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夕食とデザート

 ゆらゆら湯気が揺らめく夕食。


 ゴハン、汁物、サラダに、メインのコロッケ、そして、デザートのクレープ。

 どれから、手を付けるか悩ましい。


 だが、最初に手を伸ばしたのは汁物だった。


 ふんわりとした香りが鼻腔をくすぐる。

 少し熱いスープを口にすると、ふくよかな香りとまろやさなしょっぱい味が口いっぱいに広がる。

 ほのかに燻した魚の風味と豆の風味が合わさり、なんとも奥深い味わいだ。

 具に入っているのは、冷魔庫に入っていた海藻の一種とミソダマと同じ原料の豆のから作られたプルプルと柔らかい豆腐。

 どれもミソの味を邪魔をせずに、柔らかく、優しい口当たりだ。

 口の中が少ししょっぱくなって来たら、ゴハンを手に取る。

 白いゴハンを口に含むと、モチモチとした食感とじんわりと感じる甘味で口の中のしょっぱい味が程よく緩和された。

 口の中がリセットされたら、次は、メインのコロッケだ。

 側に置かれていた瓶に入ったソースを黄金色のコロッケにかけて、真ん中からナイフを入れる。

 その瞬間、サクッと揚げたての衣が音を立てる。切り分けたコロッケからふわっと薄い湯気が出て来た。

 ざっくりと切られたコロッケのムム芋とひき肉とオニオンが混ざった柔らかな断面図に黒々としたソースが垂れる。

 一口サイズに切り、柔らかい中身が崩れ落ちないようにそっと口の中に運ぶと、


「ん!っ、はふ、はふ・・・」


 揚げたて特有の口内が火傷しそうな熱さと、ソースの濃くてしょっぱいく、甘くそして少しだけ酸っぱい複雑だが強い旨味が柔らかなムム芋の食感に包まれる。

 このムム芋が肉の旨み、オニオンの甘味を全て吸い込み纏めて、ソースの強い旨味で更に味に深みを出している。

 コロッケだけでも充分に美味いだろうが、味の濃いソースを少しかける事で素朴でホクホクのムム芋が新しい味へと変わる。

 添えられてるあっさりとシャキシャキ食感のポルタのサラダはソースをかける事で程よい口直しになる。


「ああ、美味いな・・・・」


 ミソスープをまた一口啜り、ゼノンは目を細めて呟いた。




 見た事あるけど、初めて食べるお料理だらけ。

 スープもゴハンもコロッケもサラダもみんな美味しい!!

 だけど、やっぱり1番気になっていたのは、デザートのクレープ包!!

 初めて見る細長い形のお菓子はクッキーともサブレとも、パウンドケーキとも違う、薄くてペラペラのクリーム色の生地。

 だけど、触るとしっとりとして柔らかい!!

 顔を近づけると、ほんのりと甘い匂いとカココの香りがした。


「・・・?」


 初めて食べるお菓子に恐る恐る齧り付いたけど、生地の味に首を傾げる。

 しっとりでモチモチとした食感は美味しいけど、そんなに甘く無い?甘い匂いはしたのに。

 そう思ってもう一口齧ると、口の中でフワリとミルクとカココの甘さが花開いた。


「!!」


 ふんわりと柔らかい薄茶色のクリームはマッタリとして、とても滑らかだ。

 あまり甘く無いしっとりモチモチとしたコメの生地に包まれたふんわり柔らかい薄茶色のクリーム。

 生地に甘味が無いから、クリームの甘さとカココの香りがよく分かる。

 そこに、突然細かく砕いたナッツのカリカリとした歯応えが口の中に入って来た。


「~!!」

「~~!!」


 カリカリと甘く香ばしいナッツの食感に驚いて顔を見合わせた。


 コメで作ったもちもちの生地にカココの香りと優しい甘みにほんのビターなクリーム。そして、カリカリのナッツ。


 もちもちでふわふわでカリカリで甘くて美味しくて楽しいお菓子だ。


 ブラウニーの2人は両手で持ったカココクリームの春巻きクレープを食べながら満足そうに笑顔で笑い合った。


 やっぱり、あの子が作ったお菓子、美味しいね!!

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