それってなんですか?
2話更新、2話目です!!
「ちゃんと学べば強大魔法とかも使えるんじゃないか?」
レイルという師匠を手に入れた私はどうやら魔法の才能があるらしい。
制御することを意識していれば、陽属性の魔法をほとんど使えるということがわかった。
出力を間違えると大惨事になるので、制御することを重点的にやった方がいいとのこと。
「うーん、いろいろ使えるようになって凄く嬉しいけど、攻撃をしたい訳じゃないから…」
もう二度とこんな誘拐事件なんか起きないように、身を守る魔法を学びたい。
レイルに教えてもらったのは、明かりを灯す魔法。
光の針で相手を拘束する魔法。
光の剣を顕現させて戦う魔法。
ちなみにこの剣、伸び縮みを自在にできるからそこそこ遠い距離から攻撃ができる。
「攻撃は最大の防御って言うじゃない?」
「ライラって意外と暴力で解決する派だよね…」
「短絡的なのはライラの悪い所だと俺も思う」
「2人ともひどくない?」
とまぁ、こんな感じに仲良く森の中を探索して、襲ってくる魔物は私の魔法練習台になってくれた。
魔物の肉はきちんと浄化すれば普通の生き物と変わらないので、食料に困ることもなく。
上から見えていた祭壇らしきところは、なにやら古びた神殿のようだ。
森の真ん中に少しだけ整備された道があって、その道の周りには獣避けの魔法がかけられた紐が柵のようになっている。
お供え物が新しかったので今でも人が来ているみたい。
私たちはその紐をを辿って人里を目指した。
「本当に精霊を見ないね」
「ミスティ大森林じゃ当たり前に見るものだったの?」
「そうだな。いない、てのは不思議な気分だよ」
ライラが辺りを見回しながら言った言葉に、私は逆に不思議なくらいだ。
エルトリンでも見ない訳では無いらしいが、比較的に遭遇率はかなり低い。
ローグレンが精霊の国と呼ばれているとはいえ、精霊に好かれなければあまり会わないはず。
「2人は精霊に好かれやすいんだね」
「それはあるかもね」
そういえばこの大陸では主に精霊術師と魔道士と分かれる。
ちなみに魔法使いと魔道士は別物らしい。
魔法使いは魔力を持つもの全員のことを指して、魔道士は攻撃や回復、防御など魔力を使ってなにかを行う者のことを指すようだ。
「ねぇ2人とも、魔道士と精霊術師って何が違うのか知ってる?」
精霊術士は精霊と契約、または取引をしたものの事を指すらしいのだけれど、イマイチ分からない。
精霊と契約をしてどうするんだろうか?
ちなみにエルトリン王国には魔道部隊、ローグレン大帝国には精霊騎士団と呼ばれるものがある。
「精霊術師に関しては団長から色々聞かされたけど、要は自分の魔力を使うのが魔道士。精霊の力を引き出すのが精霊術師だと思うよ」
レイルは本当になんでも知っているな。
私と変わらない年齢のはずなのにすごい。
「精霊の力を引き出すって?」
そんなこと本には書いていなかった。
契約とか取引とか協力関係のようなことが書いてあった気がする。
「例えば魔力量が100だとしたら、魔道士は100しか使えないだろう?けれど精霊術士は100のうちの5を精霊に渡すことで、精霊の力を借りることが出来る」
それってかなり強いんじゃ…?
と聞こうとしたら横からライラの補足が入った。
「つまり同じ量の魔力を使った時、精霊術師のほうが有利なんだよね。でも、渡さなきゃいけない魔力は精霊によって変わるし、その精霊がどこまで協力的かでも変わってくるんだよ」
精霊との相性と、その精霊の気分次第で大きく変わってしまうということで間違いないだろう。
努力で確実性が現れるのが魔道士で。
継続的に発動ができるのが精霊術師。
なるほど、それぞれにちゃんと短所と長所がある。
「まぁでも精霊術師の1番の利点は、自分の適性外の属性も使えることかな」
「え、なにそれ精霊術師のほうがやっぱりすごい?」
「そうでもないよ。俺が全属性使えるのと同じで、他属性の精霊と契約できる可能性は結構低いからね。やっぱり同じ属性のほうが相性がいいから」
そうなんだ。
それにしても私、意外と誘拐されてよかったかもしれないと思っている。
だって2人に出会って良いことが沢山起きているのだ。
知識でしか知らなかったことや、本に書いてないことまで知れるのはとても楽しい。
目で見て得ただけの情報より実践しながらのほうが、遥かに有意義な時間を過ごしている。
旅の道中、私は2人に色んな質問責めをしていったのだった。
しばらくはラピスラズリ視点で進みます。