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エンジョイゲーマーズ!  作者: 狼噛 ウルフ
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第2話 ファンタジー・ザ・グラウンドフィナーレ

「さて、自己紹介も終わったことだし…とりあえず、みんなが得意なゲームを教えてもらおうかな?」


 まずは雑談でお互いの距離を詰めようということになり、とりあえずトランプでババ抜きをしながら雑談が始まる。


「じゃあ、俺から。特筆して得意なゲームってのは無いですね。

 完全に雑食です。

 あ、でも恋愛シミュとかはやんないかな?」


「お前恋愛できないもんな」


「それおまいうな?」


 少し話すだけで修哉がちゃちゃを入れてくる。


「僕は興味無いからいいの」


「ほら、お前の番だぞ?」


 隣にいた桜沢さんからカードを引くが、自分の持ってるカードに同じものは無かったので逆側にいた修哉に向き直りながらカードをシャッフルする。


「どっちが?」


「どっちも」


「ん…そうだなぁ、僕もウィルに付き合って色んなゲームやってるし…」


「おまえ、パズルとか謎解きとかはそんなに得意じゃないだろ」


「あー…まあ対人系かな?

 FPSとかはそれなりに」


 そう言いながらカードを選び、揃ったらしく机に2枚のカードを置く。


「なんかこれから引く人が話す流れだから次はウチだね?」


 修哉は沢北先輩に向き直りながら、それを確認した沢北先輩は自分の得意ゲームを語り始める。


「修哉君奇遇だね、私もよくやるのは対人系なんだ。

 まあ、銃で撃ち合うよりは直接殴り合う方が好きなんだけどね」


 思ったよりパワフルな回答が返ってきた。

 沢北先輩は揃ったカードを机に置きながら隣の一川先輩へと向き直る。


「はい、次澪ちゃん!」


 沢北先輩から一川先輩へとバトンが回り、一川先輩が話し始める。


「私は…パズルとか謎解きとかかな。

 テト○スとかぷ○ぷよならこの中で一番強いと思うよ。

 はい、次先輩ですよ」


 一川先輩は揃わなかったらしくそのまま隣の瀬谷先輩に向き直る。


「そうだなぁ…僕はやっぱり音ゲーかな?

 太○の達人とかCHUNITHMとか。

 ビートセ○バーも好きなんだけどね。

 はい、飯坂君」


 揃わなかったらしい瀬谷先輩が反対側を見れば部長の飯坂先輩に順番が回る。


「私は、推理系かな。パズルもそれなりに得意だけど…あ、あと恋愛物もできるよ。

 てか知ってる? ちょっと前のゲームなんだけど」


「飯坂君ストップ」「飯坂先輩ちょっとタンマ」「飯坂先輩…」


「アッハイ…スイマセン…」


 暴走しかけた部長を他3人がほぼ同時に呼び止める。

 もし止められなかったらどんな話をするつもりだったのだろうか…


 少ししょんぼりした様子のまま反対側にいる高木先生に向き直る。


「そうだなぁ…僕はやっぱり一人でじっくりやるRPG系かな。ドラ○エとか。

 あーあと対モンスター系のゲームなら得意だな。」


 つまりモンスターを狩るゲームとかか。

 MMORPG系列も対モンスターがメインになるだろうからそれも得意なのだろうか?


「それじゃあ…順番の関係で最後だね、はい、桜沢さん」


「は、はい! えーっと…実は私、殆どゲームやったことなくて…叔父さんの家でたまにやってたくらいなんです。

 あ! マリ○カートなら結構強いですよ!」


 ……今なんて…?

 たしか…『殆どゲームをやったことがない』か…?

 このゲーム時代、日常的にゲームをすることが普通とされるレベルにゲームというものは普及している。

 VR革命以後、老化による衰えの影響も、何かしらの理由で寝たきり生活や四肢の欠損程度では殆どゲームをする上で問題ないとされ、皆で交流できるツールとして浸透している。

 会社によっては新入社員と共にゲームでまずはお互いの距離を詰めるということも珍しくないほどだ。


「3○Sってすごいですよね! 眼鏡もかけてないのに画面からキャラクターとかがちょっと浮くんですよ!」


 桜沢さん…それで感動したのはもう20年は前のことなんだよ…


「えっと…桜沢さん…フルダイブって知ってる…?」


「え? なんですか? それ」


 今、この場にいる人間は一人を除いてほぼ同じことを思った。

『マジかコイツ』と…


「あの…あっちのベッドに置いてあるやつなんだけど…」


 あー駄目だ頭の上にハテナマークが浮いてるのが幻視できる。


「って、あー!!!」


「ど、どうしたの? 桜沢さん」


「へ? あ、いやなんでもないですよ!?」


 高木先生を見ればとてもいい笑顔でニコニコ…いや、ニヤニヤしていた。


 桜沢さん…ババ引いたな。


 そこからは自己紹介をしながら雑談という形ではなく桜沢さんがどれだけゲームに関する知識を有しているかどうかという質疑応答へと変わってしまった。

 その結果わかったのは、桜沢さんのゲーム知識は一番最近でも15年くらい前で止まっており、フルダイブは聞いたことはあるけど知らないくらいの状態で、VRイコールゴーグルをかけてコントローラー振り回したりするやつ、という認識になっているということ。


 原因は家にゲームが無く、入ってくるゲーム知識は叔父さん譲りらしく、しかもその叔父さんは話を聞く限りレトロゲームコレクターっぽいってことが話でわかった。


「ま、負けませんよ! えーっと…」


「ウィル君だよ、桜沢さん」


「星宮です」


 気がつけば桜沢さんと僕が最後まで残ってしまった。

 ちなみにあれからババはここに来ていないのでずっと桜沢さんが持っていることだろう。

 ババっぽいのをつまむとあからさまに目力が強くなるし、そこから指を離せばガックリとするのでどれがババかすぐわかってしまったのが主な原因だが…


 さて、最後もどっちかなぁとか言いながらつまめば…


 視線を桜沢さんに向ける、が、彼女は目を瞑ったまま祈るようにカードを差し出してきていた。


 マズイ、最後になって表情が固定されてしまったから判断できなくなった。


「こっちだ!」


 取ったカードを自分の手札に入れながら確認する。

 そこには踊るピエロが印刷されており、つまりはこれはジョーカーで…


「やったー! やっとババが移動した!」


 守りたい、この笑顔。

 じゃなくてとりあえずカードを体の後ろでシャッフルして…


「はいどうぞ」


「どっちですか?」


「言わないよ」


「桜沢さんから見て右がジョーカーだよ」


 後ろにスパイがいやがった。


「ホントだ! やったー! 勝ったー!」


 それでいいのか…桜沢さん…


「おい修哉なんで言った」


「だってウィル、ずっっと桜沢さんの表情見てジョーカー特定してたじゃん?

 フェアじゃないなーと思って」


「え!? そんなに顔に出てましたか!?」


「「「「「「「出てた」」」」」」」


 満場一致である。


「そんなぁ…」


 ガックリと項垂れる桜沢さんを横目に部内は次は何をするかという話題になり、


「よし、じゃあいつものやろうか!」


 という飯坂先輩の音頭で1つのゲームが選ばれる。


「【ファンタジー・ザ・グランドフィナーレ】……めちゃくちゃ有名なやつですね」


 俺もやってるやつだな、とてつもなく有名なゲームのひとつなのだが…


「そ、そうなの…?」


 桜沢さんは知らないらしい…マジかこの人。


「えー!? 桜沢ちゃんこれも知らないの!?」


「は、はい…」


「空前絶後とまで言われるVRオープンワールドの最高峰なんだけどなぁ…」


「発売から約2年、未だにその人気が衰えることは無く新規ユーザーも絶えない、そして、未だその全容が明らかになっていない秘密の多いゲームでもある」


「そ、そんなにすごいんですか?」


「部活でメインにしてるゲームなんだー。

 せっかくだから一緒にやってみよ?」


 そういうわけでゲーム機を被り……


「それじゃあ、始まりの街の広場で集合!」


「えっと…どうやって付けるんですか…?」


「あ、今いくよ」


 瀬谷先輩のサポートの元、桜沢さんもVR世界へとダイブしていった。


 さて、俺も自分のアカウントを選択して…


 『ログイン』を選択すると、浮遊感と共に視界が、感覚が、一気に入れ替わる。


 次に目を覚ませば学校の一室からログハウスのような落ち着いた雰囲気の一室のベッドの上だ。


 ここが【ファンタジー・ザ・グラウンドフィナーレ】の世界であり、俺のプレイヤーホームの中だ。


「ここからだと少し遠いな…」


 マップを開きながら始まりの街…【ヒギンズ】への道のりを確認する。


「よ! ウィル」


 ホームのリビングへ移動すれば、そこには誰もが見惚れるような美少女が現れる。

 透き通るようで可憐な声を響かせる少女は、少し強気な印象の目付きに黒髪のツインテール、服装は魔法少女風でとても似合っている。


 プレイヤーネームは『シュウ』。

 つまり、修哉のアバターだ。


「そうか、お前最後にログアウトしたのここか」


「なあウィル、『転移の羽』持ってない?」


 転移の羽、とは所謂ファストトラベル用アイテムなのだが…


「生憎切らしてるな…しょうがない、急ぐぞ!」


「だよねー」


 買おうと思うととてつもなく高いのだ。

 そのため、容易に持てるようなものでもなくここから急いで移動することに決める。


「キャラメイク中に着くといいんだけど」


「ま、このゲームのキャラメイク、凝ったもの作ろうと思うとそれだけで1日が潰れるだろうし、大丈夫でしょ。

 リアル投影式だったら間に合わないけど。」


 今シュウが言ったのはそのまま、リアルの自分の姿をそのまま使う事ができる機能だ。

 まあ、ヘッドギアがあくまで頭に被せる構造上体は写せないのだが、それでもキャラメイクが面倒な人種にとってはありがたい機能だろう。


「まあできるだけ急ごう。【竜人化】」


 そう宣言すれば背中から蝙蝠の羽のような物が生え、広げればそれは2mはあるそれは、人ならざる者の証としてそこに存在した。

 見れば、腕には鱗が生え、爪が伸び、殺傷能力が高まっている。

 足回りもまるで竜のような筋肉質で力強い物へと変わり、鱗が生えていた。


「りょーかい!【シャドウステップ】」


 ショウが宣言すればその体に影が纏い、まるで幽霊のように存在感が薄まる。

 闇を纒いながら高速で飛来する姿はさながら死神のようだった。


 この日、掲示板にはある噂が立っていた。

 曰く、『狂竜と死神姫のコンビが初心者用フィールド』に向かったと…

主人公ウィル君は黒髪の青年アバターです。

目がちょっと爬虫類特有な感じなこと以外は人と変わりません。

 服装はコートを羽織っています。

 某黒の剣士さんは関係無いです、そもそもコートは紺色です!(誤差)


【竜人化】

 その名の通り、体を一部竜へと変える力。

 竜人族の固有スキルであり、竜人として一定時間過ごし、竜種モンスターを一定数狩ることでその力を行使できるようになる。

 使用すれば一定時間STR、VIT、AGIに補正がかかり、空を飛べるようになる。

 使用後は一定時間ステータスが下がるが、使用中は空を飛べる数少ないスキルのため、ゲームの中でも人気のスキルの1つとされる。

 だが、種族固有のスキルのため、二の足を踏むプレイヤーも多いらしい。


【シャドウステップ】

 影に入り、AGIに大幅な修正を加える職業スキル。

 職業『死神』の固有スキルの1つであり、この職業は一定時間以内にアンデッドモンスターを鎌で狩り尽くすことで開放される。

 その厨ニ力全開のスキル郡から一定層に対して人気がある職業。

 ちなみに範囲殲滅力に長ける。

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