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私の選択
癌の宣告をされたのは
そんなドラマチックなものじゃなかった
家族がそばにいるわけでもないし
個室で話すわけでもなく
診察室で淡々と言い渡されただけのあっけないもの
そのあっけなさに私は
はぁ、そうですか
と間抜けな返事しか出来なかった
それをショックを受けてのリアクションだと思われたのか、看護師さんがめちゃくちゃそばにいてくれたのは覚えている
ステージはそこまで進んでいなくて、手術と抗がん剤治療で進めていきましょう
と言う主治医の言葉を遮って
私は
治療は、一切しません
と伝えた
診察室の空気が凍りついたのがはっきりわかった
先生は、本当ですか?
と私を見据えて言ったが
私はもう一度、はっきりとした声で
癌に対する治療は一切しません
と言い切った
それは、至極落ち着いた判断だったのは今でもそう思っている