3話
登場人物
姫琳/ヂェン・リン
国で最も優れており、信仰されている仙人。
風仙/フォン・シエン
姫琳の弟子であり養子。
花園/ファー・ユェン
姫琳の側近。
李誠/リー・チェン
姫琳の師匠。
3話
「なんで!?」
「風仙!!今までどこに…っんん!!」
突然失踪していた風仙が目の前に現れ驚いて叫んでしまいそうだったが彼に手のひらで口を覆われてしまい阻止された。
「…静かに。」
口を覆われた姫琳はこもった声になってしまい聞こえづらく、何やらよく分からないことを叫んでいた。
「師匠。ここではあまり大きな声を出さないで。ここの人は騒がしいのが苦手なんだ。おれが怒られてしまうよ。」
風仙にそう言われた姫琳は静かに頷き声を発するのをやめた。落ち着いた姫琳は急いで部屋の扉を閉めて風仙に問い詰める。
「どうしてここにいるんだ!私もみんなも君をずっと探していたんだぞ。とくに君の弟弟子の劉雨はずっと泣いていた。全然帰って来ないし、ここで何をしていたんだ。」
「…実は、あまり詳しくは言えないんだけど、訳あってここの娘になったんだ。女装して。」
――は?
「ということは先程の扇の女性は君か!?」
「そうだよ。」
なんと先程の娘は風仙だったのだ。ここの主の指示らしい。バレてはいけないので扇で顔を隠し少し声を高くして話していたのだと言う。みんな彼を探すために色々な場所を走り回り姫琳は体調を崩す程の心配をかけた。それにも関わらず彼はへらへらとしていた。その様子に姫琳は少し苛立ち、声を荒らげてしまう。
「訳あってって言っただろう?騙されてるかもしれない!事件が解決したらすぐにうちへ帰るぞ。」
「わかりました。あの、師匠。心配かけたよね。本当にごめんなさい。」
「まったくだよ!とにかく!君が無事で本当に良かったよ。もう勝手に出ていかないで…。私が少し強く言ってしまったから私も悪い。ごめんなさい。君は私の大切な一番弟子であり、私の息子なのだから…。」
「…師匠。」
姫琳は愛しい息子に抱きつき彼の胸元に顔を埋め身体を震わせている。そして今にも泣き出しそうな顔と声で訴えるように風仙に言う。風仙は姫琳にとって一人の大切な弟子であり息子なのだから。
「師匠。顔をあげて。」
風仙はそっと泣きそうな姫琳を優しく抱きしめ返した。
「師匠。おれはあなたの弟子で子供だよ。もう、そばを離れない。絶対に。だからそんなに悲しそうな顔をしないで。それと、師匠に怒られて家を飛び出したのはおれだし。師匠は何も悪くないから謝らないで。」
「…風仙。」
彼の言葉に泣き出しそうだった姫琳はついに涙腺が決壊してしまう。目からはぽろぽろと涙をこぼしながら風仙に謝罪を続けた。
「…ごめん。ごめんなさい。風仙。」
風仙は姫琳の目から絶えずあふれてくる涙を拭う。姫琳はそんな彼と出会った頃のことを思い出していた。