子を抱き上げた。

「ほ、ほら怖くないぞ!泣かないでくれ!どこか痛いのか〜?どうしたらいいんだ〜!!」

 そんな時村の女性が通りかかり赤子を抱いた姫琳を見て驚いた。

「あら?この子は姫琳様の…。」

「ちがうんだ!この子は実はこの木の下に横たわっていて両親も居ないみたいで…。おれ子育てとかしたことないからどうしたら泣き止むのか分からない。」

「この子をこちらへ。」

「…?わかった。」

 姫琳は赤子を女性に抱かせるとすぐに泣きやみ笑顔になった。

「私、小さい子供が二人いるんです。だから少しは役に立てるかと。姫琳様。この子、貴方のことが大好きみたいだわ。ほら。」

 女性の腕の中の赤子は姫琳の髪を握りしめていた。彼と目が合うとさらに笑顔になった。

「おれ、この子うちで育てる。」

「でしたら私もお手伝いします!村の人達にも伝えてきますね!」

「ありがとう。」

 姫琳は赤子を抱き抱え、優しく言った。

「うちへ来るか?」

 赤子は姫琳の腕の中でぱっと笑顔になった。


 邸宅へ戻ると赤子を抱いた姫琳の姿を見た花園が驚いてすぐに駆け寄ってきた。

「姫琳様!この子は?」

「山の木の下に捨てられていたんだ。この子、うちで育てるんだ。」

「この子の両親はいないのですか?」

「いないっぽかった。どうやら捨てられてしまったみたいで。」

「そうですか…。」

 花園はすぐに承諾し赤子は邸宅で育てることになった。


 姫琳は赤子の名前を考えている。

「名前は私の名前から取って姫を入れたいな。風姫(フォンヂェン)はどうだろうか。あぁ、でも彼にはおれのような名前は似合わないかな。勘だけど絶対強い子になる気がするし。」

 姫琳は少し考えた。そして。

「…風の仙人。風仙(フォン・シエン)はどうだろうか。おれの一番弟子にぴったりだ!」

 風仙。その言葉を聞いた赤子は突然姫琳の腕の中でぱっと笑顔になった。

「いい名前です。ほら、この子もこんなに笑顔だ。」

 と花園は赤子のその姿を見て微笑んだ。

 赤子は風仙と名づけられ姫琳の息子になった。


 しかし当時姫琳は15歳。しかも邸宅には子育ての経験があるものが1人もいなくかなり苦戦していた。そんな時村の女性が駆けつけて来てくれた。

「うわぁぁ!!どうしよう!多分お腹空いてるんだ!全然泣き止んでくれないよ!」

「母乳を飲ませますね。」

「頼んだ。」

 一番困ったのは母乳だ。姫琳な男性であるため当然母乳は出ない。他の世話はできるのだが空腹で泣かれた時は姫琳だけではどうにもならなかった。そこで邸宅に子育て経験のある女性の使用人を雇うことにした。

 そして皆の協力のもと風仙は元気に育った。


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