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2話

登場人物


姫琳/ヂェン・リン

国で最も優れており、信仰されている仙人。


風仙/フォン・シエン

姫琳の弟子であり養子。


花園/ファー・ユェン

姫琳の側近。


李誠/リー・チェン

姫琳の師匠。

2話


 金風山と仙李邸はかなり離れていた。既にあたりは真っ暗になっていた。姫琳と花園は道を進んでいくと大きな建物が見えてきた。

「ここか?」

「そうですね。合っています。」

 すると姫琳はふらつきその場に座り込んでしまった。

「姫琳様!大丈夫ですか!」

「すまない。かなり歩いたから疲れてしまった。少し休憩しないか?」

 そう言って近くにあった大きな岩に座る。すると姫琳はゆっくりと目を閉じ、そのまま眠ってしまった。それもそうだ。邸宅の自室で休もうとした瞬間に事件が起きたと依頼が来たのだから彼は相当疲れているのだろう。花園は彼を起こそうとはせず見守る。彼が倒れないようにしっかりと支えた。


 朝日が登ると眠っていた姫琳は目を覚ました。花園も姫琳の身体を支えたまま眠ってしまったようで抱きついたような体制で眠っていた。その様子に目が覚めた姫琳は驚いたがぐっすりと眠っていたので起きるまで待つことにした。

 少しして花園も目覚める。

「すみません!私も眠ってしまいました。貴方を守らないといけないのに。」

「私は平気だよ。風仙が居なくなって、君も疲れているんだ。休める時に休まないと。君は休めたかい?問題なければ宮殿に入ろう。」

「わかりました。姫琳様、感謝します。」

「ああ。」

 そして2人は宮殿の長い階段を登り終えると建物の扉の前に着いた。すると後宮の妃か娘であろう女性が出てきた。彼女は大きな扇で顔を隠しているのでよく見えない。一言も発さずに会釈だけして手の動きで着いてこいと言っているようだった。

「…。」

 姫琳と花園は少し困ったが彼女が歩き出したのでそれに着いて言った。

 扇の女性は仙李邸の広間へ2人を案内した。広間の隅っこには女性が一人横たわっていた。

「殺されたのは彼女です。」と扇の女性は小声で言った。

 ――喋れるんかい!

 姫琳と花園はいかにもそう言いたげな表情をしていた。実際、心の中ではそう叫んでいた。

 姫琳は横たわる女性の傍に駆け寄る。

「失礼。」という一言とともに服を脱がす。

 女性の白く綺麗な肌があらわになる。目のやり場に少々困りながら彼女の身体を調べる。

「とくに傷はないみたいだな。」

 傷や毒のような痕は何もない。ということは――。

 姫琳が目を凝らしてよく見ると喉のあたりに術を使った痕跡がうっすらとあった。

「術による殺人だ。妖術を使い気道を塞がれて窒息して亡くなった可能性が高い。」

「そうですね。ここに妖術を使える人はいますか?彼らから話を聞きたいのですが。」

 花園が女性にたずねると

「…今夜はもう遅いので、お部屋をご用意してます。ですからそこでおやすみください。」

 なんと話をそらされてしまう。「わかった。」とこちらも怪しまれないように女性に従うことにした。姫琳と花園は彼女が怪しいと思い始めた。彼女に部屋を案内されている間、彼女には聞こえないようお互いの心の声を聞き会話していた。

(彼女が殺した可能性は?)

(十分にありえます。先程なんて調査を中断させられましたし)

(明日もう少し詳しく調べるぞ。)

(はい。)

 

「姫様はこちらのお部屋、花様はこちらのお部屋をお使いください。お疲れでしょう。休んでいただき、また明日調査をお願いします。」

「ありがとうございます。ではまた明日よろしくお願いします。では失礼。」


 部屋に案内され寝ようとしていると姫琳の部屋の扉がコンコンとノックされた。

「…こんな時間に。花園か?なにかあったのかな。」

 扉を開けるとなんとそこには失踪した風仙の姿があった。

「なんで!?」

「静かに。」

 

 


 

 

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