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べっぴん

私は、都内にある相手グループの事務所の入り口に立っていた。

話を聞くだけでもと他のメンバーに背中を押されたのだ。

深呼吸をして、インターホンを押す。

「あ、はい」

若い女性の声がした。

「私14時から打ち合わせをお願いしております、末芳と申します。」

「はい、聞いております。お入りください。」

モーター音と共にロックが解除され、ガラス扉が開いた。


小柄な女性に案内されついていくと、ホワイトボードがある机と椅子が向かい合わせに並べられた部屋に通された。

「おかけになってお待ちください。」

「ありがとうございます。」

しばらくすると40代半ばであろう小太りの男が入ってきた。

ドスっと音を立ててドア側の椅子に腰掛ける。

私は立ち上がり、名刺を渡す。

「初めまして。私、シエラ企画の末芳紗希子と申します。」

その男は私の顔をチラリと見ながら片手で名刺を受け取る。

「はいはい。いやー画像で見たけど別嬪さんだねー。」

「ありがとうございます。」

「もう30だろ?最新技術っていうのか?すごいな。」

その男は感心した表情だった。

「わざわざ来てくれてありがとうね。うちのグループの子がさ、この間の舞台出てから紗希子さん紗希子さん言うから一回会ってみたかったんだよね。」

「それは、光栄です。」

「ぶっちゃけ、やる?」

「えっと?」

「俺、正味あんたに会えたから十分なんだよね。」

私が絶句していると、男は続け様に、

「別にうちの客は別にメンバーの本格的な男装求めてないんだよね。男装極めたら女ファン増えるんだけどさー。女ファンってめんどくさいんだよね。」

「めんどくさい、ですか?」

「うちの既存の男性ファンにキモいだのなんだのってケチつけやがる。」

「そうなんですね。」

ここまで女を見下して男装をただファンが増えるだけのツールとしか思ってないとは想定よりも酷く、話を聞く気が失せて正直帰りたいとさえ思った。

おじさんのだる絡みに付き合わされた紗希子であった。

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