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第三章 ウェルスという街

「おーい。」


真一が手を振りながらその人影に呼びかけるその人物も真一の姿に気づいた用で手を振り返してくる。

その人物は背の高い男性だった。


「どうかしたのかい?」

「すみません、道に迷ってしまったみたいで。街に案内していただけるとありがたいのですが。」


男性から問われると真一はわけを話して男性に問いを求める。


「ああ、それならこの先にウェルスという街がある。私もちょうどそこへ戻るところなんだが一緒に来るかい?」


「本当ですか?ありがとうございます。」


真一はその男性の答えを聞くとうれしそうに男性に返事をした。


「だがその前に…今日はここで野宿だな。」


「は?」


男性のその言葉に真一は気の抜けた声を出す。


「もうすぐ日が暮れる夜に出歩くのは危険だからね。」

「……そうですか。」



よほど野宿が嫌なのだろう真一の表情からそれが簡単に読み取れる。その男性は真一の表情に気づいたのか真一に声をかける。


「ははは。野宿がいやって顔してるね。でも夜歩いて魔物に襲われるよりましだろう?」


「魔物…ですか?」


「ああこのへんの魔物は弱いが厄介だからね。君は魔物を知らないのかい?」


「あ……いえ。」


真一は質問に一瞬戸惑ったが、この世界の常識のだろうと解釈し答える。


「まあ知らないわけが無いか。そういえば名前を聞いてなかったね。偶然とはいえ一晩共にするんだ。私はニール=ニコラスだよ。」


「そうですね。俺は神城真一です。」


「シンジョウ=シンイチ?変わった名前だね。シンイチ君と呼ばせてもらうよ。よろしく。」


「あ、はい。よろしくお願いします。ニールさん。」


差し出されたニールの手を取り真一は快く握り返した。


「ニールさん。一つ質問していいですか?」


「なんだい?」


「変なこと聞きますが、この大陸の名前を教えてくれませんか?」


真一は変だと思われるのを承知に自分がいるこの世界が本当に異世界なのかを確認するために問う。


「この大陸かい?ここはアルセウス大陸という名だがどうかしたのか?」


「いえ…。ありがとうございます。」


「……。」


真一はその言葉を聞くと落ち込んだような表情になる。ニールもその表情の変化に気づいたようだが触れるべきではないと思ったのだろう、何も言わず真一を見ていた。

そして話を切り替えるため明るく切り出す。


「そうだ。お腹空いただろうご飯にしようか。」


「あ、いえそこまでお世話になるわけには。」


そう真一が言った瞬間真一の腹から空腹を告げる音が鳴り響いた。その音を聞くと二人は吹き出すように笑いあった。


「体は正直だね。ははは。」


「すみません…。」


「いやいいんだよ。じゃあ早速準備に入ろうか。」


そういうとニールは食事の準備に取り掛かった。


しばらくして食事が出来上がると二人は他愛も無い話をしながら食事を口に運んでいく。






「ふぅ~~ごちそうさまでした。おいしかったです。ありがとうございますニールさん。」


「どういたしまして。」


食事の時間はあっという間に過ぎていった。真一がお礼を言うとニールはにこやかに返事をする。


「そろそろ寝ようか。」


「はい。そういえば大丈夫なんですか?寝てる間に魔物に襲われないんですか?」


「ああ。それに関しては問題ないよ。」


ニールはそう真一に言うと地面に何か書き始める。それが完成するとニールはそれの上に手を掲げる。

その刹那その地面にかかれたものはニールと真一を包むように光を放つ。


「ニールさん。これは…?」


「ああこれはこの陣を媒介にしたバリアーみたいなものだよ。」


「はぁ……。」


そういった真一の顔は信じられないようなものを見たかのように口を開けて呆然としている。


「さあ寝ようか。」


「はい。」


そういうと二人は横になる。それほど時間がたたないうちに二人は眠りに落ちていった。









朝の眩しい光に真一は顔を少し歪めながら朝を迎える。真一が目を覚ますとニールはすでに起きていたようで荷物をまとめていた。


「おはようございます。ニールさん。」


「おっ。昨日はよく眠れたかい?」


「はい。歩き疲れていたみたいでぐっすりと。」


「それはよかった。もうそろそろしたら出発するよ。それまでゆっくりしていてくれ。」


そういうとニールは作業を再開した。しばらくして二人は昨日の寝床を後にし、目的の街ウェルスに向かって歩き出した。



昼ごろには二人はウェルスの町の門の前にいた。


「さあ。ここがウェルスだよ。」


「結構大きい街なんですね。」


「いやそんなことは無いんだがね。街自体が魔物の侵入を防ぐためのシェルターになっているからね街の規模はこれくらいが普通だよ。」


「へぇ~~そうなんですか。」


「こんなところで立ち話もなんだから街の中に入ろうか?」


そういうとニールは門へと向かっていく。真一もその後を追って街の中へ入っていった。


「すまないシンイチ君。用があるのを忘れていたよ。何か困ったことがあればこの紙を街の役場で見せればよくしてくれると思うよ。」


そういい残すとニールは真一に手を振りその場を去っていった。


「なになに。ウェルス街長ニール=ニコラス・・・はぁ!?あの人そんなに偉い人だったのか・・・」






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