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第五番歌:檸檬ト絶対天使(三)

     三


 ワタシは、何者ナンでセウ? 


 アニメがスキ。一番スキなノハ、「絶対天使 ☆ マキシマムザハート」。ハートになりたクテ、喋り方ヤ仕草ヲ必死でマスターしタ。ハートになりたクテ、変身天衣ヲ作っタ。ソコかラ、コスプレがスキになっタ。コスは着るノモ、作るノモスキ。

 詩ヤ童話がスキ。長スギる文章ハ、消化不良起こすケド、ホンの数行トカ、短編トカは読んでイテ楽シイ。

 料理もスキ。物心つイタ頃カラ、お母サンのお手伝いヲしてキタ。何ノ変哲もナイ食材ガ、お母サンにかかルト、デリシャスなごはんニ変身スル。まルデ、魔法みタイでシタ。ワタシも魔法を使エルようニなりタイ。ソウ思ったカラ、自分デモ作るヨウになりまシタ。パエリア、スパイスカレー、シャンバラヤ。いろイロ作れマス。

 スキなモノ、スキなコト、いっパイあるケド、ワタシから「スキ」を引いタラ、残るモノはありまスカ……?


 典型的ジャパニーズな真っ黒イ髪、大シテ特徴のナイ体型、顔だっテ、絶世ノ美女デモ、キュートガールでモありまセン。ファニーフェイスっテいうんスか? かえっテドコかニ欠陥ガあレバ、ソレを笑いのネタとシテ使っテ周りカラのウケを狙う路線デいけるノニ。可もナク不可もナク笑いモとれナイ。平凡のレッテルを貼らレルのナラ、マシ。ワタシ、周りカラ「変人」っテいわれテル。聞こえナイようニ言っテルつもりデモ、ワタシは聞いテル、知っテル。だケド違う。ワタシは、周りガ思うホド変わっテなくテ、空虚デ、ワタシ自身デモ分かんナくテ、永久ラビリンスに閉ジ込めらレてテ……。


 心がモヤモヤしテ、ヒトリでいタイ時、ワタシは、空ニ近いトコロへ行く。大学ニ内部進学すルト、研究棟ノ屋上ガ居場所ニなッタ。ソウイウときハ、コスフィオレしナイ。誰ニモ見つケテもらいタくナイかラ。クスんだピンクのワンピース、ゆルイ三つ編み、伊達メガネ。ホントはこノ三点セットの方ガ、イツモのワタシなのカモしれまセン。パステルピンクが正シイ名称だケド、ワタシが着ルト、クスんだ色にナル。モトもとワタシは、埋もレテしマうタイプなんでセウね。影ガ薄いカラ、コスフィオレしてアピールせザルを得ナイ。特徴・個性ガ皆無だカラ、マキシマムザハートにナリきっテ周りヲ引きつケテ、キャラ作り。アレレ? スキがワタシを存在サセるタメの手段ニなっテル? 純粋な「スキ」のハズなノニ。



 ホラ、ワタシから「スキ」ヲ取っタラ、何もナイんデスよ…………。


 本ヲ読みなガラ、ワタシのコトで堂々めグリ脳内エンドレスループさせテタ。『五色(ごしょく)五人(ごにん)(おんな)』ハ最近スキになっタ小説。長編はニガテなんだケド、中身がスルスル入っテク。登場人物ノ中デ、桃佳がダイスキ。コノ()ハ、ワタシとハ違っテ、ホントウノワタシを見ツケられテル。ワタシなりノ言い方ヲすルト、ホントウノワタシを見ツケてイテ、しカモ周りニ、ホントウノワタシを分かッテもラっテル。イイな、ワタシはズッと探し続ケテるばカリ。ワタシは非ヒロインなんデスか……?

「あらー、めづらしきかな。先客がいるなんてね」

 背後カラ声ガしたノデ、ビクっとシテしまいまシタ。アナタは、誰…………?

「与謝野・コスフィオレ・萌子さん、だったわね」

 声ノ方を見ルト、白いスーツの綺麗な貴婦人サンが、ダイヤモンドみたイナまぶシきスマイルをシテいまシタ。

「私の名前は、安達太良まゆみ。『日本文学基礎演習B』でおなじみよね。実は初めて会ったのは、新歓合宿だけど覚えているかしら?」

 ソウ、基礎演のセンセ。そシテ思い出シタ、合宿の自己紹介デ、ゲラ笑いしテたセンセっス。二回生ノ担任でシタよネ? 萌子の担任、コのセンセだっタラよかっタな。本名イジリしてこナイ貴重ナ方デスかラ……っテ、ソノ前ニ疑問ガありマス。

「ナゼ、ワタシが与謝野っテ分かっタんデスか?」

 イツモのワタシと一八〇度違う、超イケてナイモードっスよ? 別人ニ思わレテ、エキストラ並ニスルーさレるノがオチっス。

「そうね、十二単でなくても、メイドでなくても、私には与謝野さんだってわかるわ。なぜなら」

 まゆみセンセが、ワタシに視線ノ矢ヲ放ちまシタ。ワタシを捕らエテ、離さナイつもりデス。

「あなたはどんな姿でも、一途で、まっすぐなんだもの」

 ソの一言ガ、ワタシを囲っテタ迷宮ノ壁をガラガラと崩シテゆきまシタ。ズッと待っテタ、ワタシがワタシを閉じ込メテいタ、ラビリンスとイウ名ノ牢獄ヲ、破壊シテくレル人を―。

「あなたの空に、雨が降っている。私でいいなら、その理由(わけ)を聞かせて」

 純白ノ袖カラ出テル手に、ワタシは自然ト導かレテいまシタ。神様っテ、コンな人のコトをイウんでセウか。ワタシ、やット救済さレタ気持チがシテ、両目カラどしゃ降りノ雨がとめどナクあふレテきたんデス。


「そう、『ホントウノワタシ』を探し続けているんだ。そして周りに『ホントウノワタシ』を分かってほしくて、苦しかったのね」

 センセは、ワタシの拙イ悩みゴトヲ、ヤな顔ひとつしナイで全部受け止メテくれまシタ。

「萌子でスラ分かんナイのニ、ワタシを分かっテ、なんテ、馬鹿げてマスよネ……」

「果たして、そうなのかしら」

「ふにゃ?」

 センセが真剣ナ表情になっテ言いまシタ。

「ホントウノワタシは、簡単に知ることはできないものよ。私もね、いい年なのに、自分が何者なのか、未だにわからないの」

 ウソ、センセも? ワタシより先ニ生きテルのニ? 学校のセンセっテ、人生にオケるアンサーを全部知っテルと思っテまシタ。デモ、違うんスね。センセは完璧人間じゃナイんデスね。

「私もひとりの人間よ。悩んだり迷ったりするわ。不完全だからこそ人間なの」

 ふふっ、とセンセは笑うとスグに口をパカッと開けまシタ。

「ねえ、あなた、ヒロインにならない?」

「ヒロイン? ワタシが?」

 オーバーにまゆみセンセが首を縦ニふりまシタ。

「与謝野さん、日本文学課外研究部隊で『ホントウノワタシ』を見つけてみない?」

「ふへ」

 ソんな秘密結社、アリまシタか?

「これから始めるところ。日文公認のサークルよ。好きなときに参加してくれたらいい。その代わり、お願いがあるの」

 センセが、ワタシの両手を優シク包み込んデまシタ。お日サマみタイにあったカイ。干しタテのお布団ノふんわりシタ香リがしソウっス。心ノ温モリをソノまま表シテいるカのヨウでシタ。

「ヒロインが、いえ、あなたの仲間がピンチになったら、力になってほしいの」

「萌子ニ、出来マスかネ……?」

「出来る!」

 笑顔のシャワーを振リまかレテ、ワタシは奮イ立タされまシタ。センセは、ワタシを信ジテくれテル。ヒロインになっテほシイと願っテル。応えタイ、ソの期待ニ!

「面白ソウっスね」

「ええ、むべなりよ。きっと、ながめの空を晴れやかにしてくれるわ。まっすぐで、好きなことに本気で熱くなれる与謝野さんには、最終(ファイナル)ヒロインにふさわしい!」

 親指を立テテ、無邪気にセンセは笑いまシタ。カッコいいネーミング。ラストサムライに近シイ誇らシサがありマスな。

「謎の助っ人、最終ヒロインとしてしばらくは入ってみて。ここでなら『ホントウノワタシ』が見つけられる、ここの仲間となら自分を分かってもらえると確信できたなら、皆の前で正体を明かしなさい」

 あなたの心の色を、解き放ってみて! とセンセはウインクしテ後押しシテくれタんデス。

「ハイ☆」



 ワタシの心ノ色ハ、ワタシに比ベテ名の多キ花、七変化スル花、愛らシキ花と同ジ色!!



「最終ヒロイン改め、もえこピンク、正式に入隊しマース☆」



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