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事情聴取

梟屋を出たシェナはギルドへ向かって歩き出す。


今日は迷惑をかけた事の謝罪と男の事についてギルドへ向かう。


ゼノンさんとココロさんにお詫びのパウンドケーキは渡した。

今度はギルドだ。

ちょっと気が重い。

シェナは仮にもフリーの身。なるべくギルドには迷惑をかけ無いよう心がけてはいたが、


「・・・・、穏便に済めばいいけど」


今回、怪我した男を助けた事は流石に仕方ない。緊急の救援要請でギルドに迷惑をかけた。

お金がかかるのは仕方がない。ギルドに迷惑をかけたのも覚悟の上だ。

だけど、問題は拾ったあの男の事だ。

基本的な情報は何も引き出せず寝て貰った。と言うか、疲れていて「まぁ、後からどうにかなるか」と後回しにしたせいでもあるが。

思ったよりも早くギルドの救援が来たから何も聞く事は出来なかった。

後から考えると色々迂闊な所があったから、


「・・・・・、またお説教されそう・・・」


それが一番気が重い。

そう思いなから早朝の道を歩く。


ギルドへ近くとギルドの入り口前で見知った人が立っている。


「おはよう、モナリナさん」

「シェナさん。おはよう」


トトトトと走り寄ると、笑顔を返してくれるモナリナさん。薄緑色のおかっぱ、少しぽっちゃりしているモナリナさんは笑窪の笑顔がよく似合う。


「ロベルトさんにシェナさんを案内する様にいわれて」

「お手数をおかけします」

「うんん。大丈夫。じゃあ、行きましょう」

「はい」


モナリナさんに着いて行きギルドへ入る。


「・・・・・・・」


早朝ということもあり人はギルド職員が数人。

今あの受付嬢にはなるべく会いたくないな・・・。


「どうしたの?」

「あ、いえ」


微かな無意識のシェナの表情にモナリナが優しく問いかける。

でも、何かを察してくれたらしい。


「あぁ、今日マリリは休むんですって」

「はぁ?休む?休みじゃ、なくてですか?」

「・・・・・・お腹が痛いんですって」

「・・・・・・そうですか」


随分とわかりやすい理由だな、とシェナは思ったがあえて深く聞かないことにした。


「あ、モナリナさん、パウンドケーキを作ったので、よかったら、食べてください」


そう言いながら、パウンドケーキを包んだ包みを二つカバンから取り出す。

パウンドケーキを見たモナリナさんはパッと顔を輝かせる。


「味は、クルスの実とナッツの甘いものと燻製肉とチーズのおかず系です」

「あら、嬉しい!!早速いただきますね」

「出来たら、みんなで平等に切り分けて食べてください」

「・・・・・分かった」


そんな、あからさまにガッカリしなくても。

期待を裏切らない人だな。


他愛も無い話しをしながらギルドの奥の部屋に案内されたシェナ。


コンコン


「ロベルトさん。シェナ・ミツキを案内してきました」


モナリナさんがドアをノックして外から声をかけると、ドアが開き、ギルドのサブリーダーであるロベルトさんが出てきた。

淡い茶髪を一つに纏めて、水色の瞳が優しいくシェナとモナリナを迎える。


「ありがとう、モナリナ。後は私が引き継ぎます」

「はい。シェナさん私はこれで」

「はい。ありがとうございます。モナリナさん」

「いいえ。それでは」


シェナから貰ったパウンドケーキを大事そうに持ってその場を後にするモナリナ。


「おはようございます。ロベルトさん」

「おはよう、シェナ。さぁ、中へ」

「はい」


ロベルトさんに招かれ部屋に入る。

この部屋はこの前ロベルトさんとエマさんとアーシアさんと夜食を食べた部屋だ。

向かい合う形でテーブルにつく。


「ロベルトさん、・・・・今回の件ご迷惑をおかけしました」

「いいえ、大丈夫ですよ。シェナはあの男性を救う為に救援を求めました。責め立てる理由は有りませんよ」


水色の眼を細めたロベルトの優しい微笑みに、シェナの胸の奥につっかえていた何かがスッと軽くなった。


「早速ですが、3日前に起きた出来事を話してくれますか?」

「はい」


事情聴取が始まった。



「で、『月花の花』を採取をしに湖に潜ってました」

「貴女は、また、随分と無謀な事を。単身で森に入り、満月の夜に魔獣達の巣に単身で潜り込むなんて」


机に『ネルの森』の地図が広げられ、ロベルトはシェナから聞いた事を事細かに記帳する。

だが、シェナから話を聞いて呆れ顔のロベルト。


「だが、シェナが湖底に居たとすると男性が所有していたと思われる転移魔法の魔具が転移時に起こる発動光に気が付かなかったのも頷けますね」

「採取に夢中になってしまったから、湖の外にまで気が回らなかったです」

「そうでしょうね。そして、貴女は、森の奥の方角から出てきた男性を見つけ、保護、介護したと。こう言う事ですね」

「はい」

「なるほど・・・・・。あの壊れた転移魔法の魔具は、何処あたりですか?」

「湖が此処だから、山の方向で麓の手前、この辺りです。そして、そこから少し進んだ所に、」

「瀕死の重症を負ったドラゴンが居たと」

「・・・・・・はい」


地図で場所を指差しながらシェナの顔色が少し曇った。


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