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エンジョイゲーマーズ!  作者: 狼噛 ウルフ
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第5話 初心者育成講座。講師ウィル

 用済みとなった装備を外し初期装備に戻ったシルヴィアは、現在第二の街『ベルタ』の防具屋にて装備を吟味していた。


「召喚士ならローブ系の装備か、この魔法少女にしか見えない衣装系の装備か…この系統のシリーズ、やけに能力値が高くて見た目と抜群だから意外と使われてるんだよな…


「き、着ませんよ…?」


「まあ好きに選べばいいと思うけど…

 召喚士なら中衛を担うことになるだろうし、動きやすさ重視で防御力よりは俊敏に補正のかかる奴を探したほうがいいかな。

 もしくは、魔力を増やして魔法使いも兼ねて行くか…」


 ウィルさんの意見を参考に能力値と呼ばれる、装備ごとに違う付けたときに能力に補正がかかる項目も確認しながら見た目も吟味しつつお金とも相談して……うわぁ、考えること多すぎるよ…


「見た目を一番気にするなら試着もできるし、一回一通り着てみるってのも手だよ」


「そ、そうですね! そうします!」


 イリーナさんにそう言われ、ひとまず気になったものから付けてみることにする。

 試着用エリアに商品を持ち込み、一通り試着すること数十分…


「こんな感じかな…」


「うん、いいんじゃないかな」


 服装は白いワンピースを元にところどころリボンなどが付いた、ワンピースと魔法少女系統の間くらいの服の上から上着のように黒いローブを羽織ることにした。

 ローブは膝くらいまで裾があるが、前は空いているのであまり邪魔ではない。

 ワンピースの裾はそこまで長くなく太ももがよく見えるので邪魔ではないが下着が少し見えそうだったのでスパッツを履くことにした。

 靴には膝下くらいまでを覆う黒いブーツを履いている。

 なお、結局魔法少女系統のエリアに並んでいたワンピースを着ているのは、イリーナさんたちと相談していると、能力値も加味するとこれらの方が良かったのだった…まあ、そんなに魔法少女全開って衣装でもないし…いいか。


「それじゃあ、装備も決まったし、今日はギルドハウスに行って落ちようか。」


 そうコルベットさんが音頭を取る。

 気がつくと現実の時間は18時半を回っていたらしい。


 そうして、歩くこと数分。

 1つの建物の前まで一行はやってきた。


「このギルドは一階でNPCがバーを開いているんだ。

 まあ、いくら飲んでもほろ酔い程度にしかなれないって先生は言ってたけどね。」


 どうやら、このゲームではアルコールに酔うということも多少は再現してるみたいだけど、一定の場所でリミッターが設けられてるらしい。


「この建物の二階より上が俺たちのギルドハウスだ。自由に使ってくれ。」


 コルベットさんの案内のもとギルドハウスへ入る。

 どうやら二階は会議などをするために大部屋になっているらしく、ここが共有のスペースだそうだ。

 三階と四階がメンバーの個室として割り振られているみたい。

 私も一室をもらえた。


 そして、そこで今日は解散ということになり、ログアウトの仕方を教えてもらってゲームの世界を離れる。


 再びの浮遊感のあと、気が付けば教室に景色が戻っている。


「それじゃ、今日はお疲れー! 週末を楽しんでね!」


 イリ…じゃなかった。沢北先輩がそう声をかけて今日の部活は終わった。


「楽しかったな…」


「そう哀愁漂わせなくてもまた来週できるよ」


「わ、わかってますよ! それくらい!」


 でも、来週までお預けかぁ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「待てなかった……」


 今シルヴィアはベルタにある、部活で使用してるギルドハウスにいた。

 なお、本日は日曜日である。

 別に、私立赤月総合学園高等学校は日曜日でも学校があるとか遊戯部に日曜日部活が存在しているわけではなく…


「あれ、シルヴィアさんなんでここに?」


「わーーー!?!?!?」


「うぉ! ビックリした…大丈夫?」


「きゅ、急に話しかけないでくださいよ!」


「え、ご、ごめん…」


 声のする方を見ればウィルさんが立っていた。

 どうやら、丁度ゲームを始めたらしい。


「それで、確かシルヴィアさんはこのゲーム…というかヘッドギア持ってなかったよね?」


「が、我慢できずに買っちゃいました…」


「え、お金とかは…」


「お小遣いで…」


「………」


 何故かウィルさんの瞳が少し曇った。


「あ、そういえばさ」


「?」


「レベル上がったけど、ステ振りとかした?」


「えっと…?」


 『レベル』…はなんとなくわかるけど『すてふり』…?


「あー…取り敢えずメニュー開けるかな?」


「えーっと…どうやるんですか…?」


「腕のこれを触れば画面が出ると思う」


 そう言ってウィルさんは腕輪のようなものを指差す。

 そういえば私にも同じのがあった。

 それに言われた通り触れてみると、目の前にホログラム…だっけ、みたいなのが出てくる。


「こういうゲームは初めて?」


「はい…」


「えーっと…ここのステータスってのをタッチして」


「はい!」


「えーっとポイントは…62か」


「なんだかいろいろ書かれてますね…」


「これがステータス。ここにポイントを割り振って行くことで対応したステータスが上がって、強くなっていくんだ。

シルヴィアはいまそのポイントが62個ある状態」


 ステータス、と呼ばれた画面には『STR』『INT』『VIT』『MEN』『DEX』『AGI』『STM』『LUK』と書かれていて、その下に『Lv』『EXP』『ATK』『MAT』『HP』『MP』『STM』『DEF』『MDF』『RES』『SPD』『CRI』と続いていた。


「えっと…多いからざっくり言うけど、上から『物理攻撃』『魔法攻撃』『物理防御』『魔法防御兼状態異常耐性』『クリティカル率とヒット率』『速度』『スタミナ』『幸運』で、その下がその数値や装備から算出されたステータスで、『レベル』『経験値』『物理攻撃力』『魔法攻撃力』『ヒットポイント』『魔力』『スタミナ量』『物理防御力』『魔法防御力』『状態異常耐性』『速度』『クリティカル率』だね……まあ、上のとこに数字を割り振ると対応した下のステータスが上がっていく感じ」


「えっと……もう一度お願いします…」


「うんやっぱりこれじゃわかんないよね」


〜数分後〜


 取り敢えず一通り一種類づつ教えてもらってなんとか理解できた。


「なるほど…それで、召喚士ならどうすればいいでしょう……というか、召喚士ってどんな職業なんですか?」


「そうだな…召喚士の説明自体は昨日アルトもやってたけど、大まかには味方にした敵を召喚して戦う職業のこと。

 敵を味方にする方法は昨日見てたよね、たまに条件が違う場合もあるんだけど大体は適度にダメージを与えて弱らせれば仲間にできる。

 育てる方法は一緒に戦ったりして経験値を与えたりすれば成長していくよ。

 昨日仲間にしたフォレストハウンドは召喚士が最初に仲間にするだろう敵キャラクターの1つで、乗ることができて戦闘力も程よく高く、成長のさせかたでその戦い方が大きく変わるんだ。

 そして、まだ実装されたばかりで未発見のものも多いだろうって噂されてる。」


「噂ですか…?」


「このゲームね、隠し要素がとてつもなく多くてどんな条件でどうなるかってのが未だにわかってないことも多いんだ。

 だから、誰にも知られていない成長先とか見つけられるかもしれないってこと。」


「そうなんですね…」


 まだよくわからないけど、そのうち覚えていこうかな。


「それで、ステータス振りなんだけど、基本的には魔法職と変わらないと思う。

 召喚するときにMPが必要になるんだけど、召喚相手の強さとかいろんな条件で消費MPが変わるし、数を揃える戦い方をすると消費MPは馬鹿にならないみたいだから、INT重視で…次にVITとMENかな回避力も考えるとAGIとSTMも……ただ、DEXやLUKはそんなに多くなくても困らないか…?

 ただ、幸運はドロ率とか高くなるしな…」


「えっと…結局どうしましょう!?」


「え!? あ、ごめん……」


 どうやら思考の沼に嵌っていたウィルさんを呼び戻しつつ話を進める。


「そうだな、基本は魔力が欲しいしINT重視で、次は防御力か回避力を上げていったほうがいいと思う」


「うーん…あんまり攻撃は受けたくないなぁ…」


「じゃあ、AGIとSTMで回避力をあげようか。ただ…」


「な、何かあるんですか…?」


「回避にはそれなりの技術と練習が必要になるから…最初のうちは結構辛いかも」


「そ、そうなんですか!?」


 なんだかまずい流れになってきた…でも攻撃されたくないから頑張るしかないのかな…


「でも、極めればそれだけ力になるよ。

どんな敵でも一発で殺せる必殺技も、当たらなければ意味はないからね」


「な、なるほど…」


「で、あとのDEXとLUKだけど、取り敢えず今は後回しでいいと思う」


「わ、わかりました…」


 そう言われ、ウィルさんと相談しながら割り振るポイントを決めていく。

 その結果、『INT+30』『AGI+15』『STM+15』『MEN+2』となった。

 MENにちょこっと振ったのは精神攻撃や状態異常に対抗するためなんだけど……ポイントが足りなかった。


「そういえば、ウィルさんはやりたいことがあったんじゃないですか?」


「いや、シュウとかいたら適当に金策しに行こうかなとか思ってただけで特に何かやりたくて始めたわけじゃないんだ。

 そういえば、スキルとかわかる?」


「えっと……」


「ま、だよね。じゃあスキルについても知っとかないと後々困るし、それ教えるついでに狩りにでも行こうか」


「は、はい!」


 そうして街を出てしばらく歩く。


「あ、そういえばシアンを連れてくるの忘れてた…」


「大丈夫、召喚士だからどこからでも呼べるよ。

 そうだな、取り敢えず召喚士の基本技能の『召喚』からやっていこうか」


「よ、よろしくお願いします」


「と言っても、僕は召喚士じゃないから魔法の発動を大まかに説明するね」


 そうしてウィルさんが簡単な魔法を発動させる。

 すると、ウィルさんの手が炎に包まれた。


「これが、【拳技:炎獄無双】、もともとは【拳技:火纏(ひまとい)】って技だったんだけど、進化してこうなった。」


「スキルも進化するんですね」


「うん。やり方は使いたいスキルをイメージして、そのスキルにあった発動手順を想像することにある」


「想像ですか…?」


「炎獄無双だと手に魔力を集めて炎に変わるって手順になる。

 魔力をイメージして必要なところに魔力を集めるんだ。

 大体は武器なんだけど、魔法の場合空間になることもある。

 召喚はこっちだね」


「空間に魔力を……」


「召喚の場合は多分…魔力をイメージして」


「魔力…魔力…」


 魔力と呟きながら体の中を流れてるという魔力を感じ取る。


「あ、なんだか体の中に何かが流れてるみたいな…」


「お、それそれ。

 次はそれを外に運びながら何処かに集める」


 今感じた魔力を外に持ってきながら集めていく。


「できたら、そこにシアンがいるってイメージを固めるんだ」


 集めた魔力が狼の形に変わり、それがだんだんシアンになるイメージをする。


「ウォン!」


「お、すごい成功した!」


「わ! シアンおはよー!」


「すごいよ、最初からちゃんと召喚できるなんて。

 本来はもう少し時間がかかるものなのに」


 話を聞くと、少なくても5回くらいは失敗するものらしい。


「こんなに早くできちゃうなら他もすぐ身につくよ。

 感覚はそこまで変わらないから」


 そうして、狩りをしながら戦い方を教わっていく。

【拳技:火纏】

拳技の1つで、初期の頃に覚えるだろう技。

主な効果は炎獄無双と変らず、それの進化前の姿である。


【召喚】

召喚士の職業スキルの1つ。

召喚士であれば誰でも使える初期の技。

発動すると召喚獣をその場に呼ぶことができる。



筆が派手に乗ったせいで3話分くらい書いてそうなのでしばらくこっち更新します。

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