表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/82

悪い大人

「バズ!!おい、しっかりしろ!!バズ!!」

「・・・・ぅうう」


ディーノから解放されたスキンヘッド男もといバズはモヒカン男に介抱されているが、意識は戻っていない。


「大丈夫。顔色は大分マシにはなっているから」

「マシには、って・・・まったく、ディーノさん馬鹿力なんですから気をつけないと」

「あはは、悪い、悪い。そんなに力入れたつもりは無かったんだけどな」


頭をかきながら明るく笑うディーノに、終始呆れるシェナ。

飄々として、掴み所が無い人。

シェナのディーノに対しての印象だ。


「これで職業、薬剤師なんだよな。この人」


溜息を吐きながらボヤくシェナ。

絶対何回か笑って失敗してそう。


「おい!!よくもふざけた真似しやかったな!!」


怒鳴り声で、ふと現実に戻されるシェナ。

次の瞬間、いきなりディーノさんにモヒカン男が殴りかかってきた。


「ッ!」


だがモヒカン男の手はディーノには届かなかった。

シェナがとっさにディーノの前に躍り出て、モヒカン男の手を両手で止めたからだ。

相当な力で殴りにかかったらしい。受け止めた両手が少し痺れる。


「邪魔するな!!半端エルフ!!」


憤怒の表情のモヒカン男。


「おー、ありがとうな、シェナ」

「・・・やっぱり、ディーノさん、いっぺん殴られた方がいいじゃないです、か!!」


軽い感じでヒラヒラと手を振るディーノに若干イラッとしながら、両手に力を込め、弾くように後方へ跳んで下がる。


「チッ!!なりそこないのエルフが!!調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」


モヒカン男は今度はシェナに攻撃を仕掛けてくる。


「咄嗟に庇ったとは言え、この行動は迂闊だったな」


と、小さく呟きながら少し後悔するシェナ。


「ディーノさん、って、あれ?」


背後にいるはずのディーノさんがいなかった。


「よう、にいさん。どっちが勝つと思う?俺は、ハーフエルフのシェナに銀貨1枚」

「え?、あ、じゃ、ジョニーに銀貨1枚」

「俺もジョニーに、銅貨5枚で」

「僕はシェナちゃんに銀貨1枚に銅貨5枚かな」


少し離れた所でいつの間にか出来た人集りの中でシェナとモヒカン男もとい、ジョニーとの賭けの交渉をしていたディーノ。


「何、私を賭けの対象にしているんですか!」


ジョニーの攻撃を避けながら、怒るシェナ。

流石に頭に来たと、思っていたら、ディーノさんの右手に持たれている物に、シェナの縦長い瞳孔の青い瞳が大きく見開く。


「って!!それ私の鞄!?」

「いやぁ、勝負する時、邪魔になると思って」


ディーノがすっごくいい笑顔でシェナの鞄を片手で持ち上げ掲げる。

いつの間にかシェナの腕から抜き取ったの知らないが、その鞄にはシェナの少ないとは言え全財産と大切な料理のレシピ本が入っているのだから。

それに、『梟屋』から預かっている『シルクビー』も。

シェナが途中で投げ出さない為に先に手を打ったらしい。


「アホですか!!アナタは!?」


怒るシェナ。


「俺、悪い大人だから」


へラリと笑うディーノ。


「チッ・・・あーもう!!後で、絶対殴る!」


そう言って戦闘体勢をとりシェナはジョニーと向かい合う。

腹をくくったのか、それともヤケになったのかな?と、笑うディーノだった。

面白かったら、ブックマークと高評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ