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共演者
舞台本番前、すでに私は5歳の王子の外見になって、5歳なら待ち時間お菓子をモリモリ食べるだろうと、その辺にある差し入れの菓子に手を伸ばしていた時だった。
「紗希子さーん。お願いしていいですかぁ?」
甘えた声で、ウィッグネットを被った少女がウィッグを渡してくる。
「いいよ。」
その様子が可笑しくて口角が上がってしまう。
この少女はA◯B48のメンバーの橋本心。
彼女がせっかく頑張って髪を入れたであろうネットを一回外した。
「こうして、髪の毛はできるだけぺたんこにして。」
「難しいですぅ」
もう何年もしてるこの作業。昔はすごく苦労して、こうして先輩にやってもらったこともあったと思い出す。
「すごいですぅ、先生!」
「ありがと!練習あるのみだよ!?」
自分にとっては些細な出来事でしかなかった。