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こんな恋愛は嫌なんです公爵様  作者: 野苺いちご
終わりの始まり
3/3

2話 双子?!弟?!ミリア?!

何かが傷を抑え、彼女を救ったのだ。

「良かった、目覚めたんだね。」

銀髪の少年が顔を覗かせた。落ち着いた表情だが、鋭い目には安堵が滲んでいる。腰には星が刻まれたソードが下がっていた。


「誰!?」

アリスは目を丸くして叫んだ。すると、口から出た言葉に自分でも驚いた。日本語ではなく、流れるような響きの別の言語――エテルニア語だった。少年は一瞬驚いた顔をし、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。

「僕はレオン。セレスティア・レオン・トキアード。君の双子の弟だよ、数分遅れで生まれた。」

彼の言葉も同じくエテルニア語で、アリスはなぜかその意味を完璧に理解した。

「双子!?弟!?何!?」


アリスの頭が混乱で爆発しそうになる。レオンはベッドに近づき、アリスの背中をそっと確認した。



「背中の傷…僕が遅らせておいたから、命に関わる影響は抑えた。でも、まだ完全に治ってないよ。」

「遅らせる?何!?」


「僕の能力だ。時間を遅くする力。君が刺された時、近くで見回りしている時に僕がなんとか間に合って…でも、完全に止めることはできなかった。」

アリスは目を瞬かせた。刺された瞬間、この少年が時間操作で傷を遅らせ、死を回避させたらしい。でも、状況が飲み込めない。「見回り?」「時間操作?」と頭の中で疑問がぐるぐる回るばかりだ。


レオンはアリスの困惑した顔を見て、少し困ったように笑った。

「言葉じゃ分からないよね。ちょっと見せるよ。」


彼は部屋の隅に置かれた小さなベルを鳴らし、数秒後にメイドが静かに入ってきた。黒髪をきちんと結い上げた若い女性で、落ち着いた雰囲気だった。


「レオン様、お呼びですか?」


「うん、リナ。この間の件は伝えてあるよね?」

メイドのリナは頷いた。

「はい。お嬢様が刺された件、そしてレオン様が時間操作で助けたこと、伺っております。」

レオンはアリスに向き直り、穏やかに言った。


「じゃあ、見てて。僕の能力だよ。」

彼は手を軽く上げ、メイドのリナが持っていたトレイの上のカップに視線を向けた。そして、静かに呪文を唱えた。

「Tempa tardya mea volya.」

声は低く、流れるようなエテルニア語にセレスティア特有の柔らかい響きが混じる。呪文が終わる瞬間、カップがトレイから落ちそうになり――その動きが不自然にゆっくりになった。まるで時間が粘り気を帯びたように、カップは空中で緩やかに傾き、床に触れる寸前で止まった。


「これが僕の力。時間を遅くするんだ。」

レオンはそう言って手を下ろし、カップが通常の速度で床に落ちてカチャリと音を立てた。アリスは目を丸くしたまま固まった。

「何!?魔法!?」

リナが小さく微笑んで言った。

「お嬢様、これはセレスティア家の力ですよ。レオン様はこれでお嬢様を救ったんです。」


アリスはまだ混乱したままだったが、レオンの能力が本物だと少しずつ実感し始めた。


レオンはアリスの驚いた顔を見て、優しく説明を続けた。

「今唱えた呪文は『Tempa tardya mea volya』だよ。意味は『時間を遅くする、私の意志』。セレスティア家の古い言葉で、僕たちの力を引き出す言葉なんだ。」


アリスは首をかしげた。

「呪文って…それだけで時間が遅くなるの?」

レオンは頷き、穏やかに答えた。


「うん、この呪文は後から効果が出るタイプ。でも、呪文の種類によってはすぐに効果もあるよ。例えば――」


彼は再びリナに視線を向け、小さく呪文を唱えた。

「Tempa cessa.」

その瞬間、リナがトレイを置こうとした手がピタリと止まった。数秒間、彼女の動きが完全に静止し、アリスは息を呑んだ。


「これは『時間を止める』って意味の呪文。短い時間だけど、すぐに効果が出るんだ。」


レオンが手を振ると、リナの動きが元に戻り、彼女は驚いた顔でトレイを置いた。


「レオン様、急に止めるのはやめてくださいね。心の準備が…」

「ごめん、リナ。姉さんに分かってもらいたくて。」


アリスは目を瞬かせながら呟いた。

「すごい…本当に魔法みたい。」



レオンは改めてアリスを見つめ、優しく言った。

「さて、姉さん、どこまで覚えてる?」


アリスは目を逸らさず、はっきり答えた。

「全部知らないだって。私、時神アリスだよ。誰かの姉さんじゃないって。」


言葉はエテルニア語なのに、心の中では日本語で考えている自分に気づき、アリスは戸惑った。自分が誰かの「姉さん」だなんてありえないと思っていた。

レオンは一瞬言葉に詰まり、柔らかく笑った。

「時神アリス…か。でも、君はセレスティア・ミリア・トキアードだよ。僕の双子の姉なんだ。」

アリスは目を丸くした。


「ミリア!?何!?私、アリスだよ!」

レオンは穏やかに、しかしはっきりと続けた。


「君は確かにアリスかもしれない。でも、この世界ではミリアなんだ。僕が時間を遅らせて助た時その間に転生しんだと思う、ここはエテルニア歴1023年だよ。姉さん」

アリスは混乱した頭を抱えた。自分が「ミリア」だなんて、まるで別人みたいだ。でも、レオンの言葉に嘘はないように感じた。


アリスことミリアはここがどこなのか気になりました。









補足。

レオン。セレスティア・レオン・トキアードは

止めるのと遅くする早める系の呪文が得意

一応こう見えてソードマスターでもある

お母さん似

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